心をつかって仕事を動かす古い考えに納得のいかないかたはいますか?わたしは時代に取り残されたあまのじゃく

『心。』 著 稲盛 和夫

なぜ大手経営者は道徳を大切にしていたのか。「あたりまえ」を「ありがたい」に変え、「足るを知り」、世のため人のために尽くすことがどれだけの功績を残すことになるかを理解しているつもりでいても同じようにできないのはなぜだろう。

「友人」、「家族」、「健康」、「仕事」どれにも均等に火がついており、まんべんなく薪がくべられており、これを「安定」と表現したことを耳にしたことがある。

本書の中に”経営者とはより高いリスクを背負わないと立てない”というコトバに少々辛い気持ちにもなった。それはつまり大切な家族よりも社会に目を向けることが世のため人のためになることがわかっているからだろう。

友人、家族、健康に薪はほとんどくべずに、仕事に費やしてきたことを仏教の教えから導き出したのが本書だった。

しかしこれは間違いなく戦後にとって必要な考えだったのだろう。いまでこそシリコンバレーでは優秀な人材であればあるほど家庭を大切にしている。と聞くが、当時を考えれば仕事一本に費やす以外の選択肢がないことは確かだろう。

本書はとにかく仕事だけをしろというのではない。そこにあなたが本当に達成したい人のためになることがあるのかが成功へのヒントであり、心自体を強くととのえて行ける場を見出すことこそ熱心に取り組んでいける一つの方法だと示してくれている。

2022年テレビで稲盛和夫氏が亡くなったことのニュースを職場でみていたとき「誰だろう?すごい人がなくなったんだな」という未知と無知からなにも理解していなかった。

何も知らずに「また一人亡くなったのか、でも亡くなった報道とかどうでもいいなぁ」とおもったが、本書を読んで泣きそうになりながら思ったことは「一度でもいいから会いたかった」と。『心。』を読むとそういう気持ちになったのだった。


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