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こ・と・ば

ある日のこと。
突然、少年は言葉を話せなくなった。いや、話さなくなったという方が正しいのかもしれない。

今まで、少年は言葉によって自分のことを守り続けてきたのだ。相手を傷つけないように、傷つけないように....と。

けれど、相手を傷つけないようにするというのは表向きの理由であって、本当はただ自分が傷つきたくないからだった。

僕なんか言葉を話せなければいい。
そうやって生きていた方が、周りにも迷惑をかけない。僕も。僕自身も疲れない。

だから....でも.....
言葉を話せない僕に生きている価値はあるのだろうか。何のために存在しているのだろうか。何の役に立っているのだろうか。

そもそも言葉とは....?
言葉がなければ、壁は生まれないのでは..?
もっと生きやすくなるのでは..?

僕は自分の発する言葉で、どれだけの人を傷つけてきたのだろうか。どれだけの人を失ってきたのだろうか。

この答えの見えない問いにずっと向き合い続けるのだろう。そして、向き合い続けるには、やっぱり言葉が必要なのである。

だから僕は言葉を.....。

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