僕たちの宝物を探しに<夫婦世界一周紀78日目>

きっかけは3日前。ツアーガイドのオットマンが「お前たちに化石を見せてやる」と言ってきたところからだ。

宿の洗面所には一面の化石が散りばめられた大理石が使用されていた。てっきり人口的に作ったのかと思いきや、冗談じゃないとオットマン。

「これは全てサハラに転がっているんだぞ」

僕たちは半信半疑だった。サハラで化石が取れるイメージが湧かない。化石と言ったらほら、ヨウバケみたいなところをいうんでしょ

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ありがとうございます!
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短歌連作「ハッピーエンド」

じっとしているのもすんすん泳ぐのもいいもんだよとアンモは言った

「この巻きを見ててね」アンモはくるくると回って「催眠術かかってる?」

アンモ、ハッピーエンドなんて知らないよね どうせ絶滅するんだもんね

海底に沈むアンモを手のひらで掬って離してまた沈む 死

オーダーメイドの棺桶だから一億年は眠れそうだよってアンモが

剥製になったわたし展、時空を超えて開催中です(アンモもいるよ)

またお迎えしてしまった。

第十話「アッコロカムイ -菊乃とアンモナイト館-」

本文

 雪の降る水曜日である。
 学芸員の私は出勤して当然だが、今日は案内所で座っているだけになるだろうと思っていた。
 北海道中から発掘されたアンモナイトが集まり、このアンモナイト館で再生され飼育されている。ここはとにかく水質が良く、静かで景観も美しく、そして何より、交通の便がよろしくない。
 来るはずだった大学の研究者さえ、今日は遅れると連絡があったらしい。
 十一時前。一応バスが目の前まで

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メアリー・アニング

(5年まえの記録を発掘したものです)

2014年5月21日のGoogleロゴが、メアリー・アニング生誕215年を祝うものだった。それ誰? 化石採集者? She sells sea shells by the seashore.という早口言葉(マイ・フェア・レディを思い出しますな)のモデルの人なんだって。ふーん、と思っていたら、友達が彼女の伝記がある、と教えてくれたので、図書館で借りてみた。
ヘレ

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是非他の投稿も読んで下さいね!

アンモナイトに寄生する鉱植物について

引き出しに仕舞っておいた幾つかのアンモナイトから芽が出ていた。
なんだ石寄草か…と思ったが、よく見ると全てアンモナイトの殻の出口から芽が出ている。

石寄草だったらこんなに規則正しく出てこない…じゃあなんだこれ?
少し考えて思い当たる、私は幼い頃古生物図鑑でこれを見た事がある。

その鉱植物はアンモナイトのみに寄生し、絶滅の原因にもなった植物だが自らもアンモナイトに特化したばかりに共に滅んでしまっ

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アンモナイトと僕の夢

「親戚同士で争うことがあってはならない。」

 という信念を持つ僕の曾おじいちゃんは、死ぬ直前に価値のあるものは全て壊すか隠すかをした。

 僕が3歳の時に亡くなった曾おじいちゃんとの記憶は、神棚に飾ってある一枚の写真だけであった。そこに写る僕と曾おじいちゃんは、ヘルメットを被り、ピッケルのようなものを持っている。あとから聞いた話だが、遺跡の採掘が趣味だったようだ。

 その写真を眺める僕は、もう

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Stones alive complex (ammonite)

この個体は、いい感じの大さだな。
糸の量も熟練度も、かなり高そうだ。

彼は、指につかんでる幼虫がキュンキュン鳴いて抵抗しようがシルクの糸を束にして侮蔑のツバのように顔めがけて飛ばして威嚇してこようが、眉ひとつ動かさず。

アンモナイトほど丸まってない蚕とよく似た形をしていて、大きさは女性の握りこぶしくらいあるその幼虫の柔らかい背中は傷つけないようにしつつ、つかんでる手は緩めなかった。

広い工場

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