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【こども目線で見た】田舎の子育て

「田舎」で過ごしたい。

自然の中で子供をのびのび育てたい。

そんなことを考えている方

いらっしゃいますか?

私もたまに思います。


自然と触れ合うことは

子供にとって貴重な体験になるのではないか。

物価も安いだろうし良いこと尽くめだ。

「よし、引っ越そう!」


否、ちょっと待ってください。

もう少し、じっくり検討する必要があるかもしれません。


ここでは、実際の経験を元に

当時、小学生ながらに感じた

田舎のポジティブな面と

そうでない部分を書いていきます。





①田舎の定義

私は幼少期、田舎で過ごしました。
どのくらい田舎かと言うと、
市町村合併で吸収"された"側の地域です。
「市」ではなく「郡」でした。

小学校も分校などの小規模校が点在、
中学校は辺り一帯の小学校を全てまとめて
1学年30人前後(当時)です。

田舎の定義は
人の主観によって様々ですが
私はこの場所を
田舎だと認識していました。



②田舎の利点その1

保育園から小学生、中学生と、
ずっと友達が変わりません。
車で30分範囲に高校が2校ありますので
一部を除けば、高校も一緒です。

0歳から一緒だと仮定すれば
ストレートにいくと
18年間おなじ人と過ごせます。
幼馴染と成長過程で恋に落ち、
そのままゴールイン!など
少女漫画的展開が
実現するかもしれません。

ただしこれには
うわあ………
と思う方もいらっしゃるでしょう。
利点かどうかは、人によりますね。


今思えば、
親同士の付き合いも大変だったのではないかと。
子供同士、大人同士の関係に
少しでもヒビが入れば
その後ずっと気まずい生活が続きますから。

「気まずい関係」でなく
「気まずい生活」?

はい。
何かしらの問題が起これば
当人同士で収まるわけではありません。
田舎の特徴として、すぐに噂が広まります。
話題に枯渇している田舎の住民にとって
恰好の餌となり、尾ひれがついて回ります。

いかがでしょうか。

新しい人間関係が随時更新されていくより
ひとりひとりとの仲を深めたい人にとって
この環境は最適かもしれません。



③田舎の利点その2

何と言っても自然豊かなところです。

私の幼少期は
漫画は『はだしのゲン』のみ許可、
ゲームにかけては完全に禁止の家庭に育ったため
活動範囲はもっぱら山と田んぼでした。

休日になると
土手に生えているヨモギでヨモギ餅を作り、
つくしやゼンマイを採って煮物にしてもらいました。
季節ごとに食べられる食材が違うので
四季の変化が楽しみで仕方ありません。

田んぼに水の張ってある時期は
中に入ってアメンボやおたまじゃくしをすくい、
水がなくなると用水路に入って
メダカをすくいました。
「手のひらを太陽に」の歌詞を
そのまま体現できます。

山なんかはもう、遊びの宝庫です。
木を登ったり、
秘密基地を作ったり、
竹鉄砲を作って
木の実を飛ばして遊ぶことができます。

登下校中は
ツツジの蜜を吸い、
グミの木や野イチゴをもぎ、
イタドリを探して皮をむいて食べる。

ヨウシュヤマゴボウの実を投げつけると
実が潰れ、服が紫に染色されます。
現代で言う「スプラトゥーン」を
リアルで友達と再現できるわけです。
(良い子はマネしないでね)


大人になった今、
画面を通して得た知識より
実際に目で見て触って感じたものの方が
鮮明に思い出せることに気付きました。

これを書いている瞬間も
一行ごとに
風のにおいや、
友達の表情、
その時々の感情を
かなり正確に思い出せます。



④困る部分その1

習い事の種類が選べません。
行きたい高校が近くにありません。
勉強をしたい子は、
早くから親元を離れる必要があります。
私もそうでした。

帰省すると母はいつも
大好きなおでんを作ってくれます。
翌日は焼肉、その次はちらし寿司。
父も嬉しそうな顔で
近況をしつこいほど聞いてきます。

そんな楽しい日々の中
「あと何回寝たら下宿先に戻らなきゃ」
と、日を追うごとに寂しさが増します。
夜を迎えるのが辛くなります。


母になった現在、
こんなに寂しい気持ちだったのは
自分だけじゃないのだと
改めて思います。

両親は、どんな思いで
自分の子を送り出したでしょうか。

空港の見送りデッキで
姿が見えなくなるまで手を振る両親。
ふたりが笑顔だったので
私も笑顔で手を振り返します。
目を大きく見開いて
涙がこぼれないよう気を付けながら。

今あなたに
小学6年生の子供がいるとしましょう。

距離にもよりますが、
交通の利便性が低い場合
あと3年後には
年に2度、もしくは3度ほどしか
会えなくなるのです。

いつか必ず離れるのであれば
大学、就職、結婚。
離れるのはそれからでも
遅くないと私は思います。
これは子供というより
親目線の方が強いです。


⑤困る部分その2

ライバルがいません。
たとえ母数が30(1学年)だとしましょう。
まず、勉強する子としない子の差があり、
そこでライバルをトップ層のBEST3に絞ったとします。

トップ3に入れた!と喜んではいけません。
1位を維持してるから凄い?
所詮、1/30です。
都会の猛者とはまず土俵が違います。
田舎の「レギュラー入り」は、
都会の球拾いだと思って過ごした方がいいかもしれません。


しかし、たとえ母数が少なかったとしても
優秀な子はどこにでもいます。

現に、この少ない生徒数の中から
京都大学含め
(西の地方では京大最強だと思われています)、
旧帝大に入った子は少なからずいるのですから。

その子たちがもし
周りに優秀なライバルが沢山いたら、
習い事の選択肢が多ければ、
京大でなくオックスフォードに入っていたかもしれない。
北大でなく北京大に入っていたかもしれない。
日本だけでなく
海外にも目を向けていたかもしれない。

チャンスの差も視野の差も
少なからず生まれます。


もちろん、のびのび学習するのが
合っている子もいるでしょう。
その場合は、むしろ
ライバルの存在を感じると
プレッシャーを感じてしまう可能性がありますので
田舎の環境が合っています。

当時の私は
井の中の蛙でした。
天狗になったまま田舎を出て、
世界の広さに圧倒されたことを覚えています。

なぜそれまで自分は気付かなかったのか。
これは今でも
悔しいことのひとつです。



⑥困る部分その3

人間関係が密です。

少し脱線します。
私が昨年執筆した小説
(今後載せるかもしれません)
でも取り上げたテーマ
「監視社会の孤独」に通ずるのですが
とにかく密です。

その小説の中では
都会から田舎に嫁いできた主人公の女性が
田舎特有の「歓迎」を受けます。

具体的には、
まず、姑が近所の住民たちを新婚夫婦の部屋に招き入れ、新婦の衣装ケースを開き「嫁入り道具」のお披露目をします。
中には、自分に娘が生まれたら譲ろうと持ってきた振袖なんかもあり、我が子より先に初対面の他人にベタベタ触られます。
これはこの地域の習わしであり、姑がおかしいわけではありません。

そうして新婚生活を始めた主人公ですが
これまで都会で暮らしてきた自分の感覚では考えられないことが次々と起こります。

まず、アポイントどころか呼び鈴さえなく
勝手に他人が家の中へ入ってきます。
家主がいない場合はリビングの椅子に座り、帰りを待ち続けます。

ある日、主人公は夫婦でお出掛けをしました。
新婚デートを楽しんだあと帰宅する2人。
すると、名前も知らない近所の誰かから
「車なかったけどどこ行ってたの?」
と声を掛けられます。

やがて子供が生まれました。
赤ちゃんを抱っこしていたので、腰で車のドアを閉めました。
誰にも見られていないことを確認したあとの行動にも関わらず
「あそこの嫁、尻でドア閉めてたぞ」
と、翌日には近所の噂になっていました。


上記はあくまで小説上の
一部を抜粋したエピソードですが、
どれも実際に様々な地方の方からヒアリングした内容が元になっています。

私自身が田舎に住んでいたときも
実家に近所のおじさんおばさんが
ふらーっと入ってくる環境でしたので
子供心では来客があり嬉しい反面、
「せっかく母と喋ってたのに」と
大切な時間を奪われた気にもなりました。


ある程度としを重ね、
手抜きを覚えた現在の私は
その環境に全く対応できません。

家にいるときはだいたい部屋着ですし
ひとりになると真っ裸で羽を伸ばしている場合があります。
急に訪ねて来られても居留守を使います。
お出掛けも自由にしたいし、
それを誰かに見られたくもない。
両手が塞がっていればお尻でドアを閉めることもある。

田舎暮らしというものは
もしかすると都会以上に
人目を気にした生活を
送らなければならないかもしれません。


と言いつつ私も
田舎自体は好きですので、
いつか子供たちが巣立ったら
田舎暮らしもアリかなと考えています。
良い病院が近くにあれば、
の話です。



いかがでしょうか。

意外にも「のびのび暮らせる」のは

田舎より都会かもしれませんよ。

行動に移す前にまずは

その地域の文化や性質を

調べてからでも遅くありません。

※地域によります














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