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作業療法士が語る療育〜叱るについて〜


『叱る』負の悪循環

発達障害の児童様(以下、児童様)と関わる時に、
『叱る』ことで負の悪循環に陥ることがあります。
『叱る』きっかけは児童様の不適切な行動です。
例えば、
・玩具を散らかす
・テーブルの上に乗る
・物を投げる
・ご飯で遊ぶ
・大声で叫ぶ
などが挙げられます。
そして、大人(保護者様や療育者様)が叱ります。
すると児童様が自信や意欲を失い、更なる不適切な行動を起こします。
これが『叱る』ことによる負の悪循環です。

何故、叱るのか?

では何故、叱ってしまうのでしょうか?
叱りたくて叱っている大人(保護者様や療育者様)はいません。
叱らなくていいのなら、叱りたくないのが本音だと思います。
ここでは児童様が自信を持って成長出来るように、『何故、叱るのか?』、そして負の悪循環に陥る理由について解説させて頂きます。

『子供の頃の経験』に頼るリスク

私達はどんな場面でも、これまでの経験から行動します。
『育てる』に関しても同様です。
大人は誰しも子供の時代があります。
そして最初は子供の時に受けた教育の経験を基に児童様と関わります。
『私が子供の時はよく叱られた』
そう思いながら、叱ってしまうこともあると思います。
しかし私達の環境と児童様の環境は全く別物です。
時代が違うため、同じ方法では上手くいかないことが多くなります。

大人と子供の考えは別物!

その他に大人(保護者様や療育者様)と児童様の考え方も、もちろん違います。
大人(保護者様や療育者様)は様々な経験を経て、今の考えがあります。
しかし児童様にはその経験がありません。
児童様は成功経験や失敗経験を、今まさに学んでいる最中なのです。

大人と子供のギャップ

この2つの理由から分かる通り、大人(保護者様と療育者様)と児童様の間にはギャップ(経験や考えの違い)が生じてます。

そして、大人(保護者様と療育者様)から、時折こんな言葉を聞きます。
『言えばわかってくれる』
『言わないとわからない』
もちろん、伝えないとわからないのは事実です。
しかし『叱るという伝え方をしてもいい』という理由にはなりません。
叱られて泣いている児童様は泣くことに精一杯です。
『なんで怒られているのか?』
『どうしたら良かったのか?』
という、1番大切な部分を考えれていません。
脳科学的にも叱られた時の脳血流は低下しています。
考えることが出来ていない証拠です。

何故、叱るのか?何故、悪循環に陥るのか?

まとめです。
大人(保護者様や療育者様)と児童様の『経験と考え』にはギャップが生じています。
何が良くて何が悪いのか、なんで良くてなんで悪いのかを伝えることは大切です。
しかし言えばわかると思い、『叱る』という伝え方をしても上手くはいきません。
その結果、児童様の自信や意欲を下げてしまい、考える力を引き出せません。
これが負の悪循環に陥る原因になります。

『叱る』以外の方法を!

『叱る』という伝え方を全否定するつもりはありません。
効果的な場面もあります。
しかし『叱る』ことで多くのデメリットが生じてしまうのも事実です。
特に発達障害の児童様は、そのデメリットが顕著に出ます。
叱っても行動が良くならない時は一度立ち止まり、別の方法を試していくことが大切になります。
そして別の方法を試していくことで大人(保護者様や療育者様)の成長にも繋がり、どんな場面でも上手に関わることが出来ます。

もし、その方法がわからない時は1人で悩まずにお気軽にご相談下さい。
児童様や保護者様、療育者様に適した方法をご提案させて頂きます。

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