楽しいときはわかりやすい。うれしいことがあったら、うれしい。楽しかったら楽しい。かんたんだ。 悲しいときは涙がでる。でないときは、よくわからない。涙がでるまで、…
讃美歌が歌えなくなった。 口も身体もうごかせない。おかしいな。 会場の隅に座って、じっとみんなを見つめよう。みんながゆれて、わたしもゆれる。みんなは聖霊にみたさ…
話せば、わかってもらえると思った。話したことはうそじゃなかったんだ。でも、うまくいかなかった。 その言葉をどう受け取るかなんて、相手次第なことはよくわかっている…
花を家にかざりたいと思った これでいいだろうか あまりにわびしくはないか 必死に探したんだ。 自分のまわりには、いちおう植物が生えているから。 でもあたりにはまっく…
あなたのために用意したの あなたは若いからわからないんだよ あなたならわかってくれると思ったのに あなたのために言ってるのよ どうして わからないの どこまでも重く…
昨日は夜に出かけなければいけなかった。 夕暮れどきには外に出たくないのに。仕方ないとはいえ、これから夜がくるのをどうしてみていないといけないのか。 夜は、人間が…
今日はくもりの日だ。 これから雨になっていくかもしれないし、晴れていくかもしれない。でも大抵、雨になるだろう。ゆううつだ。天気に左右される自分も、所詮は人間かと…
おまえはわがままだ どうしてそんなにわがままなの わるいことをしたのかもしれない。でもなにがどうわるいのかを教えてはくれない。なにがいけなかっただろうか。 わた…
ただじっとして ただ見つめる ただ立ちすくんで ただ涙をながす ただ隠れて 時がすぎるのをまつ どこまでも弱くて小さい人 小さな人は見続けている ずっとずっと目を…
ういている。どこにいても、どんなときも。 うくだけでも、浮き輪がなければういていられない。必死に、なんとかういている。 じいちゃんが死んだ。ずいぶんと前のことだ…
夜は豊かなものらしい。あたたかくて小さな光の下で、本を読んで、ティーをして。お話しして。時には涙をながして。こうして過ごすのが夜なんだって、あなたが言う。 その…
わたしはあなたに会わないと言った あなたは、無表情のまま、なんにも言わず去っていった わかっていたことだった ずっとそうだったじゃないか わたしは、何もないところ…
空気がゆれる、わたしがゆれる。自分がゆらす、まわりがゆれる。楽しいな。うれしいな。小さいころは、そう思っていた。 ある日、わたしは空気をゆらすのはこわいと思うよ…
彼は朝方に目を覚ます。顔を洗って、湯加減をみながらお湯をはる。バスソルトをふりかけて、浴槽のふちに腰掛ける。足湯が彼の日課のようだ。お湯があたたかいと思った。で…
わたしの木は、木のくせに根をはらないでひん曲がっていて、誰も近づこうとしない。 まわりの木々は根を張っているかのようにまっすぐ立って、みんなが下に集まっている。 …
言葉にならないこともあるが、 言葉ににするのは大切だ 言葉にしてみないとはじまらない そういう人はすでに歩いていて、ついでに言葉にしているだろう。言葉にしたらう…
omame
2024年3月25日 10:11
楽しいときはわかりやすい。うれしいことがあったら、うれしい。楽しかったら楽しい。かんたんだ。悲しいときは涙がでる。でないときは、よくわからない。涙がでるまで、自分が悲しいかなんてわからない。怒っているときは、よくわからない。おなかをこわして、何もできなくなった。どうやら、あの出来事が嫌だったみたい。そうしてやっと、自分が怒っていたことを知る。怒っていたのかもよくわからない。でも、嫌だったこ
2024年3月24日 15:21
讃美歌が歌えなくなった。口も身体もうごかせない。おかしいな。会場の隅に座って、じっとみんなを見つめよう。みんながゆれて、わたしもゆれる。みんなは聖霊にみたされたようで、とてもきもちよさそうだ。わたしがゆれたのは、きもちかったからではない。怖くてしかたなかったからだ。その声たちが、ゆれが、今もこだまする。わがままだよわっちくてどうしようもないいわれたこともできないああ なんてわ
2024年3月21日 07:16
話せば、わかってもらえると思った。話したことはうそじゃなかったんだ。でも、うまくいかなかった。その言葉をどう受け取るかなんて、相手次第なことはよくわかっているじゃないか。ただ話したことが、ちがうわたしを作りだしていくだけだろう。納得いかないわたしは、いやそうじゃなくて、と口をひらいた。さらにちがう自分ができていくだけだった。そのうち、ちがうわたしにそぐわないことを言うと怒られるようになった
2024年3月19日 11:05
花を家にかざりたいと思ったこれでいいだろうかあまりにわびしくはないか必死に探したんだ。自分のまわりには、いちおう植物が生えているから。でもあたりにはまっくらで、花があるのかわからない。フェンスの向こうには緑が広がっているのだろうか。わたしにはあまりに高くて、遠くて、行けそうにない。冷たい風がふいているから、はやくこの花をもって帰ろうと思った。小さな花ともいえるかわからない、わ
2024年3月18日 18:21
あなたのために用意したのあなたは若いからわからないんだよあなたならわかってくれると思ったのにあなたのために言ってるのよどうして わからないのどこまでも重くてどこまでも正しいひとあなたの笑顔はきれいなはずなのにわたしにはどこまでもうそくさくどこまでもおそろしくみえますどうして 耳を傾けてくれないのですかあなたがみているのは いったいだれですかわたしはそこにはもういません
2024年3月18日 07:59
昨日は夜に出かけなければいけなかった。夕暮れどきには外に出たくないのに。仕方ないとはいえ、これから夜がくるのをどうしてみていないといけないのか。夜は、人間が元気になる。日々の鬱屈をはらそうと、ギャハハと笑う集団がちらほら。1人で荒ぶって人に当たっているやつもちらほら。あとはそれを横目に死んだ顔をして急ぎ足で帰る人。わたしである。車もミサイルかと思うほどぶっ放して通っていく。豊かな夜は
2024年3月17日 09:35
今日はくもりの日だ。これから雨になっていくかもしれないし、晴れていくかもしれない。でも大抵、雨になるだろう。ゆううつだ。天気に左右される自分も、所詮は人間かとぶつくさいいながら、スマホにうつる自分をみる。二重顎のむすっとした顔。でもこのあいまいとした天気が案外好きかもしれない。湿っているのか、風がないのか、嵐の前の静けさなのか、カラッとしているのか、冷たい風が強く吹いているのか。これから
2024年3月16日 20:06
おまえはわがままだどうしてそんなにわがままなのわるいことをしたのかもしれない。でもなにがどうわるいのかを教えてはくれない。なにがいけなかっただろうか。わたしは、こう思った。わたしは、そうは思わない。ウソをつくのは罪だって、先生が言ってた。だからまじめに話したんだ。返ってきたのは、わがままということば。だれかを傷つけたのなら謝りたい。いい子でいたい。でもなにがわるいのか、ばかな自分にはわ
2024年3月15日 17:28
ただじっとして ただ見つめるただ立ちすくんで ただ涙をながすただ隠れて 時がすぎるのをまつどこまでも弱くて小さい人小さな人は見続けているずっとずっと目を逸らさず、逸らすこともできず、目撃し続けているこんな強い人がほかにいるだろうか
2024年3月15日 07:07
ういている。どこにいても、どんなときも。うくだけでも、浮き輪がなければういていられない。必死に、なんとかういている。じいちゃんが死んだ。ずいぶんと前のことだ。義理の父は少しずつ弱っていった。葬式の日には涙がでた。でも彼は、いたはずなのにいないようだった。彼はそのあとに、人が死んでいくのはこういう感じなんだと思った、と言った。まわりはざわつき、水は乱れ、あなたの妻はひどく傷ついたと言った。
2024年3月14日 18:47
夜は豊かなものらしい。あたたかくて小さな光の下で、本を読んで、ティーをして。お話しして。時には涙をながして。こうして過ごすのが夜なんだって、あなたが言う。そのとおりと言ったけど、本当のところよくわからなかった。夜は戦場だ。いつも備えていなければならない。朝が来るのをじっと待っていたそのときは、あなたがちがう世界にいるように思った。いまは小さな家に一人住んでいる。わたしは相変わらず、耳をそば
2024年3月14日 08:15
わたしはあなたに会わないと言ったあなたは、無表情のまま、なんにも言わず去っていったわかっていたことだったずっとそうだったじゃないかわたしは、何もないところに向かって、ことばを出しただけだわたしには準備が必要で、準備ができた日には、あなたに会えるかもしれないあなたはその日まで待っていてくれるだろうかそのとき微笑んでくれるだろうかそうだとしても、なににもならないだろうそうだとし
2024年3月13日 05:51
空気がゆれる、わたしがゆれる。自分がゆらす、まわりがゆれる。楽しいな。うれしいな。小さいころは、そう思っていた。ある日、わたしは空気をゆらすのはこわいと思うようになった。大きくなったからなのかもしれない。攻撃的になっている人間は、遠くにいても空気をゆらしてズンズン進む。感情的な人間は、空気がゆれるのを今か今かと待っている。大きな声も、大きな音も、大きな感動も、空気をガラリと変えてしまうだろ
2024年3月12日 07:54
彼は朝方に目を覚ます。顔を洗って、湯加減をみながらお湯をはる。バスソルトをふりかけて、浴槽のふちに腰掛ける。足湯が彼の日課のようだ。お湯があたたかいと思った。でもその程度のことだ。今日はふっと、鏡にうつる姿が目に入った。いつもの無表情だと目を逸らそうと思ったら、おどろいて鏡をよく見た。彼がこっちを見て、静かに微笑しているように見えた。こんなことはあまりない。彼は足湯をしてきもちかったのだ。
2024年3月11日 22:12
わたしの木は、木のくせに根をはらないでひん曲がっていて、誰も近づこうとしない。まわりの木々は根を張っているかのようにまっすぐ立って、みんなが下に集まっている。でもいいんだ。あなたがいいんだ。昼がすきだ。あなたが地面に放りだしている根っこに座って、あなたの木陰から、あなたの見る景色を一緒に見れるから。夜はきらいだ。夜になると木々はどこかにいってしまうだろう。嵐がやってきて、雨が肌にあたっ
2024年3月11日 08:07
言葉にならないこともあるが、言葉ににするのは大切だ言葉にしてみないとはじまらない そういう人はすでに歩いていて、ついでに言葉にしているだろう。言葉にしたらうごめく何かしかないなんてことにはならないんだろう。 ことばは自分を座らせる。そいつはあんたを睨んで離さないだろう。それでは、あまりに風がない。倒れていても息をしたいのに、動けなくても立っていたいのに、歩いていたいのに。ことばに