エネルギー・文化研究所/大阪ガスネットワーク株式会社

エネルギー・文化研究所(通称CEL)は、1986年、大阪ガスの企業内研究所として設立さ…

エネルギー・文化研究所/大阪ガスネットワーク株式会社

エネルギー・文化研究所(通称CEL)は、1986年、大阪ガスの企業内研究所として設立されました。 多様なステークホルダーとの協働を通じた、理論と実践活動を組み合わせた社会への提言活動に取り組んでまいります。 CELのHP:https://www.og-cel.jp/

最近の記事

【歴史に学ぶエネルギー】25.失策続きだった日本の石油戦略

こんにちは。エネルギー・文化研究所の前田章雄です。 前回の「歴史に学ぶエネルギー」では、昔の日本の石油技術の高さをみてきました。しかし、実際の政策となると話は一変します。現代でも同じような状況が随所に見受けられますが、政治的な戦略に不得手であることが暴露してしまいます。 1)石油事情に詳しかった山本五十六 のちに元帥海軍大将となる山本五十六は、現在の新潟県長岡市に誕生しました。高齢の父母から生まれた五十六ですが、その名は誕生時の父親の年齢からつけられています。 古くか

    • 【歴史に学ぶエネルギー】24.優秀だった日本の石油技術者たち

      こんにちは。エネルギー・文化研究所の前田章雄です。 今回の「歴史に学ぶエネルギー」では、戦前戦中の日本の石油戦略について詳しくみてみるとともに、優秀だった日本の石油技術者たちに焦点を当ててみたいと思います。 1)戦前戦中の日本の石油戦略 日清戦争で勝利した日本。その結果として、台湾が日本に割譲されることになりました。 その台湾には、もともと7つの油田があることが知られていましたが、その産油量は年々減少しているという状況でした。そこで当時の日本政府は、台湾で新規の油田を

      • 【歴史に学ぶエネルギー】23.油に始まり、油で終わった戦争

        こんにちは。エネルギー・文化研究所の前田章雄です。 今回の「歴史に学ぶエネルギー」では、日露戦争に勝った日本がますます軍備を増強しながら中国へ侵攻した時代を振り返ってみます。 1)中国へ触手を伸ばした日本 第二次世界大戦前の日本です。大正から昭和初期にかけた時代、この国の最大の課題は、殖産興業・富国強兵でした。軍備の増強にまい進した日本は強い工業力を身につけ、第一次世界大戦の海外からの特需対応で飛躍的な発展を遂げることとなります。 やがて日本は、ロシアの南下政策に対抗

        • 【シリーズ】街角をゆく Vol.9 新長田 (神戸市長田区)

          こんにちは。エネルギー・文化研究所の山納洋(やまのう・ひろし)です。 僕は2014年から「Walkin'About」という、参加者の方々に自由にまちを歩いていただき、その後に見聞を共有するまちあるき企画を続けてきました。 その目的は「まちのリサーチ」です。そこがどういう街なのか、どんな歴史があり、今はどんな状態で、これからどうなりそうかを、まちを歩きながら、まちの人に話を聞きながら探っています。 この連載ではWalkin'Aboutを通じて見えてきた、関西のさまざまな地域のス

        【歴史に学ぶエネルギー】25.失策続きだった日本の石油戦略

          【歴史に学ぶエネルギー】22.サウジアラビアで石油がでた!

          こんにちは。エネルギー・文化研究所の前田章雄です。 「歴史に学ぶエネルギー」をシリーズで考えています。中東地域ではイランに続いてイラクでも石油が発見され、セブンシスターズがそのほとんどを支配します。ここで、ようやくサウジアラビアの石油が見つかることになります。 1)無謀からはじまったサウジの石油 当時、アラビア半島では石油はまったく出ず、地表にも一切の油徴すら見られませんでした。当然のごとく、セブンシスターズどころか中小の石油企業もサウジアラビアには見向きもしませんで

          【歴史に学ぶエネルギー】22.サウジアラビアで石油がでた!

          【歴史に学ぶエネルギー】21.7人の魔女「セブンシスターズ」

          こんにちは。エネルギー・文化研究所の前田章雄です。 「歴史に学ぶエネルギー」をシリーズで考えています。第一次世界大戦のあと、中東の石油利権を分け合った欧米列強の企業群は、その後のエネルギー市場を支配することになります。 1)セブンシスターズの時代 メジャーと呼ばれるアメリカの大手石油会社には、ロックフェラーのスタンダード系とメロン財閥のガルフ、そしてテキサス生まれの独立系テキサコがありました。 スタンダード石油はあまりに巨大化したため、反トラスト法(日本でいう独禁法)

          【歴史に学ぶエネルギー】21.7人の魔女「セブンシスターズ」

          コロナ禍で変わる価値観と変わらぬ欲望

          こんにちは。エネルギー・文化研究所長の金澤成子です。 エネルギー・文化研究所が発行する情報誌「CEL」の『未来ブラリ』(執筆:山本貴代氏 ※1)は、コロナ禍にスタートした連載ですが、女性たちの本音を探り、新たな課題を発見するため、様々な調査を実施し、その課題と未来についての考察を紹介してきました。情報誌「CEL」134号(2024年3月1日発行)で最終となる第9回「未来ブラリ」から抜粋し、コロナ禍後の女性の価値観や欲望の変化について、ご報告させて頂きます。 ※1 女の欲望

          【歴史に学ぶエネルギー】20.土着民族を無視した赤線協定

          こんにちは。エネルギー・文化研究所の前田章雄です。 「歴史に学ぶエネルギー」をシリーズで考えています。第一次世界大戦で戦勝国となった欧米列強の企業連合が、中東の石油利権を分け合う書面を締結しました。しかし、運用面においては、互いに熾烈な競争が繰り広げられようとしています。 1)米系メジャーがもつ遺伝子とは? 中東の石油利権を分け合う妥協案は完成したものの、実際の運営はうまくいきませんでした。 じつはアメリカのメジャー連合には、できるだけ早く、できるだけ大量に石油を地下

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          【歴史に学ぶエネルギー】19.石油の一滴は、血の一滴

          こんにちは。エネルギー・文化研究所の前田章雄です。 「歴史に学ぶエネルギー」をシリーズで考えています。石油の有用性を証明した第一次世界大戦ですが、あらたに石油が出はじめた中東地域に欧米列強が群がります。 1)世界大戦の戦後処理 第一次世界大戦は、その勝敗を石油が握っていました。 ドイツはUボート作戦によって連合国の石油タンカーを海中から狙い撃ちし、石油備蓄を危機状態におちいらせる作戦を遂行します。しかし、連合国にはアメリカという大産油国がついていました。これが勝敗を決

          【歴史に学ぶエネルギー】19.石油の一滴は、血の一滴

          【シリーズ】街角をゆく Vol.8 仁川(宝塚市・西宮市)

          こんにちは。エネルギー・文化研究所の山納洋(やまのう・ひろし)です。 僕は2014年から「Walkin'About」という、参加者の方々に自由にまちを歩いていただき、その後に見聞を共有するまちあるき企画を続けてきました。 目的は「まちのリサーチ」です。そこがどういう街なのか、どんな歴史があり、今はどんな状態で、これからどうなりそうかを、まちを歩きながら、まちの人に話を聞きながら探っています。 この連載ではWalkin'Aboutを通じて見えてきた、関西のさまざまな地域のストー

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          ウォーカブルの歩き方

           こんにちは。エネルギー・文化研究所の小西久美子です。 3月1日に情報誌CEL134号が発行になりました。私はその特集を担当しました。特集テーマは「ウォーカブルの本質を考える」です。情報誌CELの隠れた人気コーナー「書籍案内」では「ウォーカブルの本質を捉えるための10冊」をご紹介しています。今日は、その書籍を片手に散策する「ウォーカブルの歩き方」のご提案です。 1.まずは、CEL134号を読んでみよう  近年、河川空間、公園・広場、道路・街路などの公的な空間で、規制緩和が

          【歴史に学ぶエネルギー】18.イギリスの外交政策とは?

          こんにちは。エネルギー・文化研究所の前田章雄です。 今回の「歴史に学ぶエネルギー」では、20世紀初頭のイギリスの外交政策について考えてみたいと思います。現代の世界情勢まで影響を及ぼし続けている政策とは、どのようなものだったのでしょうか? 1)植民地の間接統治 植民地支配で大国にのしあがった大英帝国の統治方法について、振り返ってみましょう。 イギリスは、おもにインド亜大陸で植民地を拡大させていきましたが、重要な土地は直轄地としながらも、周辺地域は地元民をつかって間接統治

          【歴史に学ぶエネルギー】18.イギリスの外交政策とは?

          ニューヨークで「ハイライン」を歩く -情報誌『CEL』134号の発行

          こんにちは。エネルギー・文化研究所の熊走(くまはしり)珠美です。私は研究所が発行する情報誌『CEL』の編集を担当しています。 このコラムでは、情報誌『CEL』の内容や制作にまつわるお話について書いています。今回は、本日3月1日に発行した『CEL』134号の特集テーマ「ウォーカブルの本質を考える」についてご紹介します。 1.そもそも「ウォーカブル」って何? この特集テーマを選んだとき、研究所のメンバーで「ウォーカブル」について議論しました。すると、それぞれが抱く「ウォーカブ

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          【歴史に学ぶエネルギー】17.ミスター・ファイブパーセント

          こんにちは。エネルギー・文化研究所の前田章雄です。 「歴史に学ぶエネルギー」をシリーズで考えています。第一次世界大戦の直前、石油の利権を求めて現在のイラクへ進出したドイツですが、イギリスやアメリカも石油の匂いを嗅ぎつけて群がりはじめます。 1)ガルベンキャンの手腕が炸裂! 石油の歴史は、裏の世界史で暗躍したガルベンキャンを抜いて語ることはできません。 シェルとの合併でデタージングから高い評価を受けたガルベンキャンは、ロイヤルダッチ・シェルのオスマントルコ代表の肩書きを

          【歴史に学ぶエネルギー】17.ミスター・ファイブパーセント

          【歴史に学ぶエネルギー】 16.オスマントルコの利権争奪戦

          こんにちは。エネルギー・文化研究所の前田章雄です。 「歴史に学ぶエネルギー」をシリーズで考えています。イギリス海軍の石油利権の獲得に失敗したシェルは、ロイヤルダッチと合併します。その合併劇の裏で暗躍したガルベンキャンですが、今度はドイツを陰で支えます。 1)オスマントルコへの進出 ヨーロッパが第一次世界大戦へと雪崩込もうとしている20世紀初頭、チャーチル率いるイギリス海軍が石炭から石油への転換に決断し、イギリス独自の石油利権の獲得を目論んでいます。 じつは、石油のもつ

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          【歴史に学ぶエネルギー】15.ロイヤルダッチとシェルの合併劇

          こんにちは。エネルギー・文化研究所の前田章雄です。 前回のコラムでは、合併を打診するロイヤルダッチのデタージングに対し、会社規模の大きなシェルのマーカスが首を縦に振らなかった背景をみてきました。しかし、アメリカのスタンダード石油の安売り合戦によってボロボロになった彼らは、ようやく合併を決断するにいたります。 ここで、のちのエネルギー史にも大きく影響する、あるひとりの重要人物が登場します。 1)タフ・ネゴシエータの登場 シェルとロイヤルダッチの合併劇の裏には、ガルベンキ

          【歴史に学ぶエネルギー】15.ロイヤルダッチとシェルの合併劇