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そのサッカーを疑え!

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2023年11月の記事一覧

選手の多機能性追求の足枷になる日本の勝利至上主義。細谷真大は兼ウイングを目指せ

選手の多機能性追求の足枷になる日本の勝利至上主義。細谷真大は兼ウイングを目指せ

 先のミャンマー戦とシリア戦に1トップとしてスタメンを張った上田綺世。ミャンマー戦にはハットトリック。シリア戦でも2ゴールを挙げている。怪我で招集を辞退した古橋亨梧(セルティック)を尻目に株を上げた恰好だ。

 しかし、所属クラブ(フェイエノールト)では出番に恵まれていない。古橋が毎試合ほぼ先発を飾るのに対し、上田はもっぱら交代出場だ。

 先のチャンピオンズリーグ(CL)第5週、アトレティコとの

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レベルダウン著しいJリーグとレベルアップ著しい日本代表。アンバランスに支配される日本の行く末

レベルダウン著しいJリーグとレベルアップ著しい日本代表。アンバランスに支配される日本の行く末

 J1リーグ。2位の横浜F・マリノスがアルビレックス新潟に引き分け、首位を行くヴィッセル神戸が名古屋グランパスに勝利したため、優勝の栄冠は最終節を待たずに神戸の頭上に輝いた。

 勝ち点差2で迎えた試合だった。両者が競いあうスリリングな展開になっていたことは確かである。しかし世の中の反応はいまひとつ鈍かった。その反応の強弱を何で判断するか。テレビ、新聞からネットに移行したいま、正確に捉えることは難

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日本によいサッカースタジアムが必要な理由。ピッチに描かれるデザインを見逃すな

日本によいサッカースタジアムが必要な理由。ピッチに描かれるデザインを見逃すな

 アウェー戦をテレビ観戦できなかったシリア戦。これがもしラグビーだったら、ここまでの騒ぎになっていただろうか。ラグビーは番狂わせの少ない、実力差がスコアに直結しやすいスポーツだ。ラグビーの日本代表がサッカーで言うシリアレベルの国に敗れる心配はないだろう。その心配が少なからずあるのがサッカーだ。運が試合結果に及ぼす影響は3割。弱者を相手にした場合でも、観戦にはそれなりのドキドキ感がつきまとう。

 

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ベストメンバーの呪縛に取り憑かれる日本人代表監督

ベストメンバーの呪縛に取り憑かれる日本人代表監督

 1998年フランスW杯予選に臨む少し前だったと記憶する。時の代表監督、加茂周氏はメンバー選考の考え方についてこう話した。

「14人目までは順当に決まる。スタメンの11人と交代の出場の3人は実力で選んでいけばいい。だがそれ以降は実力だけで選ばない。試合に出ない可能性が高くなるので、ベンチを温め続けても大丈夫な選手か、チームにマイナスな行動を取らない選手であるかが選考の基準になる」

 だが、フラ

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