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「大事なことほど小声でささやく」森沢明夫

AmazonのKindle Unlimitedで読めた。
やはり自分は単純なもので、ある程度の対価があるものの方が、そうでないものと比べて劣る、とどこかで思ってしまっている。
要は、油断したのだ。

面白かった。
うるっときたし、笑ったし、しんみりしたし、自分が楽しい人生を歩む為の指標になるような言葉とも出会えた。
いい作品って知らないところに沢山あるんだね。

本作にはいいオカマが出てくる。
オカマって差別語?そのつもりはないが、気を悪くしたらすんまそん。

このオカマ、マッチョで優しくてスナックやっていて、友人達の状況を察して彼らを導く言葉をくれる、すごい存在。
あだ名はゴンママ。
もちろん下ネタも得意!!

オカマさんはなんでこんなキャラクターとして描かれるんだろう?
やっぱそういう人が多いのかな?
確かにかつて自分が出会ったオカマもこんな感じだった。

その人はタイの職場の責任者で、俺が責任者をやっていた仕事の一部を、人件費の安いタイに持って行くことになり、彼の部下に教えに行った時に出会ったのだ。
タイに移住した日本人。

初めての海外出張で不安だった俺を気遣い、ご飯連れてってくれたりした。

彼が雰囲気を作った職場で、4週間ほど働いて衝撃を受けたことがあった。
俺はマネジメントとして、部下達に何か問題がありそうだと感じると、声をかけて面談ルームで話を聞いたりしてた。
こちらから働きかけていた。

彼は違った。
彼の席の隣にぽつんとパイプ椅子が置いてある。
彼の部下たちは、なにか不安なことや楽しかったこと、聞いてほしいことがあると、そのパイプ椅子に座って話はじめる。
彼はオカマらしい喋り方で、「もう!!あんまり気にすんじゃないわよ!!」なんてアドバイスしてた。
で、「おばさん忙しいんだから、仕事もどんなさい!!」って。
みんな一様にスッキリした顔で自分のデスクに戻るんだ。
そんな彼を全員が慕ってた。

あ~メンバーから来てくれるんだ。。とびっくりしたと同時に、彼の人望にちょっとした敗北感。

彼がオカマだから、というのも乱暴かと思うが、たぶん普通の性を生きている人よりはご苦労もあっただろう。
だから本当の優しさがあり、それに気づいたみんなが寄ってくるのだろうと思った。
「人は悲しみが多いほど、人に優しくできるの~だか~ら~♪」だ。

本作も、みんながゴンママの周りにやってきて、初恋の苦しみや、思春期の娘との関係、家族を無くした気持ちとの折り合いなど、様々な悩みを吐露し、ママに導いてもらう。
その言葉が、読んでいるこちらにも刺さるのだ。

そして、ゴンママ本人もつらい思いをするのだが、それを救ったのは。。

ちょっぴり泣ける。
うん!!いい本だった!!

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