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【in my book_#10】 辛酸なめ子 『辛酸なめ子の世界恋愛文学全集』

大学生の頃、同じ研究室の10歳年上の友人が「辛酸なめ子」のファンだった。当時、22歳だった自分には、世間をナナメから見ているような視点が受け入れられず、ずっと読まなかった。

けれど、ぶっ飛んだことを書いているようで書いてない。
読んでみると、大人にしかわからない「解放された感情」のような、子どもには知って欲しくない「恋愛の真実」のような、何とも見てはいけないものを見るようだ。

それでいて「エグい」「エロい」「キモい」内容でも、「あっ、これが恋愛文学なんだ」と納得できる自分がいる。

学生だった頃から15年くらい経過した今、自分もそれなりに色々な経験をしてきたということだろう。(変な意味ではない)

恋愛について語ることは、古代から存在していたはずだ。
いや、人類という生命の根源的な部分であるから、「いつから?」なんて語ることに意味はない。
ただ、恋愛を「文学」として人に伝え、表現することは、世界中で好まれてきたのだと実感する。

本書では日本文学と西洋文学のあわせて40作品が紹介されている。
国が違えば「愛情表現」も違うように、作品の表現もポイントも違うように感じる。根本的に世界観が違う。
ただ、自分は日本人だからか、どちらかというと日本文学の方がしっくりくる作品が多い。

やはり、日本という国は独特な国だなと思うことがある。
それは、「恋愛」という人類にとって普遍的なテーマを描くとき、誰一人として同じような作品がないからだ。

「萌え」という知られたスラングがある。
この「萌え」自体も独特な「愛」「性」の表現であるが、あえて、使わせてもらうと、日本の恋愛文学は個性的で、「えっ!そこで萌えるの!?」という作品もチラホラ。

けれど、辛酸なめ子さんがオススメしているんだから仕方ない。大人になるには読むしかないのだよ。
こうやってナナメの視点を手に入れて、大人になると「恋愛」を語れるようになるんだから。

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