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頑張ったねシールがほしい

インフルエンザの予防接種を受けに行った。
外に出ると肌寒く感じたものの
近所のクリニックまで自転車で移動したら
体はすぐに温まった。

クリニック受付では
熱を測定(おでこで計るやつ)されたときに
何度も何度も計り直しをされた。
どうやらエラーになってしまうようで
看護師さんが困った顔をする度に
今日は打てないのかと不安になりつつも、
私の興味は看護師さんたちの制服が
白ではなく薄茶色であることだった。

——温かみのあるいい色

白基調は清潔感があっていいが、
茶色は優しさを与えてくれるなと
色から受ける印象に感心していると
ようやく測定ができたようだった。

医師による問診を終え
看護師さんが注射を打ってくれた。
(もちろん受付の方とは別の方)

「打ちますよ」
——速攻で打ってきた
「ワクチンが入るとき痛いですよ」
——本当だ、痛い
「腫れると思います」
——腫れる気がしてきた
「風邪の症状が出るかもしれません」
——体がだるくなってきた

私には言葉でなく
文章で伝えてもらった方が
よかったのかもしれない。

看護師さんの言葉ひとつひとつを真に受けて
しょんぼりとした気分で帰路につく。
一体何を期待していたのだろうか。
楽しいことなどある由もないのに。

帰宅ししょぼくれていると
子に聞かれた。
「可愛いシール貼ってもらえた?」

我が家が通う小児科では
注射を打ったあとに貼る
小さな絆創膏に
可愛い動物の絵柄が
描かれているものを貼ってくれる。

——いいな、子どもは楽しいことあって

大人になると
好きではない注射も
涼しい顔して受けなくてはならない。
騒がず、いい子で受ける。
褒めてもらえないし
可愛いシールも貼ってもらえない。

——大人なんだから当たり前

でも嫌なものは嫌なので
存分にしょぼくれて
後日大人だけの特権で
自分を褒めてあげたいと思う。

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