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句集鑑賞 磯村光生『千枚田』(2)

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句集鑑賞 磯村光生『千枚田』(1)【スキ御礼】


花の句では、牡丹、冬牡丹の句が印象的で、収録数も前句集にも七句、本句集にも六句収録されている。とりわけ冬牡丹の句には「無理矢理冬に咲かされてしまったり、そのために寿命を縮めている木もあるとかと思うと哀れにもいとしい(作者著「鎌倉花の四季」)」という情感が発露しており、「花扇」の冬牡丹の句とも読み比べて堪能したい。
 
一点に力を集め牡丹の芽「寒造り」    
花びらの日に濡れゐたる黒牡丹 「寒造り」
白といふ色の驕りの夕牡丹「雪解川」   
牡丹のこれはみごとな帰り花「写楽の眼」  
藁の香を男結びに冬牡丹    「ダムに沈む村」
淡き日を菰にくるみて冬牡丹 「寒造り」

*(3)に続きます。(近日投稿)

(岡田 耕)

(俳句雑誌『風友』平成二十二年十一月号「磯村光生句集『千枚田』鑑賞」)

ありがとうございました。

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