妻に鍛えられた料理スキル 〜牛肉・魚編〜

以前僕の料理スキルは端に鍛えられているという記事を書いた

https://note.com/oke_i/n/n791762d26ce6

その時はひたすら野菜と戦う日々だった。そのおかげで野菜を捌くスキルが格段に上がった。今回はその続編だ。

一瞬、話は逸れるが、去年の末に我が家に第二子がやってきてくれた。夫婦共に望んでいた子どもの誕生なのでとても嬉しい。やはりそこに付随するのは妊娠というハードな日々だ。

第一子の時もそうだったし、女性にありがちな話のようだが、妻は妊娠中、鉄分不足だった。出産時の大量出血に備えて鉄分を補給する必要がある。お世話になっている助産院の先生からのアドバイスはこれだ。


もっと肉を食べてほしい。できることなら毎日ステーキ。


ステーキは高級品の代名詞だ。たまに食べるからステーキだ。毎日食べるステーキはステーキではないのではないかと思ったりもする。そんなことはどうでもいいのだ。とにかく僕はステーキを提供しなければならない。

まずは普通にフライパンでステーキを焼いた。何度か焼いているうちにかなり上手く焼けるようになった。しかしフライパンで焼くのはめんどくさい。ガスコンロの前に立っている時間が長くなる。僕の料理スタイルは家電おまかせだ。自動調理家電ホットクックで肉を焼くことはできない。単純に肉を入れて炒めても美味しくない。

ガスコンロの前に立っている時間はない。料理以外にも家事はある。仕事は残業も普通にしてるし、マジで時間がない。どうしたものか。

そこで思いついたのがこれら二つの組み合わせだ。まずコンロの火力を最大にしてフライパンで肉の表面を焼く。中は完全に生だ。これを真空シーラーで密封する。そして60°cのお湯を入れたホットクックに投入。発酵モードで。1時間加熱。ローストビーフの完成だ。

これならフライパンの前に立っている時間は短く、あとはホットクックにおまかせ。表面を焼いているので香ばしくかつ低温調理なので肉の組織が痛みにくい。さらに少し日持ちするのでまとめて作っておいて冷蔵庫で保存がきく。冷たいまま食べてもいける。作業手順や調理時間は毎回ほとんど変わらないので出来栄えも安定している。週に2〜3回この作業をすることで毎日ローストビーフを提供することができた。ステーキではないがローストビーフはステーキの親戚だ。目的はステーキではない。鉄分だ。

こうして僕は、安定して肉を供給できるようになった。いろいろ比較して良い肉の調達先も見つけたし、これで毎日でも肉を供給できるぞー!と思って少し経ったところで、息子が生まれた。安産だった。良かった。本当に良かった。一番頑張ったのは妻だが、僕も息子の血肉を作る一助を担えた感があった。安心したのもつかの間、退院時に食事に関して妻からリクエストがあった。


母乳のために、牛豚鶏の脂を控えたい。魚が良い。


なんということだ。ローストビーフ量産人間はあっさりお役目御免だ。その日から僕と魚類との闘いが始まった。

朝から魚、昼も魚、夜も魚。とにかく魚縛りだ。魚じゃなくても野菜を食えば良いと言うなかれ。新生児には栄養が必要だ。たんぱく質を効率よく吸収するには動物性のたんぱく質が必要だ。

朝イチから魚を焼く。魚はオーブンで焼いているのでスイッチを押すだけと思いきや、網を洗う必要がある。くっつかないアルミホイルを敷いたり、グリルパンを使ったりしてみたが、やはり味では網には勝てない。どうせ焼くなら美味しい魚を焼きたい。魚を焼いて網を洗い、魚を焼いて網を洗った。

最初の1か月ちょっとは僕が育休だったのでなんとかなった。だが、仕事がはじまってからはマジで時間がない。魚魚魚。頭の中を常に魚が泳いでいた。それに、魚以外も食べたい。そんなときは、僕と娘は肉を食べ、妻には魚を提供した。1回の食事に2種類のメインディッシュが必要だ。もう限界だ。妻に相談した。


チキンカレーのチキン以外ならイケるでしょ!


肉!の部分ではなく野菜とルーの部分だけならいいだろうと。もう息子も1か月半過ぎたし、大丈夫でしょうと相談しOKをもらった。この緩和措置で思いついたのが


チキンカレーのチキン以外の部分に、レンジでチンした鯖の水煮缶(塩味付)を混ぜた鯖カレー


これは便利だ。チキンカレーを作ったついでに鯖カレーができる。鯖缶には下記のいつもお世話になっている伊藤食品さんのあいこちゃん鯖水煮を使った。この鯖缶シリーズはかなり旨い。

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そうやって魚レシピを増やし、なんとか対応できるようになった。そんな矢先に妻から告げられた。


今日、助産院に行ってきたんだけど、もう普通に食事して大丈夫だって!


やった…ついに解禁だ。。長かった。半年以上続いた牛肉からの魚縛り。妻から毎日肉を食べたいと言われた時は、肉が憎らしかった。妻から毎日魚を食べたいと言われた時は、ぎょぎょっとした。だが、今思えば、とても良い経験となった。この期間にかなり鍛えられた。スキルが貯まってきて対応できるようになったと思ったら、需要がなくなった。


ご飯作りは人生の縮図だ。制約からイノベーションが生まれる。そして、学ぶべきことを学んだら、新しいステージが迎え入れてくれる。

これからは僕のことを、連続スペシャリストクッキングイノベーターおけいと呼んで欲しい。

しらんけど。

注記
連続スペシャリスト:名著、ワークシフトに書いてあった気がする。


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