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ジョジョ・ラビット

ご無沙汰してます。
夏にかけて忙しかったという事もあり、体調崩しまくりでやっと落ち着いたという感じ。

体調が優れないのに加えて、人生5度目のひどいぎっくり腰に襲われ、右手親指の関節が徐々に痛んで使い物にならないくらいの激痛に変わった。腫れるでもなく、病院に行っても原因はわからず、かなり良くなったけど未だに親指の自由は完全には効かない。たかが親指だけど、親指1本の自由が効かないだけで思い通りにいかない事がたくさんある事に気づく。指が5本ある事にも意味があるし、体のパーツ全てに意味がある。人間の体って本当によく出来るなと健康であることのありがたみを噛み締めた夏の終わり。

4年ほど前に同じ指の違う関節が急に腫れて激痛で何もできない時があったけど、思い返せばあの時もきっと使い過ぎだったんだろうなと思う。

やりたい事を続けるにあたってこれはかなり致命傷なので、省エネを意識しなきゃいけないなと最近ひたすら落ち込み気味の心は途方に暮れてるけど、仕方ないから気分転換でもしようと久しぶりに昨夜は映画を見た。


2019年公開の『ジョジョ・ラビット』というアメリカの映画。

Huluの新作に上がっていて、第二次世界大戦下のドイツが舞台なのにコメディ?というのが気になったので、前評判もストーリーも何も調べずに見始めたんだけど、まずは画面の絵作りのセンスとそこに重ねてくるビートルズの音楽の絶妙なバランスとコミカルさにあっという間に惹かれた。あと、主人公の子役の子。

主人公の少年の妄想友達がヒトラーという、どんなストーリ展開になっていくのか予想できない謎の設定に無理があるような気がしてたけど、物語が進むにつれ、”ヒトラーが友達”というこの少年の妄想と現実の交わりの中で、常に相反する感情が付きまとって不思議な感覚や感情が想起される、今までにはない切り口で描かれた戦争映画だった。
かなりコミカルにかなりシリアスな題材を扱ってる点で賛否両論ありそうな作品だけど、ずっと笑える要素が散りばめられているのに、人間、戦争、洗脳、ナチ、全体主義の恐ろしさや残酷さはしっかり描かれていて、それでいて人間愛もしっかり描かれているバランスが絶妙な作品だと思いました…。

それでいて、個人的にはどのシーンを切り取っても絵画のように美しい絵作りと色彩が大好物だったし、そこに重なってくるアンバランスではないかっていう音楽が素敵で、”絵的”にももう一度見たいなと思わせるほどたくさんの”絵”が印象に残った。

「Let everything happen to you すべてを経験せよ 
 Beauty and terror 美も恐怖も
 Just keep going 生き続けよ 
 No feeling is no ending 絶望が最後ではない」

ライナー・マリア・リルケ

エンディングはの言葉もすごく頭と心に残ったけど、ユダヤ人の少女が言った

「あなたはナチじゃない。変な軍服と戦争ごっこが好きな10歳の子供」

って言葉も印象に残ってる。子供の純真無垢な心を大人が都合の良いように色付けしてしまう残酷さ。戦時下に限らず子供っていうのは何でも素直に吸い込んでしまうスポンジのような生き物で、それが羨ましく思える時はあるけど社会次第で何もわからないまま誰より犠牲になるのも子供だという現実にもあらためて胸が痛んだ。


でも、この映画を見終わった後は悲しみよりも心の温かさの方が際立つ。

そんな不思議でキュートで残酷な映画。



ふと思い立ってふと見た映画が強烈に日常に飛び込んで来て、体がボロボロで戦意喪失気味だった今日この頃が少し好転しそう。

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