シャンパングラスで日本酒を②

現代を生きるこんな女がいる。フィクションかノンフィクションかは秘密。

他人の為に生きる毎日なんてつまらない、つまらないと思われそうな人生なんて歩みたくない。私は私の思うまま、誰にもとらわれずに理想を貫いて人生を全うしたい。例えるならば、私はシャンパングラスで日本酒を飲みたいのだ。きっとこれは、普通の人生が幸せだと思っているあなたには、到底理解できない例えかもしれないけれど。


私が今までに出会った男を何人か紹介しよう。一人目は二十八歳位の頃に合コンで出会い、付き合っていた三歳年下の会社員だ。特に目立って顔が整っているわけでもお金を稼いでいるわけでもないが、元々運動部に所属し全国大会を目指していた事もあって、背も高く体格も良くて男らしい相手だった。人に紹介するには何の問題もない男だったが、私が唯一気に入らないと思ったところは、お金に対して厳しい、簡単に言えばケチなところだ。
外食をするとお金がかかるからと言って、デートの前には食事をしてくるような男だった。夜ごはんどこで食べるかと聞けば、ハンバーガーを食べてきたからお腹空いていないというような男で、二十六歳にもなって、まともなレストランすら知らず、毎度毎度お金を気にするようなところが嫌だった。
 今となっては、どの季節をこの男と過ごしたのか記憶にもないが、春になり長袖のコートを脱ぎ捨てようと心がワクワクし始めるような時期に、このケチ男は私を捨てたのだ。
「俺はまだ結婚は考えられない。君は来年三十歳になるし、結婚を考えることもあるだろう。俺は、子供が出来ない身体かもしれないし、君の将来を背負う事は出来ない。」そう言って泣いていた。
 言い忘れていたが、この男は昔大きな病気をしたせいで、子供が出来ない可能性が高いかもしれないと精子バングを使用していた。男が言う通り、私には将来があるし、子供も欲しい。それに何よりケチな男と一生を共に過ごすことは出来ないなと心の中で少し思ってもいたし、まだこの年齢なら新しい出会いだってあるはずだ。どうせなら、もっと楽しい恋がしたいなとも思っていたし、別れを言いつつ泣くような男に興味はなくなってしまった。未練もなく、春の訪れと共に私はこの男との恋を終えた。
 後に、SNSを通じて、この男が私と別れた後にすぐ新しい彼女を作り、結婚をして子供が出来たという事を知ったが、私にとっては「ケチで子供が出来ない可能性があった元カレが普通に幸せになった。」という一つの話題作りに過ぎないのだ。

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