見出し画像

#37 『NO RULES 世界一「自由」な会社、NETFLIX』を読んでみて

こんにちは、なびです。

あけましておめでとうございます!約2ヶ月ぶりの更新です。なかなか記事を書く時間が取れず、2021年になってしまいました。。今回紹介する本は、かの有名なあの企業の経営にフォーカスを当てたこの本です!


【読んだ本】『NO RULES 世界一「自由」な会社、NETFLIX』
【著者 / 訳者】リード・ヘイスティングス  エリン・メイヤー / 土方 奈美
【発行所】日本経済新聞出版
【初版】2020年10月22日

ーーなぜ読もうと思ったか

ネットフリックスの創設者・CEOであるリード・ヘイスティングス氏が語るネットフリックスの歴史とカルチャーを知りたい!と思い、本書を手に取りました。副題にあるように世界一「自由」な会社、と謳われているネットフリックスはどこまで「自由」なのか、それでいて今となっては超有名なグローバル企業まで登りつめた過程は一体どういうものなのか、ということを語ってくれるのでは?という淡い期待も添えて読み始めましたw

特に「自由」をテーマにした本は個人的に好きだったこともあり、本書は出版時から気になっていました。

初版が2020年10月下旬と最近出版された本なので、ご存知の方多いと思います。書店でも目立つところに置いてありますしね。メディアも結構取り上げていたように思います。

みんな大好きネットフリックス。この年末年始はお世話になりましたw

ーーどんなことが書いてある?

ネットフリックスの共同設立者・CEOであるリード・ヘイスティングス氏が語る「ネットフリックスの経営方針」が本書の主な内容です。世界的に有名な大企業となったネットフリックスをどのようにして成長させていったのか、そのノウハウを「経営」や「企業文化」という観点から丁寧に紹介しています。

経営的な俯瞰した視点はもちろんのこと、チームやマネジメントのような現場に近い視点でのアクションもふんだんに盛り込まれており、「え、ここまで書いちゃっていいの。。?」と心配になるくらい赤裸々に書かれています。

僕自身あまり経営に関する本を読んだことはないのですが、古典的と呼ばれる経営手法と、本書で紹介される経営手法とでは大きく異なるだろうなあと感じざるを得ない、そんな内容でした。まさに令和の時代にふさわしい経営手法、時代によるアップデート!みたいなことを想起させました。

加えて、読み手を飽きさせないような展開、例えば当時の従業員の振る舞いなどの実際の出来事を交えつつ、ネットフリックスのカルチャーを紹介しています。さらに、タイトルにある「NO RULES」。言い換えると「自由と責任」、というのが本書のメインテーマになります。この「自由と責任」というものがネットフリックスの経営方針、カルチャーに欠かせず、また急速に成長していくための原動力となっている、ということが身に染みて感じられました。


さてここからは具体的な内容について紹介していきます。ネットフリックスでは会社の成長を以下の3つのステップを強化することが重要と著者は述べています。

【3つのステップ】
能力密度を高める(優秀な人材を揃える)
率直さを高める(コミュニケーションや透明性)
コントロールを減らす(「自由と責任」のカルチャー)

この3つのステップを「どのように高めていくのか」を各章で説明しています。加えて、それを達成した上でさらなる高みを目指すためのアップデートを次のサイクルで説明していく、という構成になっています。つまり、本書を読み進めていく過程で、会社がどんどんと強くなっていくイメージを掴むことができます。

本書の第1~9章ではここに挙げた3つのステップを、3サイクル繰り返す方法を説明していく。1サイクルでひとつのセクションとなる。

令和時代の経営手法、「自由と責任」がもたらす企業文化、などなど。少しでもこういった話題に興味がある方はぜひとも本書を手に取ってみてください。

ちなみに、ネットフリックスを利用したことがない人でも全然問題ないので、ご安心を!w

ーー印象に残ったこと

先に述べたように本書は「経営方針」や「企業文化」が主題なので、ネットフリックスでは「〇〇が当たり前!」とか「〇〇が認められている!」みたいなタレコミが多くあることが想起されます。実際にその通りで、「こんなこと、本当にやっているんだ。。」と思わされることが多々ありました。

例えば、「出張経費」。普通の会社では事細かく、「〇〇の場合は〇〇円まで」みたいに決められていますが、ネットフリックスでは下記の一文だけ。

ネットフリックスの利益を最優先に行動する

なんともシンプル。これだと不正とか蔓延してしまうのでは、、とも思ってしまう。しかし、ネットフリックスではこのように考えている。

「自由を与えることで支出が少し増えたとしても、社員が飛び立てない職場をつくるのに比べればまだ安い」。社員にさまざまな書類に記入させ、承認を得させることで選択の自由を縛ると、彼らのフラストレーションが高まるだけでなく、ルールの少ない環境がもたらすスピード感や柔軟性が失われてしまう。

なんたる決意。まさにベンチャー気質ですね。巷で言われるスピード感や柔軟性の大事さは現職でも重要と実感していますが、ネットフリックスはそれを徹底している。日本の企業は社員の不正を恐れてルールでギチギチに固める傾向がありますが、(たとえスピード感が求められるベンチャーや業界でさえも)それとは対極です。もちろん、不正を行ったものは厳しい処置が与えられます。


他に衝撃を受けたものを紹介します。

成果連動型ボーナスは使わない。代わりにその原資を給料に上乗せする。

成果連動型ボーナス、いわゆる賞与ですね。ネットフリックスではそれがありません。え!ボーナスないの!と思われるかもしれませんが、その分元の給料(基本給)が高くしているそうです。これはとても深い理由があって、

ボーナスという仕組みそのものが「未来は予測可能であり、ある時点で設定した目標はその後も重要であり続ける」という前提に基づいている。(中略)しかし急激な環境変化に対応して迅速に会社の方向を修正しなければならないネットフリックスにおいて、社員の 12 月のボーナスをその年の1月に決定した目標に応じて決めるというのは一番やってはいけないことだ。社員がその時点で会社にとって何が最善かではなく、目標を達成することに集中してしまうリスクが生じる。

とあります。つまり、ボーナスを設けることで、「目標」をあらかじめ設定しておかないといけない。加えてその「目標」を達成することってその後本当にプラスになりますか?ということです。

変化が激しい業界に身を置いていると、重要なことはすぐに変わります。自分の体験談ですが、目標を置いていたけど結局やるべきことが会社事由で変わってしまい、結果として目標の到達ができずモヤモヤしました。仮に目標が達成されたとしても、目標以外のことはやりたがらないのは人間の性でしょう。目標を立てることは重要なこととは思いますが、目標の達成とボーナスが結びつくことには自分も納得がいかないと感じてました。

あとは、毎月の給料高くして欲しいよね、単純にw


最後にもうひとつだけ。

・社員に対し、人脈を広げて、自分とチームの市場価値を常に把握しておくよう指導する。そこには他社からの誘いの電話を受けたり、面接を受けたりすることも含まれる。その結果に応じて給料を調整する。

これは一番衝撃でした。社員は積極的に転職活動をしなさい、ということです。え!転職を斡旋させてるの!?と思われますが、そうではないです。ちゃんと目的があります。

上にも書いてありますが、転職活動(エージェントや面接)を通して、自分の市場価値を把握しておくこと、そしてその市場価値に基づいて給与が調整されるというものです。

これ、本当にすごいことで、かなり合理的なんです。市場価値で評価するということは、会社内での評価だけではなく、マーケット全体での評価に当たるので従業員の満足度は非常に高いんですよね。会社の中に閉じていないから納得感がある。それでいて、ネットフリックスはその市場価値を上回るくらいの給料を約束している。

よくある年功序列の大企業で、市場価値はそこまで高くないけど、勤続年数があるから高給な人。こういう人は転職しようにも年収が下がってしまうから人材の流動性は低くなり、老害が増えていく。逆に若者は「全然活躍していないのになんで高い給料もらっているのか」と疑問を持ち早々に退職する。これとまさに対極にありますね。


他にも面白いテーマがありますが、紹介しきれないので引用のみで失礼します。。。

・財務情報を社員に公開しよう。損益計算書の読み方を教え、全社員と重要な財務情報や戦略情報を共有しよう。
上司を喜ばせようと思うな
社員をランク付けする制度は社内競争を生み出し、協力の妨げとなるので、導入しない。
勤務評定は組織が率直なカルチャーを維持するのに最適な仕組みとは言えない。主な理由はフィードバックは一方的(上から下へ)になり、しかも与える人が1人(上司)しかいないためだ。
・部下が何かバカなことをしても、責めてはいけない。むしろ自分が設定したコンテキストのどこが間違っていたのか自問しよう。目標や戦略を正確に、そして部下の創造力を刺激するように伝えただろうか。チームが優れた意思決定をできるように、すべての前提条件やリスクを明確に説明しただろうか。ビジョンと目標について、あなたと部下の認識は一致しているだろうか。

何か一つでも刺さるものがあれば、是非とも本書を読んでみてください!


ーー本書を読んで

最近は色々と本を読んでいる中で、やっぱり海外の会社の事例は刺激的で面白いですね。前に読書ログを書いたプリファードネットワークスの話もワクワクしましたし、やはり経営ってドラマチックなんでしょうかねw

とはいえ、あんまり経営のことよく分かっていないので、「実際はこういうこと難しいよね」とか、より深掘った考察ができなかったのは悩ましいです。感動ばかりしちゃって内容が薄くなってしまったかも。。

ただ、こういった経営方針をまとめている本はある一つの企業、またはある一つの業界、業種の一つの例に過ぎない、ということは忘れてはいけないと思います。

例えば、ネットフリックスで掲げている「自由と責任」のカルチャーはインターネットビジネスの世界だからこそうまく行ったのだと思います。インフラや行政みたいなところだとうまくいかないと思いますしね。

最後に、ネットフリックスが大事にしている「フィードバック」4原則(4A)を紹介して締めようと思います。とても大事なことだと感じたので、自分の心にしっかりと留めておこうと思います。

・相手を助けようという気持ちで(AIM TO ASSIST)
・行動変化を促す(ACTIONABLE)
・感謝する(APPRECIATE)
・取捨選択(ACCEPT OR DISCARD)

いやあ、かっこいい会社だ!!


いつも読んでくださりありがとうございます!
それでは!

TOP画像:Thibault Penin on Unsplash


この記事が参加している募集

推薦図書

読書感想文

いつも記事を読んでいただきありがとうございます! 私がもっと頑張れるためにはあなたのサポートは非常に強力です。noteでもっと記事書いてほしい!と思ってくれるのであれば、ぜひともサポートお願いします