高北謙一郎

物書きで写真家。高北謙一郎写真事務所( https://takakitaphoto.c…

高北謙一郎

物書きで写真家。高北謙一郎写真事務所( https://takakitaphoto.com/ ) 長篇の連載と過去の朗読原稿を紹介。プロフィールから【ある瓦斯灯の下で君を想い唄う】の連載1-1に入れます。

最近の記事

掌編 月夜の蓮  高北謙一郎

こんばんは。遅くなりました。週に一度の掌編投稿です。何故に遅くなったのかというと、たったいま、書き下ろしたから。はい、久々に掌編を書いてみました。そろそろ朗読イベントで使っていた原稿のストックも底を尽きかけているので。 先日、たまたま蓮の花を撮影しに行きました。どうしてだか、私の頭のなかには月夜に咲く蓮の花が思い浮かべられました。この物語は、そんな月夜に花ひらく蓮をイメージしてつくられました。 いつものように投げ銭設定です。お楽しみいただければ幸いです。 【月夜の蓮】 

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    • 掌編 孤独の楽園  高北謙一郎

         こんばんは。週に一度の掌編投稿です。短い物語でも、基本的には長篇に成り得るネタで書いています。この作品は、どこかで長い作品に書き直す予定ですが、その核となった部分はこれ、ということでご紹介。キーワードはウユニ塩湖とウィトゲンシュタイン、かな? いつものように投げ銭設定。お楽しみいただければ幸いです。 【孤独の楽園】                高北謙一郎 「すべての音には印がある」と、かつて男は言った。「要するに、その音をその音たらしめている核のようなものだ。

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      • 掌編 孤独なふたり 高北謙一郎

        こんにちは。恒例の掌編投稿です。昨日、どしゃ降りの中、遊園地に撮影に出掛けました。雨の遊園地はふだんの華やかな雰囲気とは違い、どこか孤独の影がひっそりと横たわっているようでした。というわけで、本日は孤独にまつわる物語。いつものように投げ銭設定。お楽しみいただければ幸いです。    【孤独なふたり】          高北謙一郎 ボクは、常に孤独とともにある。 そう言うと、いくらかのニンゲンはこう指摘する。 キミは孤独とともにあるのなら、決して孤独ではないということだね、

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        • 掌編 万華鏡・浄化  高北謙一郎

               こんにちは。恒例の週に一度の掌編投稿です。今回は二部構成。前半は男性視点。後半は女性視点での語りにて。いつものように投げ銭設定。お楽しみいただければ幸いです。 第一部【万華鏡】             高北謙一郎 眠りの中で、自分が夢を見ていることは判っていた。 なぜなら、なんの前触れもなく空から落下する自分の姿を見ることができたからだ。 ぼくは暗くよどんだ雲を突き抜け、降りしきる雨とともに落ちていく。 いつしか落下する自分を眺めていた視点が、落下する自

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        掌編 月夜の蓮  高北謙一郎

          掌編 混合 高北謙一郎

          こんにちは。週に一度の掌編投稿です。今年もあっという間に6月。もうすぐ梅雨入りですね。というわけで、今日は苔とカビのお話。和風伝奇ホラーっぽい作品です。今回も投げ銭設定。お楽しみいただければ幸いです。 【混合】                高北謙一郎 村と村とを隔てる深い森の中、苔むした岩場の陰が、わたしたちの逢瀬の場所だった。 平和な時代ではなかった。周辺の村々では諍いが絶えず、わたしたちが暮らすふたつの村も、対立を深めていた。当然、敵対する部族のふたりが情を交わす

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          掌編 混合 高北謙一郎

          掌編  誘惑  高北謙一郎

             こんにちは。週に一度の掌編投稿。今回は、7年間続けていた朗読イベントの最終回に読んだ作品。この前、飲み会の場で偶然「青い街」の話題が出たことで、ふとこの作品を思い出しました。「あぁ、そういえばそんな作品を書いたなぁ」と。あれからもうすぐ1年。なんだか懐かしい。 今回も投げ銭設定。お楽しみいただければ幸いです。  【誘惑】                高北謙一郎 もうすぐ、雨が降り始めるよ――その言葉は、長い間ぼくが記憶の底に封印していた過去を、あっさりと呼び覚

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          掌編  誘惑  高北謙一郎

          掌編 暗示 高北謙一郎

              さて、週に1度の掌編投稿。といいたいのですが、なんと先週すっかり投稿を忘れてしまっておりました。というわけで1週空いてしまいましたが、とりあえず恒例の掌編投稿です。今回も投げ銭設定。お楽しみいただければ幸いです。 【暗示】               高北謙一郎 警察の取調室なんて場所に入ったのは、初めてのことだった。 殺風景な部屋にテーブルがひとつ。向かい合わせにふたつの椅子が置かれている。僕はその片

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          掌編 暗示 高北謙一郎

          掌編 共鳴 高北謙一郎

          こんにちは。週に一度の掌編投稿です。ひとりの男がぐうぜん手にした石に、残るふたりの男女が所有する石が共鳴するように響き合い、それぞれの石を持つ人間たちを衝き動かしていく…そんな作品…うん、説明が難しい。 ちょっと不思議な「奇妙な物語」的な作品です。 いつものように投げ銭設定。お楽しみいただければ幸いです。    【共鳴】               高北謙一郎 降り注ぐ陽射しの下、彼は草原に横たわり、流れゆく雲を見つめていた。 穏やかな春の昼下がり。青い空がきれいだっ

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          掌編 共鳴 高北謙一郎

          掌編  素敵な旅  高北謙一郎

          さて、週に一度の掌編投稿です。この作品は、いわゆるマジックリアリズム。そもそもが非日常の遊園地的アトラクションから非日常が融合してくる展開。お楽しみいただければ幸いです。    【素敵な旅】               高北謙一郎 ある晴れた日の午後、彼女は思い立って、近所の遊園地へとやってきた。 誰と約束したわけでもない。たったひとりでやってきたのだ。 決して大きな遊園地ではない。観覧車と回転木馬、ジェットコースターとゴーストハウス……ひととおりのものは揃えているが

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          掌編  素敵な旅  高北謙一郎

          掌編 月魚の夢/うさぎ餅 高北謙一郎

          こんばんは。週に一度の掌編投稿です。先日の満月が、平成最後の満月だったそうですね。偶然、明け方ちかくの空で眺めた月はとてもキレイでした。 そんなわけで、今回は月にまつわる物語。しかも2本立て。ここに投稿している作品は以前の朗読イベントのために書かれた作品ですが、その時は能と狂言のような関係性を持つ2作品を並べてみよう、というコンセプトで書いたものです。【月魚の夢】はいま読み返しても「なんという難解な作品を」と思ってしまいましたが、ある意味では最も自分らしい作品ともいえます。

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          掌編 月魚の夢/うさぎ餅 高北謙一郎

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          ホンキのさくら撮影企画 photo by takakita

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          掌編 黒と白の肖像 高北謙一郎

          こんばんは。週に1度の掌編投稿です。思えばこの作品を書いたのは1年ほど前のこと。長く写真を撮り続けていますが、自分自身が写される側に回ることが非常に苦手です。今日は自撮りが苦手なすべてのかたに。 いつものように投げ銭設定です。最後までお楽しみいただければ幸いです。    【黒と白の肖像】              高北謙一郎 それは、いかにも老舗といった古いホテルだった。驚くほど動きの遅いエレベーターで五階にあがり、薄暗い通路を進んでいくと、かつては純白だったであろうく

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          掌編 黒と白の肖像 高北謙一郎

          掌編  餓鬼  高北謙一郎

             こんにちは。週に一度の掌編投稿です。本日は土曜日の投稿。ちょっと明日は外出予定があり、さらに現在ケータイが不調。キチンと動くか不明のため、今日のうちに自宅から。 今回はちょっと季節外れですが、最近の夜の空気感がこの作品の雰囲気に似ている気がして、先週あたりから「次はこれ」と思っていました。 今回も投げ銭設定です。お楽しみいただけたら幸いです。 【餓鬼】                 高北謙一郎 夜、すっかり辺りが暗くなったころ、とある神社の境内に忍び込んだ。

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          掌編 残花 高北謙一郎

            こんにちは。週に一度の掌編投稿です。さくらの季節ですね。関東でもすでに満開を迎えています。今日はそんな、さくらにまつわる物語。ちょっと伝奇モノっぽい雰囲気。いつものように投げ銭設定です。お楽しみいただければ幸いです。 追伸・この作品の表紙となるべく写真は、ちょうど先日わたしが撮影してきたものです。今シーズンはホンキでさくらを撮影しよう。ということで、日々あたりを徘徊しております。その他の写真も、よろしければご覧ください。https://www.takakitablog

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          掌編  神々の島  高北謙一郎

                こんにちは。週に一度の掌編投稿。いつもは日曜日の投稿ですが、明日は夜まで予定があるため、今日のうちに。 この作品は、ネットニュースでの記事を偶然に目にした際、その島に暮らす老人の生き方に感銘を受け、私なりに物語にしたもの。うつくしい無人島に暮らす老人…それだけで様々なイメージが膨らみますよね。 今回も投げ銭設定です。お楽しみいただければ幸いです。 【神々の島】              高北謙一郎 彼がその島に流れ着いたのは、彼がまだ三十代の半ばを迎えた

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          掌編 ある歌姫に捧ぐ 高北謙一郎

             こんばんは。週に一度の掌編投稿です。昨日、たまたま都内にあるライブハウスで女性ヴォーカルの歌を聴きました。(https://www.takakitablog.work/entry/2019/03/10/175929) そんなわけで、今日は歌姫に捧げた掌編を。 いつものように投げ銭感覚、100円にて販売しております。お楽しみいただければ幸いです。  【ある歌姫に捧ぐ】             高北謙一郎 残り香のようなものだと、彼は言った。 例えばふと訪れた酒

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