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悪天候と留学生、天気についての一幕

先週、朝から強めの冷たい雨が降っている日がありました。
私も傘を差し、できるだけ屋根があるところを歩きながらいつも通り出勤しました。

そんなとき、いつも頭をよぎることがあります。
「あー、今日は欠席多いだろうなあ」

案の定、そんな日は朝一で教室に入ると、
席の埋まり具合はちょうど半分くらいです。

授業開始時間になり、出席を取って授業を始めていると、
ちらほら遅れてくる人もいます。
遅刻なので、一応理由を聞いてみます。
「今日はどうして遅れたんですか?」
「先生、今日は雨ですから」

日本社会に適応している一人としては、
雨だから遅刻…?電車が遅れたりしているわけでもないのに?と思いますが、
少なくとも私の身の回りの留学生には多いのです。悪天候休みが。

もちろん、あまりにも出席率が下がってしまうと
ビザの審査に悪影響が出てしまったり、進学や就職で不利になったりというデメリットも留学生にはつきまといます。

しかし、朝から天気が悪いときに誰しもが思う、
「あー、今日家出たくないなあ」を素直に実行できてしまうその感覚は、
正直ちょっと羨ましく思うときもしばしばです。

また、天気に関する話題だとこんなこともあります。
以前、また強い雨が降っているときに、「今日は天気が悪いですね」と
何の気もなしにネパール出身の学生に話しかけてみたところ、
「いいえ、悪くありません。いい天気です。私は雨が好きです」と返ってきて、
一瞬面くらったことがあります。

日本語では一般的に「晴れ」がいい天気、
雨が降っていれば「天気が悪い」と言います。
あまりこの「いい/悪い」の基準を疑ったことはなかったのですが、
彼女の発言を聞いて「たしかに、雨だから悪いって決まっているわけでもないよなあ」と感じました。

ちなみに、なぜ雨が好きなのか聞いてみると、
「雨が降っているときに傘をささずに外に出て、雨の中でダンスするのが気持ちがいいから」という、これまた私の小さな了見の中には全くない視点からの答えが返ってきました。
なんという芸術的な回答でしょう。素敵ですね。

日本語学校の教員としては、彼らの出席率が高くキープできるよう指導しなければならない立場なのですが、
天気が悪いので学校を休む、というゆるさには憧れてしまいます。
私にそんな勇気はないのですが…。

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