コーヒーにミルクや砂糖を入れることについてバリスタやロースターはどう思うか?
近ごろの名古屋で聞くことはほとんどありませんが、少し地方に行くと「美味しいコーヒーに牛乳や砂糖を入れるなんてもったいない!」と言われます。
たとえば、それはお店の売上にも出ていて、弊社の名古屋の直営カフェではドリップコーヒーとカフェラテが約半々ぐらいの割合でオーダーされます。
一方で、地方に行けば行くほどカフェラテの割合はかなり少なくなります。若い世代ならともかく、お歳を召した方だと、おすすめしない限りまずカフェラテは頼まれないのです。
ただ、これは地方の方がカフェラテやカプチーノなどのミルク入りコーヒードリンクを知らないからではありません。
今や、コンビニドリンクですらカフェラテをウリにしている時代。どこに住んでいてもカフェラテの名前ぐらい知っています。(※カフェオレとの区別はついていないかもしれませんが…)
そこで「なぜカフェラテを注文しないのか」理由を聞いてみると、ほとんどの方から「本格的なコーヒー屋さんでコーヒーにミルクや砂糖を入れるのはもったいない」という答えが返ってくるのです。
ときには、コーヒーはブラックで飲まないと"ツウ"じゃないという人までいると聞くから驚きです。
コーヒーに砂糖やミルクを入れることについて
さて、コーヒーに砂糖やミルクを入れることについてバリスタはどう思っているのでしょうか?
結論から言えば、それほどなんとも思っていません。むしろ、カフェラテやカプチーノなどのドリンクは積極的に飲んでほしいぐらいです。
カプチーノやカフェラテを作るには、エスプレッソマシンとエスプレッソマシン専用のグラインダー(電動ミル)が必要です。
このセットは、普通の業務用マシンでも定価で50~60万円ぐらいは必要になります。もっとこだわれば、新車が1台普通に買えてしまうものだってあるのです。
私たちも、自動車が一台買えるぐらいの価格を払って先日"名古屋初"のエスプレッソマシンを購入しました。これだって、より美味しいカフェラテをお客様に届けるための投資です。
バリスタたちは美味しいカフェラテやカプチーノを提供するために、これだけの初期投資をしているわけです。コーヒーにミルクを入れないでください!と言うバリスタはそう多くないでしょう。
実際、カフェラテやカプチーノだって美味しいコーヒー豆を使っていないと、絶対に美味しくはなりません。美味しいコーヒー豆を使っているからこそ、こだわりがあるからこそ、カフェラテはより美味しくなるのです。
また、エスプレッソの本場と言えばイタリアですが、イタリアではエスプレッソに砂糖を入れて飲むのも当たり前。なんなら、お気に入りの砂糖とエスプレッソの割合があるぐらい。
そう考えると、「本格的なコーヒーだからこそ、砂糖を入れるも入れないもお客様の自由」と言えるかもしれません。
ドリップコーヒーに砂糖を入れること
ただし、ドリップコーヒーにミルクを入れる/砂糖を入れるとなると少し事情は変わってきます。
少し調べてみればドリップコーヒーやネルドリップのコーヒーに「砂糖お断り」「ミルクお断り」を明言しているコーヒー専門店はたまにあります。
…そう多くはありませんが。
同じコーヒー専門店として、お店側の気持ちが分かる部分もあります。
エスプレッソはミルクを混ぜることがある意味前提の飲み物ですが、ドリップコーヒーはそのまま飲むことが前提のドリンク。砂糖やミルクを入れるとコーヒー本来の味が変わってしまうと思うオーナーさんもいらっしゃるでしょう。
ただし、砂糖を入れたドリップコーヒーやミルクを入れたドリップコーヒーは"良い意味で"もとのドリップコーヒーとは全く別物になります。
少し専門的な話になりますが、科学的に焙煎されたコーヒー豆には、感じ取れるほどの糖分はないそうです。コーヒーを甘く感じるのはその風味のおかげなのだとか。
逆に言えば、甘い風味を持つコーヒーに砂糖を少し入れてあげると、その甘さがより引き立つのです。チョコレート菓子を食べているかのような甘さを感じたり、果実ジュースを飲んでいるかのような気分になることもあります。
それは"良い意味で"コーヒーとは全く違う飲み物。アルコールこそ入っていないもののコーヒーカクテルのようなものです。
ですので、弊社ではお客様に砂糖やミルクを制限することはありません。むしろ、毎日見えるお客様であれば気分を変えるために、砂糖を提案することもあるぐらい。
砂糖やミルクはコーヒーにとって決して悪者ではないことはわかって欲しいなと思います。
ただドリップコーヒーは、少し触れたように"そのままで飲む"ことを考えて作られている飲み物。初めてのお店であれば一口飲んでみて、それでもミルクや砂糖を入れるか検討してみてください。
コーヒーに砂糖やミルクはお好みで!でもコーヒーの味わいを知りたいときは…
確かに、美味しいコーヒーは砂糖やミルクを入れても美味しいです。
ですが、こだわったコーヒー屋さんならいろいろな産地、精製方法のコーヒーを用意しているはず。
牛乳を入れると、コーヒーごとの特徴はわかりづらくなってしまうので、ひつまぶしなどのように、まずはコーヒー単体で味わいを楽しんで、そのあとに砂糖やミルクを入れていただけると幸いです。
産地ごとの違いが分かると「この豆にはミルクだけ」「こっちの豆には両方入れたほうが美味しい」などと、ミルクや砂糖の量にもこだわりのレシピが生まれるかもしれません。
そうなったら、あなたは立派なコーヒー通です。
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名古屋市千種区でコーヒーセミナー運営、コーヒー豆・器具の卸売り、直営カフェを運営するnote合同会社の公式コラムです。