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「中国」は大雨、「アメリカ」は大火事 ー 真ん中に立つ「日本」は?

 11月中国CPI ▼0.5% 予想 +0.2% 前月 ▼0.2% 

 アメリカのCPIはこれまで雇用統計と並んでマーケットの主役だったが、薄気味悪さが漂っているのが中国のCPIマイナス数値から「デフレ」懸念が台頭し一旦はプラス圏に戻したが11月には過去最低の▼0.5%に沈んだ。

 地方公務員の給料が半年払われていないとか若年失業率が50%にも上るとか色々な話が漏れ伝わっているから本当に景気が悪いのだろう。借金が1京円近くあるので数兆円程度の財政出動ではどうにもなるまい。まさに "土砂降り" 。不良債権にてこ入れしなければ「失われたXX年」になるのは確実だが、巨額すぎてどうしていいのか見当がつかない。

 「労働力」の観点から言うと「米中対立」のせいで14億人の半分ぐらいは ”死に駒” になっている。その分「世界の工場」は東アジアや日本、欧米に分散されているがどこも「人手不足」。特にベビーブーマー▼4,000万人が抜けたアメリカは「大火事」といって言い。

 このミスマッチを何とかしようと政治的には「米中接近」を図ってはいるが、何しろ中国は「面子」の国。南シナ海でフィリピンの船と衝突したり、軍部代表が「戦争も厭わない」と勇ましい発言が出るなど危なっかしい。
この辺は彼のミサイルの国家同様 "苦しさ" を示す1つのメッセージなのだろうが「戦争」に向かう火種になりかねない。独裁国家はややこしい。

 さて微妙な位置に立つのが「日本」。政治的には「アメリカ」陣営だが、経済≓「お金」のことになるとそう単純ではない。特に中国に多大な「お金」を突っ込んでしまっているK団連は死活問題。「脱中国」と簡単に言うが何十年にも渡って築き上げられた製造インフラは半端ではない。だから日本の政治はどっちつかずになる。

 これは日・中・欧米にとってかなり悩ましい問題だ。

 中国の "土砂降り" 対策は大きく2つ

 1.ゼロないしマイナス金利政策

 「金利」的考え方で言うと中国の金融緩和は待った無し。明日にでも「ゼロ金利」にすべき状態。ただ怖いのは「人民元安」を伴う「資本流出」=キャピタルフライト(Capital Flight)。大スランプに陥っている香港ハンセン指数や上海総合指数が示すように海外資本は中国経済の生命線「面子」に拘っている場合ではないはずだが...。

 2.数十兆円規模の「公的資金」注入

 この点は民主主義国家より動きやすい。ただ問題は「お金」をどうするか元々米ドルに紐付いた、いわゆるドルペッグ通貨の「人民元」。貿易黒字など裏付けのない「お金」を大量に刷れば通貨価値の希薄化=「(ハイパー)インフレ」を引き起こす。そうすると「デフレ」よりも質の悪い「スタグフレーション」に陥る。

 経済規模は大きく違うがトルコレバノンで起きている現象と理屈は同じ。アルゼンチンのような「経済のドル化」なんて「面子」が許さない海外からドルを借りてくれば一息つけるが、いつ没収されるかわからない国に「お金」を出す投資家はいない。これは茨の道だ。

 こうなってくると「円」「日経平均」にも暗い影を落としそうだが、実は悪い話ばかりではない。実際中国の富裕層が湾岸地域のタワマン購入に動いている事からわかるように、*「人」も「お金」も「日本」に入ってくる

 *「ロンドンの不動産はもうイギリス人には手が出ないよ」。これは30年前に元同僚から聞いた愚痴だが、今の日本を見ているとこの話を想い出す。実際はそこから倍以上値上がりした訳だが主犯はアラブの王族中国の「お金持ち」同様、まさに ”桁違い” 。当時ロンドンの地下鉄に乗ってイギリス人より他国の人が多いのが印象的だったが、今山手線を見ていると東京でも同じ事が起きている。筆者にとっては一種の "デジャブ" である。

 半導体工場を熊本に誘致したり製造業の本国回帰も本格化しているが、問題は「人手不足」今の日本のお給料では海外から「人」を集めるのは難しいので、結局「賃上げ」するしかなくなる。逆に言えばこの点を上手くクリアすれば、これまで中国に持って行かれていた「儲け」を取り返す事が出来る。これは「円」にとっても「日経平均」にとっても買い材料だ。

 政治の混乱は気掛かりではなるが、何事も丸く収めようとするのは日本人の悪癖でもある。ここは思いっきり揉めてOK。そうして初めて問題点が洗い出され活路が開けるというもの。アメリカイギリスもそうやってきて今がある。もう何でも仲良しこよしの "偽りの和の国" はおしまい

 ネットで読んだ記事のよると、Z世代は「世の中をよくしたい」という意向が強いという。「大企業に入って高いお給料を貰っていい暮しをしたい」という筆者のような(苦笑)昭和生まれとは根本的に違う。ベンチャーも増えているしここは彼らに期待したい。くれぐれも邪魔だけはしないように。

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