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2022年12月の記事一覧

カタールW杯検証(3)ベスト16入りの原動力となった選手交代。森保監督はなぜその概念を変えたのか

カタールW杯検証(3)ベスト16入りの原動力となった選手交代。森保監督はなぜその概念を変えたのか

 続投が決まった森保監督。カタールW杯で驚かされたことは2点ある。前回述べたように事実上の5バックを多用したこと。そして早めの選手交代だ。

 5バックは、2019年12月に釜山で行われた東アジアE1選手権以降、封印された状態にあった。復活したのはその2年半後。今年6月に行われたキリン杯で、それ以降、本番直前のテストマッチまで数試合で使用された。しかし試合終盤の数分間に限られていたので、5バックで

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カタールW杯検証(2)森保式3バックのなぜ。守備的サッカーを筆者が嫌う一番の理由

カタールW杯検証(2)森保式3バックのなぜ。守備的サッカーを筆者が嫌う一番の理由

 敵を欺くにはまず味方からという諺があるが、カタールW杯に臨んだ森保監督がそれだった。4-2-3-1メインだった布陣を一転、5バックになりやすい3バックで長い時間、戦った。ドイツ戦、コスタリカ戦は試合の途中から。スペイン戦、コスタリカ戦では最初から使用した。使用時間の割合は25対75ぐらいの関係にあった。

 サンフレッチェ広島時代がそうだったように、森保監督はもともと5バック(よく言えば3バック

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カタールW杯検証(1)日本がベスト16入りと引き替えに喪失したもの。哲学、コンセプトは誰が決める

カタールW杯検証(1)日本がベスト16入りと引き替えに喪失したもの。哲学、コンセプトは誰が決める

 カタールW杯を戦った日本代表。抵抗を覚えるのは、森保一監督が従来とは大きく異なる方法論で戦ったことだ。厳しいグループを勝ち抜き、ベスト16に進出した。目標のベスト8には届かなかったが、悪い成績ではなかった。前評判を覆す健闘である。しかし監督の評価を、すべて結果に委ねるのはサッカー的ではない。

 結果に及ぼす運の割合が3割を占めるなど、サッカーが不確定要素の上に成り立つ競技であることは、今大会で

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日本の甘い歓迎ムードに浸る森保監督。続投の意思があるなら「本当のW杯」を現地でナマで観戦すべきである

日本の甘い歓迎ムードに浸る森保監督。続投の意思があるなら「本当のW杯」を現地でナマで観戦すべきである

 W杯はベスト16、決勝トーナメント1回戦からが「本当のW杯」だと言われる。筆者が初めて出かけた1982年スペイン大会は、本大会出場チームそのものが16だった。1986年メキシコ大会、1990年イタリア大会、1994年アメリカ大会が24チームで、現行の32チームになったのは1998年フランス大会から。かつてを知る筆者のような取材者が、どや顔で口にしがちな言い回しである。出場チーム増の恩恵がなければ

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