Buy-inー他部署の誰を巻き込もう?

社長と直属の上司である部長を抑えたものの、ハッキリ言ってノープランだった。成功している組織イメージはあるものの、じゃあ具体的にどうやって進めていくのか、全く考えていなかった。うんうん考えてみたものの、全く浮かんでこない。困った、ヤバイ。どうしよう。とりあえず色んな部長に話してみて反応見てから具体的なところを詰めていこう!うんうん一人で考えてても仕方ないし!私はスケジュールを確認し話す内容を整理した上でM部の部長のデスクへ近づいた。

「Hさん、今5分程度お時間よろしいでしょうか。ご相談したいことがございまして・・」

M部の部長であるHさんは非常に厳しいと社内でも有名だが、根底にはビジネスと部下たちへの愛情に満ち溢れている方だと私は思っている。一番に話してみるのは最も適切な相手かも知れない。でもウチの会社数字の話ばかりだし、「意識高い系」と失笑されて終わりかも知れない。ま、その時はその時か。と私は話し始めた。

組織改革にコーチングからアプローチしようとしていること、ライフコンパスという考え方、なぜしようと思ったのかと私自身のチームリーダー時代の経験、社長とどんな話をしたのか、それらに対して私の上司がどんな意見を持っているのか、そしてM部で取り組んでみたいと思っていること。5分しか時間がなかったのでアウトラインだけ話した。

「え!何それ!面白い!詳しく聞かせて!時間大丈夫?だったらちょっと移動しましょう」

なんと!予想以上の反応を見せてくれたHさん。これは幸先良いかも知れない、とワクワクしてミーティングルームに移動した。

「実は似たようなこと最近ずっと考えてて・・」Hさんが話し始めた。

エリアでも一番の稼ぎ頭であるM部が景気の影響をモロに受けて今年数字が低迷していること、数字が上がらないからみんな暗くなっていること、そんな中更にプレッシャーをかけるように魚の釣り方をマネージャーにもメンバーにもアレコレ伝えているけどそこまで響いていないと感じていること、でも数字の状況を見ると言わざるを得ない現状があること、そしてHさんはボートに例えて話し出した。

「今のM部って、ボート漕げ漕げ!って会社から毎日毎日言われて、みんな素直だから一生懸命漕いでるんだけど、でも俺たちどこに向かってるんだろう、ほんとに大丈夫なの?ってやみくもに漕ぐだけ漕いでる状況だと気づいたの。これじゃ焦って空回りするばかりだから、漕いだ先にどこに着くのか、そこをそもそも話していかないとな、これまでそういう話全然できてなかったな、って、ここ1か月くらい何かにつけてもみんなに”数字をやり切った先に何を目指そう?”って話をするようにしてたの。私は元々そういうの強く持ってるから何があってもブレないけど、以外と持ってる人が少ないのかも知れないって感じ始めたところなの。踊る女さんが利害関係ない立場から関わってくれるのはとても嬉しい。本格的にM部全体でもこういうのやりたいな、やらなきゃな、って思ってたけど、正直業務が多すぎて・・。正直助かる。だから是非お願いしたい」

なんと驚くほどすんなりと最初のフォロワーをゲットできた。そして私たちは下準備に入った。

「ではまずはマネージャー・リーダーがどう感じているのか、それぞれの方とお話してみます。それからチーム単位でメンバーともランチしながら正直な意見を吸い上げてみますね。それからM部としてどう具体的に取り組んでいくのかご相談させてください」

3か月の実施期間があれば、小さな変化が起こりだして数字にも反映されてくるはずだ。となると下半期中に結果を数字で出さねば。意外と時間はないかも知れない。

「Hさん、来年始まった時点で、”今年のM部は(数字も)期待できるな”という状態に持っていくのが当面のゴール考えています。それで良いでしょうか?」「いいね!やりましょう!」

こうして、まずM部での取り組みがスタートした。

M部にいるマネージャーは2人、リーダーは2人。まずこの4人と話をしよう。早速4人のスケジュールを見ながら、ある人はランチ、ある人は夕方の時間をブロックして、「ご相談したい件がありまして、時間抑えさせていただきました。お忙しいところ恐縮ですが、何卒よろしくお願いいたします。」とお願いしに回った。

もちろんみんな顔も知っているし個別でランチにたまに行く人もいる。でも、組織の話やミッション・ビジョンといった本質的な話をするのは初めてだ。みんなどんな意見や考えを持ってるんだろう?フォロワーになりそうな人は見つかるだろうか?

「・・てことで、来週末までに4人とお話することになりました。M部については上手くいきそうです。短期的なゴールとしては、来年度がスタートした時点で数字に明るい兆しが見える状態であることと考えています。」

上司との週に一度のミーティング。抱えているプロジェクトそれぞれについて報告した後、最後に「例の件なんですけど・・」と報告していた。

「Hさんを巻き込めたのは良かったね。このまま進めていきましょう。ここで成功事例を作ることができれば、全社的に広げていきやすいね。まずは小さく始めること、そして必ず結果を出すこと。もちろん数字でね。小さく始めて短期で結果を出すこと、これが新しいことを社内で始める上で大事なことだよ」

さすが社内一頭が切れてとんでもなく努力家な上司。今の部署の立ち上げから会社のブランドにまで育て上げ、新たな打ち手を数々社内に発信し続けている人なだけある。アドバイスも的確だ。

「承知いたしました。古巣のH部でも始めようかな、と思っていたんですけど、まずはM部で成功事例を作る、で良いでしょうか?」

「うん、きみの業務量も考えると、他にもこれから2つほど任せるプロジェクトもあるし、まずはM部で始めましょう。H部とのミーティングで話してみるのはいいんじゃないかな。反応を見る、って意味で。」

「そうですね、各部長の意見は聞いてみたいところなので、聞ける方には聞いてみます。まずM部で数字に反映できるような組織づくりに取り組みます」

一度スタートしたらもう進むしかない。そう決めると意外と未知なことでもサクサク行動できるものだ。目上の部長たちに話を切り出すには覚悟もいる。でもこれは私がやりたくて始めたプロジェクトだ。誰かから頼まれてやるのではなく、私がやると決めたのだ。だったら、やるだけだ。「できるかできないか」ではない。やるだけだ。結果が出るまで。とてもシンプル。私のアタマもココロもとてもクリアだ。やりたいことやってお金を貰えるなんて、なんて幸せなんだろう。

もちろん、順調にいくはずがない。その後1か月足らずで大小色々ハードルにぶつかるのだった。

★後書き★

備忘録的に書き始めたのですが、読んでいただいている方がいらっしゃることにびっくり!本当にありがとうございます!細かな表現は覚えていない部分もありますが、ノンフィクションで現在進行形です。先週は体調崩すほどのカベ?闇?にぶちあたっていました(苦笑)今日Hさんに色々アドバイスいただいていたところです。週2の更新を目標に頑張ります!引き続きお付き合いいただけますと幸いです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?