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フリーランスの赤信号

 どうでもいい話。自分のなかでインスタが一番おもしろかったのは4~6年前くらいで、いつの間にかアプリを開く頻度も少なくなっていた。

 はて、なんでおもしろみを感じてたのだろうか。うーーーん、おそらくは、インスタの機能うんぬんとかそういう話はあまり関係なく、心に決めた撮るべき対象があったからかもしれない。

 今もこの親指ほどの小さなぬらりひょん(妖怪)はそばにあるし、たまに撮り溜めてはいるのだけど、なぜかアップするまでには至らない。たぶん、オープンにすることに飽きてしまっているんだろな。

 そんで、たまに思い付いたようにアプリを開けば、顔見知りのおじさんたちがインスタでひたすら飯や酒の写真をアップしてるのが飛び込んできて、この人たち他にやることないのかなぁ、とか、見栄っ張りだしこの歳になって自信ないのかなぁ、なんて皮肉が湧いてくる。

 いやいや、そんなん何も考えずにただ気晴らしにやってるだけだよ、という意見もあるはずだし、実際そういうおじさんもいるはずなんだけど、「みんながやってるから始めた」ようなおじさんたちに対しての信頼度はゼロで、この歳にもなって足元がブレブレな様子には不安すら覚える。

 自分もこういう風になっていくのだろか。電車に乗ってるとき、こうはなりたくねぇなと思っていた勢いのあるくしゃみを実装するようになってからは、”明日は我が身”という予測不可能なおじさんホルモンに怯える日々なのである。とりあえず、30歳の今は立派におじさん見習いをやっている。

 てか、この世代がインスタやってるってことはだいぶ浸透してきたわけだ、としみじみ思ったりもする。ぬらりひょんはアップしないものの、今はわりとビジネスライクな意識で、必要に応じて、がんばってインスタを使っている感覚があるから、ここからいつになったら脱却できるのだろうか。SNSが憂鬱にならない日がやってくることを祈るばかりだ。

 と、ここまでは別に今日書こうと思ってたノートでは全くなくて、場づくり的に言えば、”チェックイン”みたいなもので、まさに書き始めたときの一瞬を記してるにすぎない。本題はこっからです。

 のらりくらりとではあるんですけど、ボクも一応はフリーランスとして6年目くらいになるんですよ。だからと言って、フリー最高と思ってるわけでは全くなく、むしろ逆で「会社員になりたいけど馴染めなかったから」という”追いやれた系”の情けないほう。

 だから、キラキラな働き方を語れるわけもなく(語っていいわけもなく)、「やりたい」ことよりも「やりたくない」ことをベースに動いてるタイプと言いますか。ドラクエをプレイしてるとすれば、必要最低限で敵と戦ってLv.を上げて、基本は「逃げる」ボタン連打で魔王を目指すというスタンスなんじゃないかと自分では思ってます。

 そんなんで6年やってるんで、怒られることもクソあったし、スッと仕事がなくなることも余裕であったし、良くも悪くも経験値は積ませてもらったという感覚はあるわけで。

 で、「これからフリーでやっていきたいんです」という若者にもわりかし出会うような環境がなぜか今あって、アドバイスするとかする気もなく、ただただその意思を聞いたりすることもあれば、ときたまちょっとした仕事を一緒にやることもあるんだけど、どちらかと言えばへたれフリーランスのボクから見ても「こいつ大丈夫かなぁ。厳しそ〜な匂いがプンプンする」という輩がいたりする。

 今回は、その子についての話。その子を、仮にS氏としましょうか(星新一のショートショート感がやや出る...)

 S氏は、社会人経験もほぼほぼない状態で、フリーを目指している。今回は、あまり彼の略歴とか、活動してるエリアとか、細かいことは端折っても良さそうなので端折ることにする。 

 もうシンプルに「フリーに向いてないんじゃねえか」と思ったことについて書き留めておきたい。

 今、ちょっとしたプロジェクトを立ち上げていて、ボクは立場的にはディレクターみたいなところ。パートナーとして動いてくれるのは、がっつりと同類案件を何度もこなしてきた先輩フリーランスK氏。正直、基本的な体制はもうこれで整っている。

 ただK氏のスキルを盗めるところもあるだろうし、細かい取りこぼし部分が出てくるんじゃないかという保険もあったので、S氏にはプロジェクトアシストを頼むことにした。

 で、ここで大事なのは、アシストといっても、経験年数なんて関係ない、いちフリーランスとして頼んだし、そういう意識でやってもらえると助かる、という旨もあえて伝えたりもした。

 そんな状況で、プロジェクトは始まった。始まったのだけど、どうもS氏の動きが良くない。何が良くないかと言えば、自分から動かないのだ。つまり、指示してやっと動いてくれるようなあんばい。

 もともとの座組としてはボクとK氏がいれば前に進むプロジェクト仕様にはしてるから、正直困ることはないんだけど、関わる意味あんのかなぁとかふと思ってしまうのだ。怒るとかそういう話でなく、呆れるというか。

 立場とか関係性とかをさておいて、オメェもフリーランスのはしくれなら、「僕なんかが」みたいなへたれ根性は捨てて、自分からがんがん提案してくれ、動いてくれ、と思ってしまうのだ。

 細かいところ言えば、言われたことを言われたままにやってのける姿もあまり頂けない。それ以上に跳ねっ返りがある人に魅力を感じるのはボクだけじゃないはずだ。

 だから、そもそもS君はフリーの仕事には向いてないんじゃないか、という話なのだ。

 よくよく話を聞いてみると、下積みする意識もなく、お金をもらえないなら、と断っている案件も多いらしい(今頼んでいる仕事に関しては、ちゃんと金額が発生している)。

 なんというか、自分の立場をあまり分かっていないよう。というか、自分の気持ばかりを気にしている。みうらじゅんの”自分なくし”の本を読ませてあげたいくらい。自分を丸投げすることで見えてくる自分(の能力)は確実にあるから、もうちょいしばらくは無理してでも引き受けてみたほうがいいと思うんだけどなぁ。

 もちろん自分の軸を固めるにも最低限のお金は必要なんだけど(てかそもそもキャッシュフローを整えることすらフリーのスキルなんだけど)、お金じゃない関係性とか技とかをもらえるほうが長い目でみたときに財産になるはずなんだよホントは。

 とね、そう思うわけですよ。

 たぶん、もとの性質が雇われ根性みたいだから(もっといえば、そもそもの社会人経験が少ないせいか、基本がままならないから)まずは1年でも2年でも会社員を全うして極めたほうがいい。

 かっこいい会社員はたくさんいるんだよ。いくつかの制約の中だからこそ出てくるアイデア、立ち振舞ってのもあるわけだし。明石家さんまが言った「テレビは、放送ルールがいくつもあるから逆におもしろい。サッカーが手を使ってもいいってなったらつまらないでしょ」という発想に近い気もする。組織の一員という強制力があるから機能する自分もあるという認識は持てたほうがいいと思うんすよね。

 S君はなんでフリーにこだわってるのだろう。今はこうだけど先々どう変化してくかは分からないから、核の部分は言うつもりはない。だけど、その理由を自分に問いかけて一つ一つを紐解いていったほうがいい。

 ただの憧れとか、今やりたくないこと(だけど、将来的にやれるようにならないといけないこと)から逃げるためだけにフリー志向を考えるのはあまりオススメできない。

 まあ、他人の人生だし、本音を言えば、自分が関わるプロジェクトに支障なければ、将来的に彼が野垂れ死のうがどうなってもあまり気にならない。自業自得だから。なんのために人は分岐点で選択をするのか、を考え直さなきゃいけないかもね。後に、引きづらない(後悔しない)選択と行動を、ってことだよなぁ。

 わりと冷ややかにS氏について書いた感じになったけど、これはやっぱり彼が一人のフリーランスという対等な立場だからそう思うわけで、これがまた自分の部下とかになったら話はべつだ。ちゃんと骨折って、彼の人生の何分の一かくらいは引き受けようとくらいには意気込む。

 ようは、それは関係性の問題でしかなく、とりあえず今の関係性はそこまで踏み込まないところにあるってことだよな〜、S氏の場合は。

 まあ一番は、恥ずかしい話、ボク自身があまりフリーに向いてないと思ってるからこそ、彼には重なる部分が見えすぎて、行き急ぐなよ、と赤信号を示したくなるのだ。

 でもS氏は、きっとまだ止まらないんだろな。頼むから、事故だけは起こさないでね。 

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