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そのサッカーを疑え!

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2018年9月の記事一覧

Jリーグの強化ポイント。まず選手か、まず監督か。世界的な評価にしたがえば

Jリーグの強化ポイント。まず選手か、まず監督か。世界的な評価にしたがえば

 開幕当初から首位を走り続けてきたサンフレッチェ広島だが、ここに来て勝ち点の伸びが鈍り、9月26日現在、2位川崎フロンターレとの差は1ゲーム差(3ポイント)まで縮まった。逆転は現実味を帯びている。

 また昨季、最終節まで川崎と優勝を争った鹿島アントラーズも、先の日曜日、札幌を2-0で下し4位に浮上。降格争いの混沌を尻目に、両チームはしかるべきポジションに収まりつつある。

 昨季、優勝した川崎は

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本田は哲学を雄弁に語れるか。サッカー監督のカリスマ性は元名選手度に比例しない

本田は哲学を雄弁に語れるか。サッカー監督のカリスマ性は元名選手度に比例しない

 名選手名監督に非ず。サッカーはこの傾向がとりわけ強いスポーツだ。プロ野球とJリーグ。監督が元名選手である割合はどちらが高いかを比べれば分かりやすい。

 名波浩(磐田)、長谷川健太(東京)、宮本恒靖(G大阪)、高木琢也(長崎)、相馬直樹(町田)、井原正巳(福岡)。J1、J2計40チームの監督の中で、日本代表で実績を残した元名選手は、せいぜいこの6人ぐらいだ。

 もちろんこれは日本に限った事例で

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森保監督はなぜスタイルを変えたのか。「柔軟性」「臨機応変」は、サッカー監督の哲学にあらず

森保監督はなぜスタイルを変えたのか。「柔軟性」「臨機応変」は、サッカー監督の哲学にあらず

 コスタリカに3-0で勝とうが、0-2で敗れようが、この時期に行われる親善試合の結果に特別、関心はない。ロシアW杯が終了し、代表監督が交代したいま、いちばん敏感になるのは、代表サッカーの向こう4年間の方向性だ。

 森保監督がサンフレッチェ広島時代、そして先日のアジア大会で見せたサッカーは、西野前監督がロシアW杯で見せたサッカーとは違う。

 さらに言えば、森保監督には他のサッカーを実践してきた過

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若手を切って本番に臨んだ西野前監督に、いまさらながら物申す

若手を切って本番に臨んだ西野前監督に、いまさらながら物申す

 試合の評価とは、結果と内容、それに絡む様々な要素を総合的に分析して下されるべきものだ。主観が入り込む余地も大いにある。

 アジア大会決勝で韓国に敗れた日本。延長の末1-2は一般的には惜敗だ。内容的に見たとき惜敗は妥当な評価と言えるのか。

 韓国の一方的な支配が強まると、実況アナ氏は両チームの年齢構成の違いを繰り返し説明した。日本がU−21で臨んでいるのに対し、韓国はオーバーエイジ3人を含むU

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なでしこジャパンと森保U−21。最大の違いはクロスを折り返す角度にあり

なでしこジャパンと森保U−21。最大の違いはクロスを折り返す角度にあり

 アジア大会女子サッカー決勝。中国に押されながらも1-0で勝利したなでしこジャパンと、1日の夜に韓国と決勝を戦う日本男子U−21。男子と女子を同じテーブルの上で語るのはやや気が引けるが、単純に見ていて面白そうに映るのはなでしこの方だ。きつい表現をすれば、男子の方が汚いサッカーをする。好みの問題とは思わない。究極の平衡感覚を駆使した上でそう思う。

 ボールの繋ぎ方、運び方に安定感がある。ボールを経

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