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続・想像以上にしつこい「インフレ」

 想像以上にしつこい「インフレ」|損切丸 (note.com) の続編

 3月米CPI(年率)+3.5% 予想 +3.6% 前月 +3.2%
 コア +3.8% 予想 +3.6% 前月 +3.8%
 *過去3カ月のコアCPI+4.5%上昇 - 昨年5月以来の大幅な伸び

 「やっぱり…そう出るよなぁ...」

 注目の米CPI ↑ が出た後の「損切丸」の正直な感想。特にコアの高止まりは(FRBにとっても)ショッキングで やっぱりアメリカで燻る「インフレ」の ”種火” Ⅱ。|損切丸 (note.com) は健在。もう現実的に「利下げ」無しを考慮しなければいけなくなった

 20年以上マーケットに関わってきたが、いつも 続・「行って欲しくない方に動く」相場の原理@2024 ー 株もタワマンも買いそびれ「円安」で物価は上がる一方...|損切丸 (note.com) 今回も世界中が望まない方向 ≓「インフレ」「ドル高+他通貨安」に。あっさり@152円台を突破した日本を筆頭に「通貨安」に苦しむ国々は "もう勘弁" が本音だ

 こうなるとますます心配になるのが 勝手が過ぎるヨーロッパ - 拙速な「利下げ」は危険|損切丸 (note.com) あれだけ「6月利下げ」を喧伝してしまっては引っ込みがつかない。ただこんな状況で「利下げ」を強行すれば「スティープニング」(長期の金利が短期の金利を上回る金利の動き)という形で "金利のメッセージ" (Message in a Yield)|損切丸 (note.com) が発せられることになる。これが怖い

 元々「利下げ」期待 ≓「逆イールド」をテコに何とか持ち堪えていた株価もさすが下落「金融相場」であった事が良くわかる展開でその辺りはビットコイン(BTC)も同じ。金利低下で起きていた不要な ”スラック” (Slack、緩み)が正常化に向かえば当然起る現象でもある

 いくら「円安」になっても、これではさすがに「日経平均」も買えない。指標発表後先物が▼500円以上下げており、ここからは「円安」≓「株売り」に転換する懸念もある。そうすると日銀の「利上げ」の役割は植田総裁が言っていたように「円安」「インフレ阻止」に重点が移る

 4/10には5年JGB金利が@0.40%を超えて "狼煙" が上がったが「利上げ」は思ったより早く進む蓋然性が高い。これは筆者が何度も苦汁をなめてきた ”デジャブ” (既視感)でもあり金利相場の "黄金パターン" 。金利が上がって欲しくない人が多いのも事実だが、あまり楽観視しないほうが賢明

 ただ光明もある。FRB、ECBとも政策金利を既に@5.25%、@4%まで引き上げており「利下げ」余地があること。ただタイミングが難しい

 今回のように不要な「利下げ」期待で ”スラック” を大きくしてしまうと反動が大きくなる。やはりバイデン - パウエルコンビの「インフレは一時的」(2022)→ ”バイデンフレーション” の衝撃。|損切丸 (note.com) は致命的。結果余計な「利上げ」が必要になり相場の振れを増幅

 いくら大統領選があって株価を落としたくないとは言え、こんな状況で「利下げ」を強行すればそれこそマーケットのしっぺ返しを喰う金利を下げたのに長期金利が上昇して株価を下落させる圧力が働くだろう。ウォール街のカルチャー政府・日銀ベッタリで要請されたらJGBを売らない邦銀とは全く違う米国債でも株でも売って利益が出るなら徹底的に売ってくる

 更に… ”もしトラ” が ”ほぼトラ” になったら最悪トルコのエルドアン大統領同様、「インフレ」を無視して「利下げ」「ドル安」を強要してくることは目に見えている。ポピュリストの独裁者の発想は似通っている。前回大統領就任時は ”ディスインフレ” に助けられて経済運営は何とかなったが、明らかに「インフレ」向きではない

 処方箋として正しいのは:

 ①ECBは6月利下げを回避
 ②FRBは年内「利下げ」を様子見
 ③日銀が「利上げ」ペースを上げて「過剰流動性」を解消

 ただ選挙など政治的事情が重なると実現のハードルは高い。日本も6月総選挙の噂が出ているが、せいぜいその日程に合わせた「ドル売り介入」が関の山。ドル円の+5%もの金利差を解消しなければ「キャリートレード」を止めるのは難しいFRBの「利下げ」がなければ日銀は+1%どころか+1.5~2%もの「利上げ」が必要になる。それはそれで「財政危機」を浮き彫りにするため対応は極めて難しい

 アメリカも日本も全ては「インフレ」に対する初動の遅れがこんな事態を招いてしまっている「人出不足」の兆候は2016年には出ていたわけで、「コロナ危機」があったとはいえ遅くともFRBは2022年、日銀は2023年には「利上げ」を始めるべきだった

  過去のクラッシュ等の経験から 悪い ”胸騒ぎ” |損切丸 (note.com) は大きくなる一方だが、嘆いてばかりもいられない。注目すべきは「スティープニング」の動き。これが全ての相場動向に影響してくる。金利との比較に基づいて 「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」|損切丸 (note.com) もしっかり考えていきたい


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