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新恐竜伝説―最古恐竜エオラプトルから恐竜人類まで、恐竜学の最先端!


新恐竜伝説―最古恐竜エオラプトルから恐竜人類まで、恐竜学の最先端!

 恐竜の本です。
 副題に、『恐竜学の最先端』とありますが、これは、一九九三年の時点での最先端です。本書が出版されたのが、一九九三年ですから。
 二〇一二年現在からすれば、二〇年近く昔です。

 理系の本で、これだけの時間が経っているのは、普通であれば、致命的です。情報が、圧倒的に古くなってしまっているからです。

 しかし、本書に限っていえば、今、読んでも、面白いです。役に立つ情報も、載っています(^^)

 例えば、「恐竜」の定義です。基本中の基本ですよね?
 ところが、この基本が、きちんと載っている解説書は、意外に少ないです。
 本書には、もちろん、正しい「恐竜の定義」が、載っています(^^)

 また、「恐竜の名前の付け方が、どのようなシステムになっているのか」も、解説されています。
 これも、ちゃんと説明してくれている本は、多くありません。

 その他、恐竜の起源を突きとめる試みや、恐竜と鳥との接点を探る試みなども、取り上げられています。
 どちらも、現在なお、恐竜学の世界で、ホットな話題ですね(^^)

 恐竜学は、ここ二〇年くらいの間に、長足の進歩を遂げました。
 その進歩の跡を、本書を読むことで、たどることができます。

 一九九三年といえば、映画『ジュラシック・パーク』が公開された年です。原作の小説『ジュラシック・パーク』は、一九九〇年に出版されています。
 あの映画に登場した恐竜像は、当時としては、画期的でした。「本当に、生きている恐竜が、目の前に現われた!」と思ったものです。

 本書には、映画『ジュラシック・パーク』公開直前の熱気が、表われています(^^)

 できれば、本書と、本当の最新の情報が載っている本とを、読み比べることをお勧めします。

 以下に、本書の目次を書いておきますね。

1章 「恐竜」と呼ばれる一群の動物たち
 恐竜の絶対条件/直立歩行の起源/「恐竜」という概念の発生と進化/
 メラノロサウルス科をめぐる混乱/後足の指の数が決め手?

2章 恐竜時代の黎明期
 最古の恐竜「暁の盗人」の発見/後期三畳紀初期の恐竜たち/
 なぜ彼らは地上の覇者となったのか?/恐竜の発祥の地はどこか?

3章 恐竜の「種」はどれほどあるか
 学名のシステムについて/夢の「恐竜完全カタログ」/
 恐竜は全部で何種いたか?/消えた恐竜・復活した恐竜

4章 角竜亜目の源流をたずねて
 前足の指が五本、後足の指が四本/未記載恐竜チャオヤンゴサウルス/
 「プロトケラトプス」は本当に一属か?/角竜の角はいつ生えたのか?

5章 獣脚亜目のルネッサンス
 分岐系統学の恐るべき威力/新分類群「ケラトサウルス下目」/
 魚食い一族の登場/さまよえる肉食恐竜たち

6章 恐竜たちの熱戦略
 恐竜恒温動物説論争/恐竜は羽毛を持っていたか?/恐竜の皮下脂肪/
 ラジエーターを背負った恐竜たち

7章 恐竜人類伝説
 「利口な恐竜」の一族/「ディノサウロイド」の誕生/恐竜は知性を持ち得たか?

8章 鳥は空飛ぶ恐竜か
 始祖鳥をめぐる論争の歴史/論争の再燃――やはり鳥は恐竜か?/
 「プロトアビス」をめぐる混乱/白亜紀の奇妙な小鳥たち

9章 中国恐竜紀行――自貢恐竜博物館訪問記
 北京の図書館にて/重慶博物館の恐竜たち/ロング・マーチ/
 真打ち、自貢恐竜博物館/カルチャー・ショックの町

あとがきにかえて



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