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僕と君の物語

緑のマフラーをした君を
僕はずっと探していた。

君と出逢う前から。


僕は僕という存在を。
知られることが。理解されることが。
怖くて、怖くて、震えていた。
生きていくことさえ怖かった。不安だった。

その想いを内に秘めていることも知らず
君は僕に近づいた。

そして、苦しめた。

君は僕の中に眠る何かを知りたがった。
その何かを通して世界を見透していた。

なぜこんなにも僕の中に溶け出そうとするのか。

お願いだから。
もう近づかないでくれ。

僕は逃げた。
逃げて、逃げて、、

また君を探していた。



そうだったのか。
僕は知られることが怖かったのではなく、
理解されることが怖かったのではなく、

君が去ってしまうことが怖かったのだ。

この僕の描く感情を前に。
君はずっと変わらず、
ただそばに居てくれていた。

変わらず、ただそばに居ること。
それが
僕の中にある灯火に明かりを染めた。


僕は君と出逢い新しい感情が生まれた。

君の大きな手に。身体に。
触れたいと想った。

触れてほしいと想った。

そして、その想いが重なり合い、混じり合い、
涙が溢れることもあった。

愛されることの喜び。
失うことの怖さ。

僕の中の私が溢れ出していた。



これからもずっと
君の声に、手に、身体に、
触れてもいいですか。

僕で君のこころを満たすことはできますか。

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