見出し画像

聖なる幻獣 (集英社新書 ヴィジュアル版 16V)


聖なる幻獣 (集英社新書 ヴィジュアル版 16V)

 幻獣、つまり、実在しない動物について、書かれた本です。
 『聖なる』とあるとおり、魔的なものではなく、神聖だとみなされる幻獣を取り上げています。

 ただし、神聖なものと魔的なものとは、容易に入れ替わります。ですから、本書に載っている幻獣たちも、時には、魔的なものとみなされることもあります。

 近年、幻獣を紹介した本は、多いですね。
 その中で、本書は、異彩を放っています。
 なぜなら、アジア―主に、南アジアと東南アジア―の幻獣を、多く取り上げているからです。巷【ちまた】の本では、ヨーロッパの幻獣(ギリシャ神話に登場するものなど)を取り上げたものが、多いでしょう。

 本書には、キールティムカ、カーラ、マカラ、シャールドゥーラ、ナーガとナーギー、ガルダ、キンナラとキンナリー、バロン、キマイラ、スフィンクス、グリフィン、一角獣、麒麟【きりん】などの幻獣が登場します。
 一部を除いて、普通の日本人には、馴染みのない幻獣たちでしょう。

 特に、キールティムカ、カーラ、マカラ、シャールドゥーラについては、日本語文献が、あまりありません。
 本書は、最も手軽に読める日本語文献だと思います。

 図版が多いのも、良いですね(^^)
 実際にどんな姿をした幻獣なのか、わかりやすいです。

 南アジア(インド周辺)や東南アジアに興味がある方、仏教文化に興味がある方、そしてもちろん、幻獣に興味がある方に、お勧めの本です。
 南アジアや東南アジアの仏像のそばには、本書で紹介されている幻獣が、付き添っていることが多いです。

 以下に、本書の目次を書いておきますね。

序章

第一章 キールティムカの顔
第二章 海獣マカラ
第三章 トーラナという宇宙
第四章 蛇と竜
第五章 翼のある獣
第六章 一角獣
第七章 聖獣と神々

あとがき
参考文献



この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?