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ゆでガエル理論、誰が言い出した?

「ゆでガエル理論」とは、ゆっくりと進行する危機や環境変化に対応することの重要性と難しさを説くたとえ話です。

この理論は、主に企業経営やビジネスの文脈でよく使われますが、そもそも誰が言い出したのでしょうか?


ゆでガエル理論は、精神医学者が言い出した


最初にこの寓話を用いたのは、1950年代から1970年代にかけて活躍したアメリカの思想家、文化人類学者、および精神医学者であるグレゴリー・ベイトソンとされています。

日本では、経営学者の桑田耕太郎と社会心理学者の田尾雅夫による1998年の共著『組織論』で「ベイトソンのゆでガエル寓話」として紹介されています。

では、なぜベイトソンはこの寓話を作り出したのでしょうか。


メタメッセージとダブルバインドがもたらす障害


ベイトソンは、「メタメッセージ」という概念を提唱し、これが人間の心理や行動に影響を与えると考えました。メタメッセージとは、言葉の意味だけでなく、話し方や態度、状況などから伝わる暗黙のメッセージのことです。

例えば、「ありがとう」と言うときに笑顔で言えば感謝の気持ちが伝わりますが、不機嫌そうに言えば皮肉や不満が伝わります。つまり、同じ言葉でもメタメッセージによって受け取り方が変わるのです。

ベイトソンは、メタメッセージが矛盾すると人間は混乱やストレスを感じると考えました。例えば、「好きだよ」と言いながら冷たい目で見るとか、「怒ってないよ」と言いながら怒った声で言うとか、そういう場合ですこのような矛盾したメタメッセージを「ダブルバインド」と呼びました。


ダブルバインドこそがゆでガエル理論


ベイトソンは、ダブルバインドが長期間続くと、人間は自分の感覚や判断に疑いを持ち始め、精神的な問題を引き起こすと主張しました。ゆでガエル理論は、ダブルバインドの一種として考えることができます。

カエルは、水の温度が徐々に上がっていくという環境のメタメッセージと、自分の体感温度が変わらないという自分の感覚のメタメッセージとの間に矛盾を感じます。しかし、カエルはその矛盾に気づかず、自分の感覚に従って水にとどまり続けます。その結果、カエルは生命の危機に陥ります。

人間も同様に、環境の変化に気づかず、自分の感覚や習慣に固執すると、危機に直面することになります。まさに環境変化の激しい今こそ、固執せずに手放す勇気が必要ですね。

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