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しばらく活字離れしていた話

 個人的にはけっこう長い間、活字離れをしていたと思います。期間にして、1年くらい。精神的にいまいち低調だったり子どもがいたり仕事がだるかったりNetflixにどっぷりだったりとまあいろいろ理由はあるのですが、合間合間でドキュメンタリーやノンフィクション(最近ではジュディ・ダットンさんの「理系の子」田中靖浩さんの「会計の世界史」出口治明さんの「宗教と哲学全史」)などはそれぞれちょこちょこと読むは読むんですけど、あまり集中できない状態が続いていて。特に好きな小説などのフィクションの世界に入り込めず、それはそれでモヤモヤしてたりしました。読書にもやはりメンタルが大きく関係するのかなと思います。

 特にダメなのが、仕事関係の本(コミュニケーションや広告、アイデア・戦略系のもの)。以前はよく買って殊勝な顔してたんですけど、なんとなく新しい仕事上の知識を頭に入れる気にならないんですよね、全っ然。もうほんと、困ったレベルで、頭が錆びついちゃっているような気がしますが、こればかりはもうどうしようもない。「最新の知識」とかにもやや辟易気味・・・。

 それでも本を買って積んでいく、いわゆる積読はもう習慣というか癖になっているので、本は増える一方なわけで。奥さんからは指定されている本棚の範囲を超えないことという指令が出ているから、時折古本屋などに持って行って全体の量は調整して健気にそれを守っているわけです。

 で当分は漫画やコミックに逃げていました。逃げる、という言葉はふさわしくないし失礼か。「ゴールデンカムイ」やら「あれよ星屑」「竹光侍」「ブルージャイアント(シュプリーム含む)」などなど。

 思うに、思考を放棄したかったんですよね。考える、という行為から逃げたかった(まだ逃げたいかも)。その点、漫画たちはストーリーも世界観もあらかじめある程度は提示してくれるので、とても楽だった。ある意味で、考える範囲を限定してくれるから。それに単純に面白いし。でもその漫画ループからも、いったんは抜け出たように思います。

 で、久々に本棚に向かい合って、どんな未読本があるんだっけな、と何冊かパラパラしてみたわけです。少しだけ、ほんの少しだけ、「そろそろ活字でも」という気分に戻ってきたんですね。
 海外小説はまだかな、このドキュメンタリーは重そうだな、警察小説も時代小説も好きだけど気分じゃないなー、なんてひとりごちながら、最終的になんとなく手に取ったのが、宮下奈都さんの「羊と鋼の森」でした。

 もうこれ、僕にとっては音楽小説・青春小説というより、リハビリ本です。本当に久しぶりに、フィクションの世界にするりと入り込めています。やっぱり、読書にはタイミングってやつがあるんだなあ、と読みながらしみじみしています。まだ青春に憧れてんのかな僕。なので、現実疲れ、活字疲れしている方にオススメです(作者が望んだオススメのされ方ではないでしょうけれど)。

 ともあれ、このまま少しずつでも、活字の森にまたカムバックできるといいなと思う平日の昼下がりでした。

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