爽やかな瑞々しさに目を見張る「鰤大根」の“主役”、大根。
とろりとした甘めで
濃い飴色のタレが染み込んだ鰤を
ひとまずそこに置き、
まるまると置かれた
大根の色白の厚みに
箸を刺したその奥から、
蓄えられた水分が
ほとばしる。そのまま、
ズズッと切って口に運べば、
頬を広げるほどたっぷりとした
水分の爽やかさと、
鼻に抜ける大根香が押し寄せる。
さらにガブリと歯を入れると、
大根の繊維質は口のなかで
ズリリとくずれ、
ふたたびあふれる水分は、
甘く濃く煮詰められたタレを
押し上げるような勢いで、
もりもりと広がり、
頭の中には、
色白の大根と
濃厚な飴色のとろりとした
タレのイメージが入り組んで、
さらに何度か噛みしめるうち
深みあるタレとじゅんわりと
甘く口のなかで溶けあう。
鰤に箸を進めると、
脂の乗った
引き締まった赤身が、
これも大根の瑞々しさで
より旨み深く際立つ。
*
神奈川県大和市中央林間、
「Season」。
広島カープファンの主の腕と
手際よく柔らかい奥さまの接客も
心地よさを高める。
今日もご近所の味で。
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