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教科書

 国語の教科書に、知っている作家の文章が載っている。そのことを知ると、不思議な気分になる。子供の頃、新学期に新しい教科書がそろうと、どの教科書も一回家で見ていたが、国語の本は楽しみだった。この学年の時は、このお話を勉強したな、とタイトルで思い出す。挿絵も覚えている。スイミーやたぬきの糸車、ちいちゃんのかげおくり、ごんぎつね、くじらぐも、など、小学校で習ったお話。自分の子供が小学生になり、教科書にも見つけると、懐かしくて幸せな気持ちになった。
 子供が中学校になってからは教科書をじっくり見る機会を持ててないが、向田邦子さんの「字のない葉書」を見つけた。私も中学校のとき学んだのだろうか。中学校だったか小学校だったかは記憶がはっきりしない。当時は、読んで戦争の話なのは分かったが特別何か感じなかったと思う。少し経ってから向田さんの小説やエッセイが好きになり、エッセイ本の中でもこの話を見つけ、読んだら泣いてしまった話だ。
 高校になってからは、羅生門やこころ、舞姫も覚えがあるが、舞姫は覚えていない。
 今から20年ほど前だが、高校生の国語のテスト問題を見た。現代文の問題だが、山田詠美さんの「ぼくは勉強ができない」だった。私が高校生の頃読んで、面白くて衝撃を受けた本だった。テストは一部分の文章だが、その後この本を手にとって読んでみた生徒はどれくらいいただろう。この本が試験問題になるんだ、と素直に羨ましかった。
 学生でなくなっても、この年代にはこの教科書というような本があれば、面白いなぁと思う。
 

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