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【実践】LEAN-CANVASから始める既存事業開発 (テンプレート付き)

LEAN開発を導入する

近年は従来のようなウォーターフォール開発がマッチしない現場が増えてきました。
そのような現場でLEANな開発マインドを取り入れようと四苦八苦されている方は多いのではないでしょうか?

LEAN開発とは「ユーザー中心」な考え方をもとに、「ムダを徹底的排除」し小さなトライ&エラーを繰り返していくことで正解に近づいていこうという考え方です。

LEAN開発をはじめるための最初の一歩としておすすめするのはLEAN-CANVASを書いてみることです。

■LEAN-CANVAS(テンプレート)_スプレッドシート

LEAN-CANVASとは、顧客から見た製品のビジネスモデルを図にしたものです。30分程で記入することができ、すばやく仮説検証のサイクルを回すことが可能です。
①~⑨の順に記入していくことで完成し。隣り合う項目はそれぞれ深く影響を与えあっています。

既存事業は、まず「あるがまま」を把握することから

ここでLEAN-CANVASを書きはじめる時におすすめしたいのは「現状(AS-IS)」のあるがままのLEAN-CANVASを書いてみることです。

まず「AS-IS」を把握することで、現状の製品が置かれている状況を正しく理解することで、後々の意見のすれ違いの多くを防ぐことが出来ます。

大切なのは「あるがまま」といことです。
"良くない部分"や"矛盾した箇所"、"把握していなかった現状"を白日のもとに晒すのがAS-ISのCANVASを書く目的です。

現状から理想をアップデートするサイクル

LEAN-CANVASは「AS-IS(現状)」と「TO-BE(理想)」の二枚を書くことをおすすめしています。
なぜなら理想と現状の差分から今必要なタスクが洗い出されて、PDCAのサイクルが明確になるからです。

LEAN開発は小さな実践を繰り返していくことで向かうべき道をアップデートしていく無駄の少ないサイクルです。

現状と理想を明確にすることで、
検証しなければならないこと
②作らなければいけないもの
上記二点の「実践すること」を明確にすることが出来ます。

既存事業におけるアンチパターン

■そもそも前提の条件が合っていない
LEAN-CANVASとは、理想のビジネスモデルの整合性を確認するものです。
理想を描く前に前提となる現状が揃っていなければ、議論が平行線になりがちです。

: 理想のビジネスモデルと、現状のマネタイズしている価値が違うため、上層部と現場の意見がすれ違う。

■時間軸が揃っていない
既存事業のLEAN-CANVASを書く上で「何年後」のモデルなのか?という決定がなされないまま、議論が始まることがよくあります。
書きはじめる際に、「現状(AS-IS)」なのか?「理想(TO-BE)」なのか?
TO-BEだとしたらそれは何年後なのか?をすり合わせることが大切です。

: ある人は1年後を、ある人は5年後を思い描いて議論しているが、タイムラインに並べると結局は同じことを言っていた。

■非現実的である
夢を語る場は必要です、夢がなくては事業をはじめることは出来ません。
しかしLEAN開発においてもっとも大切なのは、小さな仮説検証サイクルを繰り返して正解に近づくプロセスです。
LEAN-CANVASは運用することが前提だということを忘れないでください。

: LEAN-CANVASを書いたはいいが、二度と参照されることはなかった

「AS-IS」のLEAN-CANVASを書くコツ

■あるがままを書く
辛い現実に目を背け、格好良く表現したくなるのが人間の性ですが、ぐっとこらえて「現状のみ」を記入しましょう。

・優位性など、書けないものを無理して書かない。「無いという現状」も受け入れる
・無理に書くことを絞らない、「ターゲットが多数でブレている」等の事実も白日の下とする

■わからないものは「わからない」としておく
「こうだと思うのだけど、確証がない」ものには印を付けて置きましょう。
これらは「数値分析」「ユーザーリサーチ」などが必要なポイントになる可能性があります。

☠・「わからない・要調査」の記載には[ドクロ]マーク

■危機感のレベルで分類する
将来的に優位性が無くなるものや、不確かな流入元などにも印をつけておきましょう。これらは最優先で別の価値やチャネルを見つける必要があります。

💣・近い将来「破綻・変」更される恐れのあるものは[爆弾]マーク
💮・いままでの経験や検証で「概ね確からしい」ものには[花丸]]マーク

■AS-ISのCANVASのテンプレートは以下からコピーできます

下記のスプレッドシートをコピーして利用してください

AS-ISからTO-BEを分析する

■記入例

現状を赤裸々に埋めた後、現状を分析してみましょう。

上記の例だと
「ニッチな商品で差別化していきたい意図があるにもかかわらず、手前のSEOに収益が依存していて、本来価値が届いて欲しいユーザーに届いていない」という現状がわかります。
この現状を打破するためにはどのようなTO-BEを描くことが必要でしょうか?

■この分析から描かれるTO-BEの例
短期:直近の利益のためSEOの向上
中長期:本来届いて欲しいユーザーへのチャネル開拓

AS-ISからTO-BEを描く

AS-ISが分析できたら、そこからTO-BEを描くことが出来ます、この作業は多様性のあるメンバーでやるのが良いでしょう。
・ビジョンとの整合性
・エンジニアリング的な実現可能性
・マーケティング的な戦略との一致
・CANVASの整合性

等、それぞれのエキスパートが様々なTO-BEを描くことで多角的に最適解を描くことが出来ます。

■大切なのは差分
例として、TO-BEで「コアユーザー」を変更するのか?、「既存顧客」を維持したまま「優位性」を強化するのか?だとサイトの持つ性質が変わってきます。
この例だと、サイトデザインなどに大きく関わるのでデザイナーは注意深く確認するべきです。

また全てを一気に変更するのであれば、それなりのコストは覚悟しなければなりません。
エンジニアであればそれだけの仕様変更が現実的なのか見定める必要がありますし、経営者であればそのコストを捻出する必要があります。

素早くLEANなプロセスを回す

2枚のLEAN-CANVASを描くことによって、すぐに下記のようプロセスを回すことが出来ます。

ここでご説明した方法はLEAN開発のごくごく一部でしかありません。しかし大切なのはいかに「無駄のない」プロセスを素早く回すことが出来るか?です。

座組を整えることに時間を割くことで逃してしまうチャンスがあります。
ここで大切なのは、いかに素早く仮説検証のサイクルを始められるか?ということです。

何かを始めようと思ったら、話すことをやめて行動することだ。
~Walter Elias Disney~

LEAN開発を始めるためには、"まず行動に移せる状態をすばやく作ること"が大切です。
そのためには今回ご紹介した方法がお役に立つでしょう、LEAN-CANVASとはそのための手法のひとつです。

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