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フジツボ―魅惑の足まねき (岩波科学ライブラリー 159)


フジツボ―魅惑の足まねき (岩波科学ライブラリー 159)

 フジツボという生き物に対する、愛情があふれた本です。
 フジツボに関することなら、ほとんど、何でも載っています(^^)
 初めてのフジツボ本として、強力にお勧めできます。

 そもそも、類書は、ないに等しいですけれどね(笑)
 「よくぞ、こんなマニアックな本を出してくれた」と、感激しております。私は、こういう地味な無脊椎動物が、大好きです(^o^)

 「フジツボとは、どういう生き物なのか?」の解説もありますし、フジツボ図鑑や、フジツボ写真集もあります。
 著者の倉谷うららさんは、フジツボに取り憑かれた人ですね(笑) 愛するあまり、フジツボの殻で、アクセサリーを作ったりもされています。
 読んでいるうちに、彼女のフジツボ愛が、伝染してきます。フジツボが、かわいく見えてくるでしょう。

 海水浴に行った時に、足を切る原因になるだけじゃないんですよ、フジツボは。
 海の生態系の大切な部分を、支えています。

 フジツボは、貝の仲間に見えますが、貝ではありません。
 エビやカニの仲間なんです。つまり、甲殻類です。
 この事実を知るだけでも、普通の人は、驚くんじゃないでしょうか。

 フジツボと、ヒトとの関わりについても、書かれています。
 フジツボが登場する、有名な都市伝説も、紹介されていますよ。あえて、内容は、ここに書きません。

 以下に、本書の目次を書いておきますね。

はじめに
フジツボ図鑑/フジツボ写真集

1 エビ、カニ、フジツボ
 貝なのか?/あぁ、あなたは甲殻類――殻のつくり/フジツボの年輪/
 アンモナイトに乗る/どこに付く? 岩場、深海、イルカの歯

COFFEE BREAK 都市伝説――ヒトにフジツボは生えるのか?

2 浮世離れなF生活
 足でお食事/こっそりと脱ぐ/ゆき届いたお手伝い/耐えしのぶフジツボ/
 F的繁殖方法「予告編」/ヘルメスとアフロディーテの自由な恋/
 どんどん上がる体脂肪率/キプリス幼生/変態‐幼体‐成体/
 足あとに「土踏まず」?/キプリス・ダンスの踊りかた/ついに、フジツボ

COFFEE BREAK 移動するフジツボ!?

3 ダーウィンの「愛しのフジツボ」たち
 やはり載るのは貝の図鑑?/八年間のF時代/運命の出会い/
 世界中からフジツボ小包/特注の顕微鏡/愛しのフジツボたち/
 『種の起源』へ/ダーウィンのF遺産

COFFEE BREAK フジツボになりたかった魚たち?

4 文化とのつながり
 江戸時代の本草画とF/藤壺と夕顔/鳥になるフジツボ/
 西洋の博物図譜にみるF/ビクトリア朝の海洋生物文学/
 ノーベル賞詩人のフジツボ・ポエム/切手やカードに見るF/
 キロ三〇〇〇円の高級食材/フジツボ・スープと「ピコロコ・すくすくプロジェクト」

COFFEE BREAK 屋台店主のスフィンクス的質問

5 偉大なる付着生活
 汚損生物としての歴史/フジツボ海戦/日本の特許第一号/
 環境指標生物としてのF/七〇〇〇万年前のフジツボ特許/
 日本付着生物学会/若手F研究者の生態とカイメンF/幼生簡易検出キット/
 流れ寄るF/移入種問題/偉大なる付着生物

あとがき
付録 フジツボを観察しよう/フジツボをつくろう!



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