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そのサッカーを疑え!

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#ウイング

久保建英。トップ下より右ウイングの方が「ファンタジスタ」に見えるという現実

久保建英。トップ下より右ウイングの方が「ファンタジスタ」に見えるという現実

 チャンピオンズリーグ(CL)、ヨーロッパリーグ(EL)を軸とする欧州サッカーを眺めていると、ウイングの時代を迎えていることを実感する。サイドアタッカーがウイングバックのみの、5バックになりやすい3バックが占める割合は全体の3割弱。サイドアタッカーを両サイドに各2人、置いて戦うチームは7割強を占める。その中で目に止まるのは、サイドバック(SB)ではないサイドアタッカーが、サイドハーフと言うよりウイ

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三笘はなぜ右でプレーできないのか。バロンドールを受賞した右利きの右ウイングと比較する

三笘はなぜ右でプレーできないのか。バロンドールを受賞した右利きの右ウイングと比較する

 現日本代表の2大看板と言えば三笘薫と伊東純也だろう。ともに右利きのウイングだが、立ち位置は三笘が左で伊東は右だ。3月に行われたコロンビア戦では、三笘が後半、堂安律と交代でベンチに下がると、左ウイング伊東、右ウイング堂安という配置になった。

 伊東が左でプレーするのはいつ以来だろうか。珍しいものを見たとこに変わりはない。一方、三笘の右ウイングは画面越しでは見たことがある。昨季終盤のプレミアリーグ

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国内組で最も期待できる若手、細谷真大はCF兼ウイングの多機能型選手になれるか

国内組で最も期待できる若手、細谷真大はCF兼ウイングの多機能型選手になれるか

 6月の日本代表戦(エルサルバドル戦、ペルー戦)のメンバー発表記者会見で「落選した大迫勇也(神戸)、伊藤涼太朗(新潟)、町野修斗(湘南)」はボーダーライン上だったのか」との質問が森保一監督に向けられた。例によって森保監督が噛み合いのいい答えを返すことはなかった。

 しかし国内組である彼らが落選したことで、26人中国内組はわずか3人(大迫敬介/広島、森下隆矢/名古屋、川﨑颯太/京都)となった。欧州

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ウイングの育成に貢献していない森保監督が、日本を代表するウインガーをウイングバックで使ったご都合主義

ウイングの育成に貢献していない森保監督が、日本を代表するウインガーをウイングバックで使ったご都合主義

 カタールW杯で三笘薫、伊東純也という日本を代表するウインガーをウイングバックとして起用した森保采配に、筆者は少なからず憤りを覚えたものだ。サッカーを大局的に見た時、それはご都合主義でおいしいところ取りの采配に映った。

 ウイングバックとウイングは、似て非なるポジションである。ウイングバックとより近しい関係にあるのはサイドバック(SB)だ。

 あるチームが4バックから3バックに布陣を変えたとき

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日本代表のサイドバックとウイングの定型のない関係

日本代表のサイドバックとウイングの定型のない関係

 サイドバック(SB)とウイング。4-2-3-1あるいは4-3-3を敷く現在の日本代表には一応、サイドアタッカーが両サイド各2人存在するが、この2人の関係にチームとしての定型はない。選手任せになっている。

 2人の関係と言っても、SBは一定だ。酒井宏樹、室屋成、山根視来(右)、長友佑都、小川諒也、佐々木翔(左)のいずれかが出場しても、差は僅か。ポジショニングに大きな違いはない。

 関係を左右す

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「ウイング天国ニッポン」を象徴するJリーガー2人。三笘薫もいいけれど、坂元達裕もかなりいい

「ウイング天国ニッポン」を象徴するJリーガー2人。三笘薫もいいけれど、坂元達裕もかなりいい

 Jリーグを史上最速で制した川崎フロンターレ。以前のこの欄でも述べたが、特筆すべきは鬼木監督のメンバー交代枠(5人)をフルに使った采配だ。4人止まりだったのは現在までのところ2試合だけ。サブとレギュラーの境界をあえて曖昧にし、多くの選手が出場時間を分け合いながら優勝した。MVP(最優秀選手)の名前は実際、パッと出てこない。チームスポーツの理想を見るような圧勝劇だった。

 とはいえ、今季新たに加わ

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ウイング考。見てみたいのは、伊東純也(右)とマテウス(左)の両ウイング

ウイング考。見てみたいのは、伊東純也(右)とマテウス(左)の両ウイング

 10年前の日本サッカーには、サイド攻撃という概念が無いに等しかった。サイドバック(SB)の前方に、2人目のサイドアタッカーが存在しなかったので、サイド攻撃と言えば概ね、SBが単騎で攻め上がる状態を意味していた。

 長躯駆け上がった状態でクロスボールを上げれば、精度が鈍るのは当然。だが、世間はそんな事情にお構いなくSBに厳しい目を向けた。精度不足を必要以上に追及。攻め上がったその裏を、相手に突か

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バイエルン対バルサが語る。バランスの取れた3FWを編成するチームは、無類の強さを発揮する

バイエルン対バルサが語る。バランスの取れた3FWを編成するチームは、無類の強さを発揮する

 同じ3トップのサッカーでも、今季のチャンピオンズリーグ(CL)決勝を戦ったバイエルンとパリ・サンジェルマン(PSG)とでは違う。攻撃の幅に大きな差があるーーと、前回のこの欄で述べた。それに補足させてもらえば、バイエルンFWの両サイド(左=キングズレイ・コマン、右=セルジュ・ニャブリ)はウイングと言えたが、PSGFWの両サイド(左=キリアン・ムバッペ、右=ディ・マリア)は、言うならば、2シャドー的

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4-3-3化が進むJリーグ。気になるピッチの4箇所で発生するウイング対SBの関係

4-3-3化が進むJリーグ。気になるピッチの4箇所で発生するウイング対SBの関係

 FC東京、川崎フロンターレ、サガン鳥栖は、今季布陣を4-3-3に代えてJリーグの戦いに臨んでいる。3-2-2-2が予想されたヴィッセル神戸もACLに続きJ1の初戦でも4-3-3を使用した。さらに、横浜F・マリノス、清水エスパルス、横浜FCも、ウイングプレーヤーをフィーチャーした4-2-3-1を使用する。

 昨季、横浜FMがJ1を制し、そこで右ウイングとしてプレーした仲川輝人がMVPに輝いた。そ

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