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歳時記を旅する37〔凧〕中*糸引けば風の重さのいかのぼり

佐野  聰
(平成十一年作、『春日』)

 毎年五月六日~七日に相模川の河原で大凧があげられる。
天保年間(一八三〇年頃)に、子供の誕生を祝って揚げられていたものが、次第に農作物の豊穣記念、さらに若人意志や希望、国家的な意義などを題字で表すようになった。
日清戦争終了時には「祝勝」、日露戦争時には「凱旋」、太平洋戦争時には「国威」と書かれた。
二〇十九年は新元号を祝して「令和」と書かれた。
大きさ一二・六m四方、重さ約一〇〇〇㎏の大凧が、約百人の手で揚げられ、揚がった凧は、何十袋もの土袋を積んだ杭に繫留される。

 句は、凧糸を引く力に風にも重さがあることに気づいた。

(岡田 耕)

(俳句雑誌『風友』令和五年四月号「ー風の軌跡ー重次俳句の系譜」)

*参考文献
  日本凧の会ほか編著『日本の凧大全集』徳間書店

写真/岡田 耕
   (相模原市 相模の大凧センター)

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