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歳時記を旅する46〔左義長〕後*堪へ切れず達磨の転ぶどんどの火

磯村 光生
(俳句雑誌『風友』平成二十七年四月号)
どんどの火には、厄病災難を避ける民間信仰がある。字の上達を願い習字清書も焼く。島崎藤村は満七十歳のとき、終の棲家として大磯に移り住み、見物した左義長を日記に記した。
「煙七か処より/天をこがす勢也、ツナにて引き倒す、正月のかざり、ダルマなど皆投け込む、清書上につなぎあり/米のこまるめた団子を竿の先につけ(悪病にかからぬとか)焼く」。(昭和十六年一月十四日付『雑記帳』)
    また、さいとの燃え残りを持ち帰り、屋根に上げておくと火災を除けることができるという。特に子供が無い夫婦はこの火に温まると子供が授かるともいう。
    句は、天にお返しする達磨様が苦行を強いられている。

(岡田 耕)

(俳句雑誌『風友』令和六年一月号「風の軌跡ー重次俳句の系譜ー」)

☆島崎藤村が亡くなるまでの晩年を過ごした家が大磯にあります。シラちゃん さんがレポートを寄せられています。


  



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