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第一印象が勝負「アンカリング効果」とは?

「○○って、こんな感じだよね」

何気なく述べたその印象は、その人が最初に受け取った情報によって形成されています。

このように、物事に初めて接した情報が、後の判断に影響を与えてしまう心理効果を「アンカリング効果」と言います。

最初に見た情報がすべて?


アンカリング効果は、初めに受け取った情報がその後の判断や行動に影響を与える心理現象を指します。
その情報が、まるで心の中で「いかり(錨)」のように働くことから、アンカリングと呼ばれています。

具体例を交えて、アンカリング効果に対する理解を深めてみましょう。

たとえば、あるジャケットが10万円で売られていたとしましょう。あなたはそのジャケットを気に留めながらも、その値段の高さになかなか手を出せずにいます。

しかし、翌日そのジャケットが7割引きの3万円で販売されていると知りました。

「安くなっている!今買うとお得だ!」こう感じることでしょう。

さて、そう思ってしまうのは、最初に見た「ジャケット 10万円」という情報が私たちの印象に残っているからです。もしそのジャケットが最初から3万円だとしたら、お得だとは感じないでしょう。

このように、初めて受けた情報に関連する数値や特徴などが、後の判断に影響を及ぼすことがあります。この効果は、まるで船が海に錨(アンカー)を下ろすように、比較基準や必要条件を設定する役割を果たすのです。


アンカリング効果を使うときは注意を!


では、この効果は具体的にどんな場面で活用できるのでしょうか?

たとえば、アンカリング効果が活用される例の一つに、「メーカー小売希望価格」を使ったお得感の演出があります。

メーカーは自社の商品を市場に投入する際、その商品に希望小売価格を設定することができます。もちろん独占禁止法により、メーカーは販売業者に対して、販売価格を指示・強制することはできません。

にもかかわらず、希望小売価格を設ける利点は、比較基準を設け、それと実際の販売価格との差を通じて、お得感を生み出すことができる点にあります。販売業者は通常、希望小売価格から値下げして商品を販売するため、この価格差が「お得感」の演出につながり、集客に寄与することができるのです。

ほかにも意図的にもともとの値段と割引価格を併記するなど、アンカリング効果を活用できる場面は多くあります。

一方で、アンカリング効果の使用上の注意点も見ていきましょう。最も気を付けなければならないのは、景品表示法違反の問題です。例えば、「通常価格1万円のところを、今回に限って特別価格5,000円で販売します!」といった宣伝文句を目にすることがあるでしょう。このような宣伝は広く行われていますが、注意すべきなのはその通常価格が実際に存在しない場合です。当然ながら、もし通常価格が虚偽の情報である場合、それは法的な処罰の対象となります。

また、市場に既に多くの類似商品が存在する場合、アンカリング効果の効果は薄れることがあります。たとえば、コンビニやスーパーで手に入る清涼飲料水を考えてみてください。その価格にアンカリング効果を利用しようとしても、多くの消費者は既にその価格を把握しているため、アンカリング効果は限定的になる可能性があります。つまり、その商品に関する情報が手に入り、容易に比較検討ができる場合は、アンカリング効果の活用が難しく、むしろ価格以外の要因も含めた戦略を練ることが重要なのです。

アンカリング効果は、営業やマーケティングなど、さまざまな場面で利用できます。ただし、この効果のデメリットにも十分な注意が必要です。戦略的に効果を活用するなら尚更、逆の影響を見落とさないように慎重に考慮することが肝要です。

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