TESTAMENTとTEMPEST(そしてちょっとCHESSの話)~映画『LIFE』解説3
さて、映画『LIFE(ライフ)』の登場人物解説3人目は、ジェイク・ギレンホール演じる「デビッド・ジョーダン医師」だ。
1人目の「キャット司令官」は「ロシア皇帝エカテリーナ2世」と「アメリカン・ショートヘアー」だったね。
詳しくはコチラで。
そして2人目「ローリー・アダムズ飛行士」は「俺ちゃんデッドプール」と「アメリカ第2代大統領ジョン・アダムズ」だった…
詳しくはコチラで。
デヴィッドは、インタビュー・シーンではエアバイク漕いどったな。
こんなやり取りが交わされていたね。
キャット「こちらにいるジョーダン医師は、宇宙での連続滞在記録を塗り替えようとしています。現在は連続473日」
すると、キャット司令官を鋭い質問で困らせた少年アラン君が、またもやナイスなツッコミを入れる。
アラン君「きっとママは淋しがってるよ」
ジョーダン「そうだね。でも僕にとって、ここにいる皆が家族なんだ」
これがヒント?
何の変哲もない普通の会話じゃんか。
オイラたちを担ごうったって、そうはいかないぞ!
せや。アランのツッコミの、どこが鋭いんや?
アホも休み休みに言え。
主よ、お許しください…
この者たちは自分が何を言っているのかわからないのです…
なぬ!?
では単刀直入に言おう。
アラン君は見抜いていたんだ…
医師デビッド・ジョーダンのモデルが、イエス・キリストだということを…
じ、ジーザス!?
だって名前がそもそも「David Jordan(デビッド・ジョーダン)」だよ。
「Jordan」とはヨルダン川沿岸地域のことだし、「David」とは「ダビデ王」のことだ。
イエスは「ダビデの町」ベツレヘムで生まれ、福音書の中では何度も「ダビデの子」と表現される。
新約聖書の巻頭、第1章第1節のフレーズは「アブラハムの子であるダビデの子、イエス・キリストの系図」というものだったよね?
アブラハムからダビデまでが14代、ダビデから28代あとの子がイエスなんだ。
ああ、そうだった…
じゃあ地上で「寂しがってるママ」って、もしかして…
マリアのことだね。
そしてデビッド・ジョーダンは「ここ(宇宙ステーション)にいるクルーが僕にとっての家族だ」と答えた。
これは『マタイによる福音書』第12章の引用だな。
イエスは血の繋がった母や兄弟よりも、共に行動する弟子たちを「家族」と呼んだ。天の父の御心と共にある者を「真の家族」と考えたんだね…
12:46 イエスがまだ群衆に話しておられるとき、その母と兄弟たちとが、イエスに話そうと思って外に立っていた
12:47 それで、ある人がイエスに言った、「ごらんなさい。あなたの母上と兄弟がたが、あなたに話そうと思って、外に立っておられます」
12:48 イエスは知らせてくれた者に答えて言われた、「わたしの母とは、だれのことか。わたしの兄弟とは、だれのことか」
12:49 そして、弟子たちの方に手をさし伸べて言われた、「ごらんなさい。ここにわたしの母、わたしの兄弟がいる。
12:50 天にいますわたしの父のみこころを行う者はだれでも、わたしの兄弟、また姉妹、また母なのである」
そっか…
国際宇宙ステーションって「天」に浮かんでいるもんな…
だからクルーが「家族」なんだ…
そしてイエスもデビッド・ジョーダンも…
長い間、地上世界を離れとる…
うまいよね。僕はこの会話シーンで大爆笑してしまった。
さて、デビッド・ジョーダンが「母は淋しがってるけど、僕にはここに家族がいる」と言ったことに、ミランダ・ノース検疫官が口をはさむ。
「確かに。子を失った母の辛さを何とも思わないような人たちがね…」
わーい!オイラの大好きな綺麗なお姉さんレベッカ・ファーガソンだ!
せやけど、かなりきっついツッコミやで…
ミランダは何でこんなこと言うたんや?
たまたまイライラしとっただけか?
彼女のモデルとなった人物は2人いるんだけど、どちらも「母子の別れ」を経験していたからだよ。
誰と誰!?
まず一人目は「ミランダ」だ。
またもや名前そのまんまだね。
へ?まさかミランダ・カーじゃないよね?
どちらのミランダさん!?
ミランダとは、ウィリアム・シェイクスピアの最後の作品『テンペスト』に登場するヒロインの名前だよ。
ミランダの父プロスペローは魔術に没頭するあまり、実の兄弟によってミラノ大公の座を追われた。
そしてプロスペローは生まれたばかりの娘ミランダだけを連れて絶海の孤島に亡命する。その島でミランダは文明社会と隔離されたまま育ったんだ。
ミランダ・ノース検疫官が「隔離」の専門家なのは、ここから来てるのか!
ちなみに彼女が最後に宇宙空間に飛ばされちゃうのも『テンペスト』ネタなんだ。
ミランダ・ノース検疫官はラスト前の場面で「父に会いたい」と言ったよね。あれが「死亡フラグ」だったんだよ。
嘘コケ!
今『テンペスト』のウィキ読んだけど、ラストは父プロスペローと一緒にイタリアに戻るハッピーエンドやんけ!
違うんだな。
ミランダ・ノースの「願い」が叶って、父プロスペローに会いに行ったんだよ…
天王星のほうまで…
<続きはコチラ!>
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?