古畑 十

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  • Otogi project

    chatGPTに絵を描いてもらって、そこに掌編小説をぶっ込んでみました。

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  • 珍暖の果て

    即興小説です。物語になるように話を繋げていますが、結末は私にもわかりません。

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コマ小説「アトラス」

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    コマ小説「靴紐」

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    コマ小説「円塔」

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    コマ小説「遅い人」

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    走る

    ちょっと、どいてください。先を急いでいるんです。 息が駆ける。俺は通行人を跳ねのけながら足を交互に回転させた。 自販機が邪魔、おばさまが邪魔、石ころは蹴とばす、チワワの小さな後ろ足を掠める。息継ぎを忘れる。ここは水中、さらに走る。 チワワは野生を忘れているくせに、鼻から大量の液体をまきながら飼い主を引きずり追いかけて来ていた。 俺は先を急いでいたから犬どころか、俺が依存しているアルコール、煙草、書くこと、見ること、は勿論のこと、女、でかい眼鏡、ついてくる太陽、追い風と向か

    「道」のうえで -遠音とエンジンと消しゴム-

     遠くから聞こえるすべての音というのは、なぜか懐かしく感じる。学校のチャイム、野球の練習をする少年の掛け声、通りを走る車のクラクション、花火の音、爆竹の音、雷鳴が聞こえると、遠くで降りすさぶ豪雨の音も聞こえる気がする。仮に隣の国で戦争が起きて、銃声や爆撃音が聞こえてきても、それは血みどろの争いを想起させる前に懐かしさを与えるのだろう。遠音が発生して秒速300mで僕の元へと訪れる。その数秒の間に起こったことを音は通過して、もしくは経験して、音の発生源と共に空気を震わせてやってく

    「道」のうえで -遠音とエンジンと消しゴム-

    砂浜と悪意

     初老の男が去った後には男女4人の笑い声が砂浜全体に響きわたっていた。民家や民泊、新築のコテージが潮風に吹かれ明かりを灯していたが、夏の夜と若者たちの奇声は近隣の住民には馴染み深いもので、だれも、気にするものはいなかった。  若者が暇を持て余して海辺に集まり、明日には忘れてしまうような、些細な会話や大げさな自慢話や産毛をたくわえて生暖かいままの色恋話は幾万となく生まれて、彼らがその場を去るころには暗い海の底へ吸い込まれてしまう。誰もが経験したことのあるような記憶は、誰もが経

    砂浜と悪意

    急がない朝の女

    その女は毎朝歩いた ただ歩けばいいと言われれば 誰だって歩けそうな道を女は歩いた 片手には 夢の国から田舎の国まで 離れることのなかった地図と 男の印が隠された トートバッグをぶら下げて 何度も聴いて 何度も聴いて それはもう呪文になって バス停から飛びたった気高き老女の歌声が 聞こえてきても聴きつづけた流行歌が いまを告げている 運転手は今日も前を見ていて 女もそこから前を見ている 大きくなった白い足を 大きくなった丸いお腹を 大きくなって邪魔な乳房を みんなと分けあう

    急がない朝の女

    幸福の小鳥たち

    「わたしは幸せになりたい。」 そういうと、なんだか身体の芯が凍えた気がして。 『幸福の小鳥たち』を皆殺しにしたい。その思いはいや増して抱える猟銃にも力がこもる。  こんなことを言うのはわたしだけだろうか。世間によれば答えは既に準備してあって、疑問を挟むと妻は逃げだしていくという。現にわたしの妻は昨晩逃げだした。小鳥たちと同じように。「あなたといるとズルいことが出来なくなるの。」そういって、結婚指輪は最後の味噌汁の底に沈んでいた。ようやく出会えた妻でさえもあなたがわからないと言

    幸福の小鳥たち

    その日から離れた男が覚えていること

     長い時間がたつと人は疲れるようにできている。それが楽しい、わくわくするような時間であっても同じで、愛する人々であろうが四六時中一緒にいればうんざりするものだ。仕事なら言うまでもなく当然のことで、男は長い時間を今日も耐えて、家に着いた。  荷物を居間に放り投げ、コンビニで買ってきたコーヒーを飲みながら煙草を一本吸って、玄関に置いてあったグローブと軟式ボールを持って外に出た。男の家の裏には廃校舎があった。昨年までは朝起きる時間になると小学生の挨拶をする声が目覚まし代わりだった。

    その日から離れた男が覚えていること

    雑木汁

    いちにち、書けたのは2000文字、しょぼすぎてショボン。らんど聴きすぎて早々に、クラシックに切り換えてシャッフル。中途で散歩、HIIT入れてBMXは自重する。酒入れて昼寝。集中力はあるようで、ふやけた頭ん中一掃するためまた散歩。なう。余計な情報入れんと見事にきまって、きのうのことが幻のよう。1日が3000日のよう。精神と時の部屋の住人のよう。予感と暗示の連続がたまらん。記憶が跋扈して帰宅するん。

    ZAZEN BOYS 12年ぶりの新作アルバム「らんど」に感謝を込めて(向井風オリジナル曲の歌詞)マイナーチェンジ

    繰り返される 諸行は無常 それでもやっぱり蘇る 性的衝動 寒い日に酒買って しどろもどろの夜 によくある打ち明け話 気付けばあたし 天気のはなし ばっかりしよる 嘘の夜  恋人たちは なんかしよる 視線は伸びていくばかり 鳥の顔がよく見える そんなこというのは わたしだけ 夜中のyoutube 都会でひとり 焚火囲む 増えていく 皺の数だけ夢をみた やるべきことはわかっとる 言うとるうちは終わっとる 成すべきことは 過ぎ去って 世の中 黙って歩いてく マイナーチェン

    ZAZEN BOYS 12年ぶりの新作アルバム「らんど」に感謝を込めて(向井風オリジナル曲の歌詞)マイナーチェンジ

    即興小説。「海辺」「蕎麦屋」

     海辺で波を見ていた。波を一つの線として見ていた。糸のようにうねる日は穏やかな気分だった。竜のうろこが走る日は腰が浮いてしまった。破れたシーツがはしゃぐ日は風に語りかけた。  波乗りをしようと最初に思いついた人の気持ちがわたしにはわかった。波は海上の陸地、野球場や公園のようなもので、風にふかれ、月に導かれて胎動を起こす。サーファーとは妊婦の腹部に手を伸ばす父親のようなものだろう。自然という純然たる遊び場を目の前に、誰もが駆け出していく。    その日の波は不機嫌に見えた。ただ

    即興小説。「海辺」「蕎麦屋」