正義

タカシは曲がったことが大嫌いです。
ルールは守るし、人は傷つけない、それがタカシのモットーです。
お店に列があれば並ぶし、一人一個までと言われれば、それを律儀に守ります。
それがタカシの信条です。
ある日、タカシは自動販売機の下に百円玉を見つけました。
タカシは当然、それを交番に持っていくことでしょう。
でもタカシはその百円玉をサッとポケットに入れたのです。
タカシは周囲に人がいないか確認しました。
防犯カメラの有無も確認しました。
よし、大丈夫だ。
タカシは安心してサッとポケットにその百円玉を入れたのでした。
タカシは家に帰りました。
タカシの家は厳格です。
特に性に関しては両親の躾が厳しく、ハタチになった今でもタカシは童貞です。
周りの友達は皆とっくに童貞を捨てているのに、自分だけはまだだと焦りを感じていました。
タカシはその憂さをマスターベーションで晴らします。
本当は少しの罪悪感があるのです。
でもタカシはマスターベーションの快楽に抗えませんでした。
さて、タカシには好きな女の子がいます。
その子は同じ大学に通う女の子。
タカシは密かにその子が好きでした。
ルックスもアイドル並みに申し分なく、清純そのもの、何の穢れもないような天使のような存在でした。
タカシは毎日、彼女を見る度にときめいています。
しかし彼女は家に帰れば別人です。
一人暮らしの家に帰れば、途端に服を全部脱ぎ散らかして、裸のまま冷蔵庫を開ける。
そして缶ビールのフタをプシュッと開けてビールをゴクッゴクッと勢いよく飲み干す。
挙げ句の果てには「っっ、うぃ〜。」とゲップまでする始末。
大学にいる清楚な彼女とはまるで別人です。
一人だからあくびだって大口で出来ます。
可愛らしくおちょぼ口で我慢などしなくていいのです。
どんなに体裁を整えていたって、所詮はそんなものです。
人には必ず裏があります。
どんなに綺麗事を言っていても、裏では何をしているかわかったものじゃありません。
でも責める必要はないのです。
表向きの綺麗事は聞き流してあげましょう。
どうせ裏では汚いことをやっていることを知っていても、それは水に流してあげましょう。
彼ら彼女らはそうして心のバランスを取っているだけなのですから。
ふひひ。

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