「フェイスブック、仮想通貨Libra発行へ」 いよいよ

満を持して、というべきか、遂にフェイスブック(FB)が2020年に仮想通貨(=暗号資産)「Libra」を発行するという。朝日は本日1面トップ。

内容を見るとかなり本格的なものだ。ブロックチェーンやセキュリティーなどの取り組みはもちろんだが、特筆すべきは発行額に応じて100%の準備金を現金もしくは主要国短期債で積むことだ。さらにVISAやマスターカードなども巻き込むことによって、資産の信用補完にかなりの力を入れてきている。それによって価格の乱高下を抑えたい意向という。規制当局である米財務省や金融庁との折衝も続いているようだ。

さて、これで既に決済サービスを行っているGoogle(Google Pay)やアップル(Apple Pay)が追随してくるかどうか。面白くなってきた。FBとしては個人情報流出問題などで業績に陰りがでてきたところで巻き返しを図っているという面もあるだろう。

ここからは筆者の想像と意見になっていくが、おそらく経済弱小国の決済や送金サービスがこのLibraに移行していくことがまず考えられる。「信用」という面ではおそらくベネズエラやアルゼンチンなどの法定通貨を上回っていると考えられるからだ。取引量1,2位の日米に加え、まずはこの辺りで流通が増えていくのではないか。

仮想通貨の「信用」という面では、一つ「格付け」が目安となると思う。現在仮想通貨は Weiss Ratings社など専門の格付け会社がA~Eで評価を行っているようであるが、2018年の実績を見ると、例えばBTCなどはBからCを行ったり来たりで、どうも取引価格の乱高下に後追いで格付けが上下しているようであり、これでは心許ない。国の格付けをしているS&PやMoody'sが出てくるのかどうか、この辺りも気になるところである。(規制当局の意向も反映してくるだろう)

筆者が想定している事態はこのようなものである。例えば初値が1Libra=100万円として、湾岸のタワーマンションが50Libra(=5,000万円)と評価されたとする。その後仮想通貨の取引量が爆発的に増え、法定通貨を上回り、同じマンションの価格が50Libraのままだったとして、Libraが200万円まで高騰していれば、マンションは1億円に値上がりしたことになる。既にLibraが円よりも主流になっていれば、Libraを持っていた人には何の影響もないが円預金をしていた人たちは資産が半分に目減りしてしまったことになる。

つまり合法的に法定通貨の価値を減価しインフレを起こしたのと同等の効果が得られる。これは膨張した国家債務の圧縮を目指す主要国の利害とも一致するので、今回規制当局は実は前向きなのではないか、というのが筆者の読みである。一つあるのは、所得税や固定資産税などを当局がどうしていくのか、その当りはグレイゾーンでもある。

儲けたい、とか投資、とか言う以前にこれは来年以降動向を注視すべきだろう。特に現金や預金を持っている方々は資産価値防衛のためにもこういった仮想通貨の流通状況や価格動向はチェックしていった方が良い。脅かすわけではないが、ボーっとしていると手遅れになる恐れさえある。(筆者も含めて)アマゾンなどでぽちぽち買い物をする人が多いと思うが、買い物をアマゾンの仮想通貨で決済することが主流になるのなら、今後使うと思われるお金の分だけ事前に振り替えておくのが賢明かもしれない。こうなるともう「仮想」ではなく新しい「通貨」といっても過言ではない。

その内給与振り込みも仮想通貨になったりして。本当に「21世紀のGold」になる可能性が出てきた。

金本位制 → 固定通貨制度(ドル本位制)→ 変動相場制(@プラザ合意)→ 仮想通貨本位制? 凄い時代になってきたなあ。

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