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ぼくは、ぼくを探す。

ぼくは人と関わることを辞めた。
人と関わらなければ「傷」は残らないから。

雨音が響き渡る図書室の片隅で、
ぼくはまたページを捲る。
このページの先にある光を探して。

いつからだろうか。
人を信じることを辞めたのは。
幼い頃に母を病気で亡くした。
母を亡くした悲しみで父はおかしくなった。
だからいつも家で一人ぼっちだった。
それが当たり前だった。

学校に通い始め、ぼくにとっての当たり前が、他の人にとっては当たり前でないことに気づいた。
..そっか、ぼくはおかしいんだ。
学校でも一人ぼっちだった。
何を言われようと、誰一人かばってくれない。
ぼくがおかしいから。ぼくが....

そんなぼくにも居場所ができた。
誰にも邪魔されない。心に入り込んでこない。
自分だけの空間。図書室だ。
図書室に入って、書籍を手に取る。
もうぼくの世界だ。
どんな感情にも寄り添ってくれる。
いつか。ぼくも....

目を瞑り、耳を澄ます。
みんな泣いていた。誰かを想って。

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