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zozo前澤社長に嫉妬して、家族旅行にお金を投下した話

少し前に、zozo town前澤社長の100万円プレゼント企画が話題になった。【夢を叶えるための100万円を贈る】とその意図が発表されたとき、私は悔しさでいっぱいになった。

私には、他人に100万円をあげる財力も勇気もない。器がきっちり、自分ひとり分しか無い。だけど、可愛い可愛い子どもたちの冒険を、自分の老後より優先することはできる。

そんな話をMr.イエスマンである最愛の夫に相談し、久しぶりに家族で海外旅行をすることにした。

前職のときには余裕があり、年に1回くらいは海外にも行けていた。今は、正直きつい。夫という収入の幹に私の産毛が生えたような状態。ま、それは考えると悲しくなるため、一回忘れる。

ともかく私は、前澤社長への嫉妬から、お金があろうがなかろうが子ども達がワクワクする旅に出ようと企画をはじめた。なんとなくニューヨーク!?から始まり、最終的にはシンガポールに決めた。こういう時、私たち夫婦の落としどころはいつも安パイ。でも、どこへ行ったって、子ども達がスペシャルな世界にしてくれる。

たとえばシンガポールの道端には、赤いアイスワゴンがあって、おじさんがアイスを売っている。アイスと言っても四角い長方形をしていて、それを包丁で切り、虹色の食パンか、ウエハースか、カップを選んでのせる。虹色の食パンでアイスを挟むなんて、子どもたちの心を矢でぴゅんぴゅん射貫くようなワゴンだ。

もちろんうちの子たちも、かう!かう!たべる!たべる!とぴょんぴょん跳ねた。買ってもいいけど、自分で買ってくること。お父さんとお母さんは近くにいるだけ。

娘は手に2ドルコインを持ち、ブツブツ言いながら列に並ぶ。
「ディスワンプリーズ、ディスワンプリーズ、ディスワンプリーズ…」
無駄に舌を巻いた発音になっていて、こじれている。全力でつっこみたいが、傷つかないようとりあえず放っておく。

順番が来て、ラミネートされたメニューを指さし、
「ディスワンプリーズ」
言えた!が、おじさんからはどれか分からなかったらしく、身を乗り出してふむふむ、と確認してくれた。娘が自分で買った、ウエハースのラズベリーアイス。「センキュー!シエシエ!」と満開の笑顔でお礼を伝えると、おじさんもサンキュウ、と言ってくれた。

そのとき、息子は傍らでにやにやしていただけなんだけど、夜におもちゃで遊びながら、こんな歌を歌っていた。
♪ ぼくは~えいごがしゃべれないんだけど~ センキュウとか~シエシエは言える~ みんなぁやさしくしてくれて~うっれし~い
もう可愛すぎて肩を震わせながらこっそりと笑った。我慢できず、さっきのもう1回歌って?と言ったら、そんな歌は知らないと怒られてしまった。4歳の羞恥心はむずかしい。

一事が万事、こんな調子だった。大人にはたいしたことではないものが、子ども達と一緒だと冒険に変わる。アラブストリートは「アラジンの街」、チャイナタウンは「ムーランの街」になるのだ。

薄暗いアラブ系のショッピングモールで、エレベーターの上部に玉ねぎ型の電飾がついているのを見た息子が、「ああ、ジャスミンはここにすんでいるのかなぁ」と言ったとき、私はその純度100%の気持ちをお土産に持ち帰りたいと思った。忘れたくない。すべて。

かくして、前澤社長に嫉妬して家族旅行にお金を投下した私は、子ども達からお金以上のものをたっぷりと受け取ってしまった。

お盆休みだろうが何だろうが、思い切って使うって気持ちがいい。旅は幸せの上限を上げてくれる。親の生き方と子どもの生き方が多少の形状記憶ならば、私は彼らに幸せな冒険をいっぱい見せたい。

「お金は貯めなきゃいけない」とか「勉強しなきゃいけない」とか、義務に歯を食いしばる親ではなく、「いま楽しいと思うことを本気出して続けてやってみよう」と意志で語り合える親でありたい。それにはまだまだ修行が足りないのだけど。つい不安になって、義務にガッチガチに縛られてしまう自分への戒めとしても。

お金は気持ちよく使って、また一生懸命に働こう。

#日記 #旅行 #子連れ旅 #子育て #育児 #前澤友作 #お金

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