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ブラック職場のホワイト化はどうやって行うか

社会保険労務士を生業に、中小企業の雇用環境整備の支援を行っています、やはだと申します。学生時代のあだな”つーじー”で活動するときもあります。

今日はまじめに(※いつも真面目ですよ!)『もし真っ黒な職場(ブラック企業)があったとしたら、どこからどうやって白くすればいいんでしょう』という点を話していきます。

ブラック企業とは

厚生労働省のサイトでは、ブラック企業についてこんな説明をしています。

Q 「ブラック企業」ってどんな会社なの?

A 厚生労働省においては、「ブラック企業」について定義していませんが、一般的な特徴として、① 労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す、② 賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い、③ このような状況下で労働者に対し過度の選別を行う、などと言われています。

確かめよう労働条件(厚生労働省)HPより

ざっくり言うと【労働環境が良くない】。類型的に①から③までの特徴を挙げています。

キーワードは「長時間労働」「ノルマ」「賃金不払残業」「パワーハラスメント」「コンプライアンスの低さ」「労働者に対する過度の選抜」というところ。このブラックキーワードが何重にも重なって、真っ黒になっていくのですね。

では、真っ黒をちょびっとでも白くするにはどうしたらいいんでしょう?

厚生労働省の回答の続きには、こんな風に記載されています。

このような企業に就職してしまった場合の対応としては、第一義的には会社に対して問題点の改善を求めていくことが考えられます。しかしながら、新入社員が単独で会社に問題点の改善を求めて交渉等をするのは現実的には非常に難しいと考えられます。したがって、問題点に応じて、外部の関係機関や労働組合に相談することも有効な手段と考えられます。

確かめよう労働条件(厚生労働省)HPより

対応策としては・・・「~に相談するのも有効と考えられる」って、結局打つ手ないんかーい! という声が聞こえてきそう。

…そうなんですよね。
私自身も中小規模のブラック企業で働いていたことがあるので、わかります。いくら社員が言ったところで、何も改善されないんです。

結局のところ「トップやリーダーが何とかしないと解決しない」のです。詳しくはこの先述べていきます。

ブラック企業=人間関係の悪い職場とほぼ同義

長時間労働などの個別事象に目が向きがちですが、根本的にブラック企業は人間関係の悪い職場とほぼ同義と捉えています。

人間関係の良くなさが、結果、長時間労働などの労働環境のよくなさに形を変えているに過ぎないと考えます。

したがって「長時間労働」や「ノルマ」といった問題をひとつひとつ解消していったとしても、根本的な人間関係の改善がない限り、違ったひずみが生じ続けることになります。

黒い職場を白にするには「人間関係の改善をする意識」が、何をおいても重要です。

職場の人間関係の改善ステップ1

では、人間関係の良くなさはどのように改善されるでしょう。
それには【トップ・リーダーの方針発表】なしに達成されません。

人間関係が良くないというのは、集まる人それぞれの個性による問題ではありません。

まず人間関係を良くしようとする職場の雰囲気がないと始まりません。気の合う仲間同士が寄り集まっていけば勝手に人間関係がよくなるものか、というとそんな単純なものではありません。

職場の雰囲気作りは、トップやリーダーにかかっています。チームってそういうものですよね。
平社員がいくら雰囲気を良くしようと立ち回っても、空回りに終わります。なぜなら皆が皆、空気を読みあってしまい、誰かが飛びぬけたことをすると「出過ぎた真似」ととられてしまうからです。

空気を良くするためには、トップやリーダーが窓を開けて、部屋全体の空気を入れ替えることなしに始まりません。
そして部屋全体の空気を、どんな香りで満たしたいのか、どんな流れにしたいのか空気のデザインをして、デザインが終わったら、部屋の住人に空気のデザインを発表します。

平社員が雰囲気を良くするしようとすることは、か細いアロマキャンドルを焚くようなものです。細く小さいアロマキャンドルをいくつ焚いたところでも、 所々でいい匂いがするかもしれませんが、結局、部屋に充満する匂いと混ざり合って、得も言われぬ匂いになってしまうのがオチです。

職場空気のデザイン

トップやリーダーがどのように職場空気のデザインをするかのポイントは

トップやリーダーの
①価値観を
②現代にあったものにアップデートする

です。要素別に解説しますと

①価値観を
=企業理念、人材採用の方針、教育の方針 を

②現代にあったものにアップデートする
 (旧態)
 ×辞めてもらって構わない
 ×何をおいても仕事が優先
 ×会社に尽くすやつが偉い
 ×気合・ 根性・努力 でなんとかなる
     ↓
 (現代にあったものにアップデートする)
 〇採用教育に対するコスト意識=教育を必要な投資であると考える
 〇社員の定着を生活面から支える/自らの生活も仕事との調和をはかる
 〇生活が充実してこそ仕事の生産性も高くなる

といった点になります。

職場空気デザインの発表・宣言

職場空気のデザインをどのように発表していくかについては【就業規則】の活用をお勧めします。

トップ・リーダーの価値観を現代にあったものにアップデート→現代にあった企業理念を人材育成方針や人材活用方針にまで浸透させていきたいところですが、ここで目指したいのは、企業理念と社員個人の価値観の方向性をできる限り合致させることです。

そうなると、社員個人個人の生活や仕事に取り組む背景・モチベーションの源泉までを汲みとり、社員のニーズを満たすことが必要条件となります。自ずと、社員の生活と仕事のあり方に気を巡らせることになります。

社員の生活と仕事のあり方に気を巡らせるということは、すなわち働き方・勤務条件の定期的な見直しを要請します。

企業理念を社員個人に腹落ちさせ、職場空気のデザインを発表・宣言するために、就業規則の活用を勧めるのは以上のような理由です。

職場空気デザイン発表・宣言後は

トップ・リーダーの宣言の後は 、会社の職場環境を社内に限らず社外にまでオープンに紹介する、広く発信していくことがこれから必須になると思っています。

職場の人間関係改善ステップ2に進み、さらなる改善をはかっていくということですが、この話はまた次の機会に…


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