見出し画像

飲食激戦区大山で生き残った超庶民派ステーキ店(ステーキ食堂たなか/大山/ステーキ)

思い起こすこと今から約5年前、息子が産まれる半年ほど前のこと。
私は日に日にお腹が大きくなる女房のしんどそうな姿を見て、愛する板橋区を出て、女房の実家のある墨田区に引っ越すことを決意した。

とはいえ、板橋区の専門家として、板橋に住む限りは新店開拓をサボる訳にはイカンと、とあるお店をブログ(実験的にやっていたニコニコのブロマガ)で取り上げた。
すると何故かニコニコニュースか何かに取り上げられてしまい、超どうでもいいローカルな話なのにプチバズり。

そんな妙な思い出のあるお店が、今回ご紹介する 『ステーキ食堂 たなか』 さんである。

正直に言うと、私はこの店が激戦区大山で生き残れるか不安だった。べらぼうに安く、その割に味は良いので、住民に見付けて貰えればワンチャンあるとは思っていたのだが、なんせ立地が致命的に悪い……。

だが、そんな私の心配をよそに、たなかは堂々と生き残っていた!

上:数年前のオープン直後の外観
下:現在

板橋で人気になる店にはいくつかパターンがあるのだが、特に ”あるある” なのが 「日に日に視覚的にうるさくなる」 ことである。
この店もご多分に漏れず、以前と比べると何かがうるさい。なぜ空白があると何かで埋めようとしてしまうのか。

この絶妙な情報量の多さが 「ああ、この店も立派な板橋の店になったんだな」という安心感を与えてくれる。

それにしても「サーロインステーキセット 890円」というのは何の冗談だろうか。ハンバーグセットに至っては680円で、挙句に数種類ある弁当(ステーキ丼だのトンカツだのトンテキだの……)はすべて500円である。

ここは数年前の時点で板橋によくある ”算数できない系” のお店だったのだが、数年経ってもまだ小学生レベルの算数が苦手らしい。

もういっちょビフォー&アフターをお届け。
これは2014年の開店直後の店内メニュー。この時点でカオスな予兆は見て取れるが、数年経った今ではこうなっている。

よーしよしよし、仕上がってるよ~~。
いい具合に出来上がってるよ~~。

情報量が多すぎて何が何やらという感じだが、あくまでメインはステーキとハンバーグである。貼り紙の中には ”うな重” という文字列もあったが、きっと気のせいだ。鯖だのまぐろだのオレには見えない。

なぜ板橋の店って高確率でこういう事になってしまうのか。

それはそうと、普通はこの系統の店ってどれも味がイマイチだったりするでしょう。だからこの店も単なる安かろうのお店に思えるでしょう。

でもねえ、ここは値段を考えたら何も文句のないクオリティなんでございますよ。この680円のハンバーグセットに文句を言うヤツは、きっと松屋で焼肉定食を食べても難癖付けるだろう。

ハンバーグはみっちりとお肉の詰まったタイプ。柔らかさは殆どなく、みち~~っとしているので、この辺りに好みの差は出そう。
だが、かかっているソースがとても悪い味がするので、ご飯が進む事は間違いない。

こちらは900円しないサーロインステーキセット。セットの内容はハンバーグと同じで、ライスとスープとサラダ。

この値段だから、国産の良いお肉な訳はないけど、それでもとても柔らかく、焼き加減もよろしく、「THEビーフ」という風味がしっかり感じられる。この値段だという事を考えたら感謝の気持ちしか湧かない。

また、醤油ベースのステーキソースがこれまた米が速攻で無くなる悪い味でなあ。このタレをご飯にかけるだけで満足できそうだ。

どれくらいお肉が柔らかいかと言うと、ウチの4歳児が自力でがっつけるくらい食べやすい。ステーキとハンバーグを1人前ずつ頼んだのだが「ボク、ステーキの方がすき!」と、1人で殆ど食っちまいやがった……。
こちとら息子と仲良くシェアするつもりで小さくカットしてやったのに、それが食べやすさに拍車をかけてしまったようだ。ほんの数分ハンバーグに気を取られていたら、2~3切れしか残っていなかった。


さてさて、この店はランチタイムとディナータイムでだいぶ用途が変わる。昼はランチセットや500円弁当がやり過ぎなくらい格安なので、必然的にお食事が中心になるだろう。
ところが、夜は上で紹介した写真にあるようなカオスメニューが総動員されるため 「ステーキも食べられる居酒屋」 となる。
ちなみに、ディナータイムはランチに比べると少しお高くなり、たしかサーロインステーキのセットが1,000円くらいだったはず。とはいえ最も高いステーキでも1,300円程度なので、激安価格な事に変わりはない。

大山の商店街から外れた辺鄙な場所にあるが、もしお近くにお住まいの方がおられたら、ぜひ試して欲しいお店である。
こんなアホみたいな金額で、それなりのステーキが食べられるって、ありそうで中々ないと思う。

[店名] ステーキ食堂 たなか
[住所] 東京都板橋区大山東町26-1
[TEL] 03-3963-0332
[営業時間] 11:30~14:00 17:00~21:00
[定休日] 無休(不定休?)

◇本の宣伝です
板橋マニアー板橋好きが案内する板橋まちガイド
https://amzn.to/2yEz1RS
監修:板橋区
価格:1,800円(税別)
[内容]
板橋のまちには、普段気づかなくても、視点を変えると見えてくる素敵なものがあります。
それを教えてくれるのが、あるジャンルに長けたマニアックな案内人。そのこだわりの眼で、板橋を案内してもらうガイドブックが誕生しました。ずっとここにあった、板橋の魅力たち。みなさんも、再発見の旅に出ませんか

[執筆者]
◇東京スリバチ学会会長・皆川典久(『東京「スリバチ」地形散歩』洋泉社)による「凸凹地形散歩」
◇団地マニア・大山顕(『団地団~ベランダから見渡す映画論』シネマ旬宝社)による「板橋団地ツアー」
◇グルメライター・刈部山本(「マツコの知らない世界」出演)が紹介する「板橋グルメの世界」
◇暗渠マニア・髙山英男&吉村生(『暗渠マニアック! 』柏書房)による「見えない川を探す旅」
◇境界協会主宰・小林政能(「ブラタモリ」「タモリ倶楽部」等に出演)による「区界探検・東西南北」
◇荒井禎雄(『魚屋がない商店街は危ない』マイクロマガジン社)による「板橋商店街の歩き方」.....などなど!

皆様からの金銭サポートがあると、子育てに追われる哀れなオッサンの生活がいくらか楽になると思わせておいて、息子の玩具やお菓子や遊園地代で殆ど溶けます。