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歌にまつわる話・2 先生からの言葉


前回 歌にまつわる話・1 歌を聞かされて ↓


歌うことが好きというのは、以前に書いた。

ただし、上手かどうかの確信は持てずにいた。
その頃には、わたしも、自分の歌を録音して聞いてみることもあったので、音程は取れていると思っていたが、独りよがりの可能性も捨てることができずにいた。

録音した自分の声を聴いて、これは誰?とショックを受けたことがある人も多いと思う。

わたしもそうだった。
ものすごい違和感。
アイドル声でもなく、透明感もない、低めの声。

素敵な声とは思えず、がっくりした。

そんなわたしに、小さな小さな出来事が起こる。

舞台は中学校の音楽での歌の試験だ。


音楽の先生は、印象的な人だった。

新卒ではなかったかもしれないが、20代半ばの独身女性の先生で、噂によると結構なお嬢様とのことで、その雰囲気は確かに持っていた。
というか、その雰囲気が独特で、今ならこのワードで表現できるのだが「ヅカ」(宝塚)の男役っぽかったのだ。

ロングソバージュの裾に向かって広がっていく髪型。
上品で、華やかさもあるのだが、どことなくマニッシュでもある服装。
そして、語り口だ。
男子にも女子にも「○○君(くん)」と言い、呼びかけの時の「キミ!」という言葉も、その際の喉の奥から出るような声も、インパクトがあった。
そして、理不尽なほどではないが、性格も激しめなのが、芸術家っぽくもあった。

その先生による歌の試験。
音楽室のピアノの前で、先生の伴奏に合わせて、2.3人ずつ順番に歌う試験だ。

何の歌を歌ったのかは覚えていないが、歌の試験が終わった後、先生はわたしにさらっとこう言った。

「おからくん、キミは、響くいい声をしているね」と。

あまりにも予想外のことを予想外の時に言われて、びっくりした後、ものすごく嬉しくなった。

嬉しくてうれしくて、今もこうして覚えている。

しかしながら、あくまでも声を褒めて貰えたのであって、歌を他人から褒めてもらうまでには、このあと6年を要するのだった。


先生からの言葉 と言えばで、つながりのある話↓
(大人気ドラマでの先生から生徒への印象的なセリフ)

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