ビットコイン急落 by 8% - 損切りして出直すか、それとも...「損切りの利点」とは?

 ビットコイン(BTC)は40万円台から140万円まで急騰後、120万円割れまで急落-。きっかけとなったのはパウエルFRB議長がフェイスブック発行(予定)のリブラに関して、「プライバシー問題や資金洗浄(マネーロンダリング)、消費者保護、金融安定性などに絡み、多くの深刻な懸念」があるとした発言。ただ同時にリブラの利用が広範囲になる可能性についても言及し、リスクが十分に特定される限り、金融イノベーションを支持すると発言していることを考慮すると、どうも今回はこの発言をビットコイン急上昇の後、売るための理由付にされた感が否めない。

 ごく最近130~140万円台で「掴んでしまった」方は、誠に不運としかいいようがない。間が悪いことにビットポイントで35億円もの不正流出の報も加わり、仮想通貨市場の地合は悪化が続いている。悪材料が重なるのもよくある現象ではあるが、まあこういうのも相場の一部と割り切って、へこたれずに頑張ってほしいものである。

 さはさりとて、実際にトレードや投資をしている方はここでどうすべきか。我慢して持ち続けるのか、それとも一旦損切って出直すのか。それは個々人の持つ性格や戦略の立て方にもよるところも大きい。筆者は「損切丸」を名乗っているので、ここで「損切りの利点」をお伝えしておこう。

 自分のポジションというのは我が子のようにかわいいものだ。考えに考え、覚悟を持って臨んだのならなおさらである。ただ、ここで一番大事なのは、自分の気持ちを平衡に保つこと。かわいさ故に相場を見失ってはいけない。そのための損切りでもある。

 意外とポジションがなくなってみると「何やってたんだろう」と正気に返ることがある。また、損切った後でも、客観的に見てやはり買いだと思えるならそこで買い直せば良い。その判断が正しければ、損などすぐ戻って来ておつりが来るだろう

 もちろん、自らの気持ちをコントロールできる自信があるなら、損切りなどせず持ち続けてもよいし、ナンピンしたって構わない。だが、それが損したくない、とか損を取り返そうとか主観的な独りよがりであってはならない。そうやって大怪我をして業界から消えたトレーダーが何人いたことか。

 相場は究極売りか買いかの2者択一である。実は利食いも損切りも正しい売買をしなければいけない、という観点からは同じ行為である。むしろ利食いの方が気が緩む分難しいし、逸失利益、と言う意味では下手な利食いは損切りよりも罪が深い。自分の損得などはマーケットや相場動向には何の関係もないのだから、売買の理由にしてはいけない。要は自分の心をどうコントロールできるか、それが勝敗を分ける。

 さて、仮想通貨市場の今後についてであるが、今回のような相場の急変動にも関わらず筆者は大筋で意見を変えていない(「お金のマニュアル」仮想通貨編もご参照)。パウエル議長も認めている通り、今後市場は拡大し有望な投資の選択肢となっていくだろう。隠れた背景としては、各国政府、特に日欧米の財政当局が膨大な借金を減らすためにインフレが必要なことだ。

 例えば1リブラ=100円と設定すると、それだけで10,000円を100円にするデノミ政策と*同じような効果がある(*過去のデノミ政策は逆にハイパーインフレを抑えるために発動されることが多かったが)。  昨日まで10,000円したものが100リブラになれば、人々はお金を使う事へのためらいが減じる可能性がある。更にリブラ自体の価値が流通量の増加とともに高まってくれば、円などの法定通貨の価値が相対的に下がり、国の借金を目減りさせる効果も期待できよう。だから、リブラなど仮想通貨そのものを過剰に規制する事は避けるはずだ。  デノミというより、この日本でも1946年に発動された「新円発行」(その翌年に預金封鎖)に近いイメージかもしれない。

 ただ、各規制当局には個別の事情がある。表明はしていないが、特に中央銀行にとって、法定通貨と違い金融政策を通じたコントロールが効かなくなることは大問題だろう。仮想通貨に金利は付与されない。そこで米証券取引委員会(SEC)がETF(=Exchange Traded Funds、上場投資信託)に似た規制を取り入れようと検討しているようだが、お買い物や決済など広範に使われる性質の仮想通貨に果たしてどれだけ有効なのか、疑問が残る。普及が進めばなおさらである。

 つまり現時点の結論として仮想通貨は有望ではあるが、今はまだ機が熟していないと見ている。体制が整備され、市場の流動性が十分に確保されるまで本格参入はもう少し待つべきだろう。現在のビットコイン(BTC)のように流動性の乏しい市場で急騰急落を繰り返すのはただの丁半バクチに近く、まともな投資の理屈は働きにくい。(荒れた市場がお好きなの方はどうぞ)

 筆者は次にやってくる危機は、過去のリーマンショックのような銀行パニックを起因とするものではなく、インフレそのものによる経済の混乱と考えている。その時、仮想通貨はインフレ対策の切り札になる可能性が高い。今後、世の中にどう普及していって、市場流動性が増加して厚みが出てくるのか、注意深く見ていこう。

今回の相場で痛手を被った方も諦めないで。戦いは始まったばかりである。

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損切丸

福島県郡山市出身。日本の銀行から某外資系銀行東京支店の投資銀行部門へと転職。いわゆるマネーマーケットで資金、金利取引に従事。欧州通貨危機、リーマンショック、東日本大震災など多々ひどい目に遭いながらも何とか20数年生き延びた。当局(日本銀行、金融庁、財務省等)とのやり取りも多数。

コメント3件

興味を持って頂き有難うございます。せっかくお誘いを頂いて恐縮なのですが、このようなものを始めてまだ日も浅く、いわゆる「修行中」の身なので今回は遠慮させて下さい。引き続き頑張って書きます。
ご返信いただきましてありがとうございます。
承知いたしました。
ではまた機会がありましたら、よろしくお願いします
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