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【目印を見つけるノート】1479. サン・ジョルディの佳い過ごしかた

Patti Smithさんのスペインのプロモーターの方は1976年から毎年、サン・ジョルディの日にバラを贈ってくださるそうです。インスタグラムでそれを見て、「SNSがこのような素敵な記事でいっぱいになればいいのにな」と思いました。

サン・ジョルディの日は昨日でした。
私ですか🤔
いただいたことはないです。

うちのバラは開きました。

昨日は市ヶ谷の『インスティトゥト・セルバンテス』に対談を聴きに行ってきました。
こちらですね。

『黄金世紀文学の光と影』をテーマに東京外語大の立石博高名誉教授とアルフォンソ・マテオ=サカスタ教授が対談する内容です。進行は清泉女子大学の吉田彩子名誉教授です。
この日、4月23日が『世界図書・著作権デー』ということでの開催です。この記念日はサン・ジョルディの日やシェイクスピアの命日などに由来するそうです。

会場には一輪のバラを持った女性がいました🌹

例のごとく何の事前知識も持たずに行ったわけですが、私がひょいと行くのもおそれ多いと思ってしまう方々でした。

マテオ=サカスタ教授はスペインの歴史に関する小説を多く出されていて、対談の立石名誉教授も聞き手の吉田名誉教授も日本におけるスペインの歴史と文学の泰斗です。
泰斗という言葉を使えるのは個人的に嬉しいです。
以降は会場でいわれていたように、皆さまを教授と書きます。

そして『黄金世紀文学』とは……。
定義はいろいろあるようですが、スペインの全盛期、15世紀から17世紀を黄金世紀と呼び、その時代の文学を指します。特に『太陽の沈まない国』といわれたフィリペ2世の時期ですね。代表的な作家は『ドン・キホーテ』のセルバンテスです。

この対談では歴史を文学として取り扱っていく意義から黄金世紀の文学について、その光と影についてそれぞれの立場からやりとりがされました。
マテオ=サカスタ教授は小説として歴史を書くことについて、
「歴史は構造物ですが、そのものは何も語りません。原因と結果は変更できませんが、将来を見ながらどこに向かっているのかを語ることができます。小説は登場人物を創造しますが、歴史はそれらを変更できません。ただ、その解釈は自由なのですね」

立石教授は「歴史学と歴史は違う」と前置きをされて、学としての扱いの違いについて言及されました。続けて歴史と文学については事実とフィクションの取り扱いなど叙述の作法が違うと。その中で、歴史学は「反駁の可能性を持つもの」とおっしゃられたのが印象に残りました。

以降はセルバンテスの創作の背景としての人生ーー銃弾を受けたり、刑務所に入ったりガレー船に乗ったりーーしたことが創作には有益だったという見方や、『ドン・キホーテ』の贋作が出されたのに対抗して第二部が書かれたお話など、知らなかったトピックスがたくさん紹介されました。著作権の日にジャストなお話です。
その中でセルバンテスの書いた作品にも「時代のメンタリティや社会的な価値観に気づかされる」という言葉が印象的でした。

そこから、その時代の背景と歴史や国家のとらえかたにテーマは移ります。
16世紀半ばのトリエント公会議によってカトリック信仰による国家共同体の統一が強化されたこと、レコンキスタでのイスラム勢力の追放やユダヤ人の排斥(ディアスボラ)の徹底による純血主義、それらに沿った『模範小説』が普及していたことなど。セルバンテスは作品でそれらを嘲笑的に取り上げているが、抜けきれていないことなどが挙げられました。ただ、そのような葛藤があって作品が生まれたということも事実です。

出てくる固有名詞がセルバンテスの他はレパントの海戦とフィリペ2世、カルデロンしか分からない状態が続いて恥ずかしくなりましたが、続いて「国家というもの」について話されると少しのみ込めるようになりました。

スペインという国が成立したのは19世紀も半ばになってからです。それまでは、カスティーリャ、アラゴンなど別々の国家があってその連合体をスペインと呼んだのです。これはイタリアもそうで、それまでローマ(と教皇庁)・フィレンツェ(トスカーナ大公国)・ナポリ王国などは別の国で19世紀になるまで統一されませんでした。
通説では、1490年代のレコンキスタ(国土回復運動)の終了とカスティーリャ、アラゴン両王の結婚によってスペインが成立したとされています。ただ実際は政治体制も変動があり、ひとつの国というよりは連邦の形が長く残ったのです。このくだりには「うん、うん」とうなずいていました。
影とも光ともいえますが、そのような国・共同体の歴史も重要な要素だというお話でした。

吉田教授のお話ももう少し伺いたかったです。

実は『ドン・キホーテ』をきちんと読んだことがありません。カミングアウト🙏💦💦
ただ、その中にはいろいろなものが詰まっていて、万華鏡のようだと思いました。
読まねばな(伯母譲りの秋田弁)。
いや、それ以前に今日は『オデュッセイア』を書かねばな😅

スペインに特別興味を持ったのは作家のメルセデス・セブリアンさんのお話をたまたま聞いたのと、『ガルシア・ロルカ図書館』がきっかけだとずっと思っていたのですが、そうではないことに気がつきました。もちろんガルシア・ロルカは昔から好きだというのはありますが。

ただそれよりも、『16世紀のオデュッセイア』を書いているのが最大の理由だなと、今さらながらに気づいたのです。うーん、鈍いな🤔 あれは自動筆記のようになってしまっている時もありますが、書くにあたってはそれなりに(本当にそれなりで)調べています。それはイタリアもフランスも、なのですが。16世紀を横から見るのを基本にしています。

久々にアップのタイトル挿絵。

主人公ではないけれど
カスティーリャ女王ファナはずいぶん出しましたし、挿絵も描きました。きのうのお話の文脈でいくと、カスティーリャ女王の正当な嫡流というのが非常に大きかったことは理解できます。スペイン語で『ホアナ』と発音されていて、とても新鮮でした。

そう、チェーザレ・ボルジアの源流もスペイン・ヴァレンシア。

マテオ=サカスタ教授が歴史を文学として叙述する意義について多く話されていましたが、それはそのまま自分の命題とも重なります。歴史書であるのか小説か、読み物か、エッセイかという区分けはなかなか難しいテーマですが、四角四面で型にはまったものばかりではなく、いろいろな視点からの書き方があることに気づきました。

もっともっと簡単にいえば「書き続けていていいのだな」と思えました。

とてもとても貴重な機会でした。

あ、ここに来たら恒例の『ロルカ詩集の書き写し』もしてきました😊
フェデリコ・ガルシア・ロルカ図書館で、
フェデリコ・ガルシア・ロルカの詩集を写すという行為にはまっているのです。

前回写したのが最初の詩でしたので、初期の作品を集中的に写そうかなと思います。初期のものだけで5~60編ありますが、まあ、気長にしたいと思います。そのうちスペイン語で自然に読めるようになるまで続けようかなと思います。今はまだまだ♾️

それでは、スペインから離れて。
Hatchie『Twin』

オーストラリアのアーティストが続いていますが、あと2回ぐらいでしょうか。この曲は一度聴いてたいへん気に入ってしまいました。体育の後に顔を洗うような清々しさがあるように思います(どういう喩え?)。
「あー、体操着びしょびしょだよ」なんて友達にいわれて😅

思えば体育の後に顔を洗っている自分と、今の自分はさほど変わっていない気がします。
身体や外見以外に何が変わったかといえば、自分が何をするべきかある程度分かっていることぐらいですかねえ🤔

清々しいですよ。

それでは、お読み下さってありがとうございます。ねばね。

尾方佐羽

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