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Vaundy「トドメの一撃 feat. Cory Wong」は、今まで以上の「格・上・感」

個人的にVaundyの楽曲について書くことは初めてなのですが、今回の新曲「トドメの一撃 feat. Cory Wong」は、今まで以上に「格上感」を感じる作品でした。

まず音の感想としては、山下達郎さんオマージュかと。
これは世代による理解の仕方かもしれませんが、曲も歌も、達郎さんをリファレンスにしてます、と清々しいまでに主張しているのかなと。
トラックだけでなく歌い方まで達郎さんにガッツリ寄せているところは、それができちゃう歌唱力に賞賛を送りたい。
達郎さんのシティポップみを要素として取り入れる若手アーティストは多々いても、ここまで歌で寄せられる人は、あまり聞いたことがないですし。

このオーセンティックでゴージャスなアレンジにも引けを取らないエモーショナルさ&技巧の高い歌は、器用を超えて一つの憑依型アーティストの印象も受けました。曲も歌も、自分の中のライブラリからベストな組み合わせを作る天才。あまりに完璧な配合なので、AI的でもあるとさえ感じますし、食べ物に例えるならば味の素に近い中毒性を感じています。

さて「トドメの一撃 feat. Cory Wong」については、曲と同時にMVについて触れないといけません。

ついに、長澤まさみまできたか…と。
音楽好きで知られる長澤まさみ。ドラマ『エルピス』では自分も歌ってたしな…とは言っても、1アーティストのMVでリップシンクまでしている上に、雰囲気レベルではないドラマレベルの演技と演出に、女優・長澤まさみをフルで稼働させているという、その重み。(本楽曲はアニメ『SPY×FAMILY』のED曲なので、タイアップ案件ではないのに、です)

ただ、女優MVといえば、Vaundyには小松菜奈出演の「踊り子」もあります。

これも当時多くの話題をかっさらっていましたが、それ以上に楽曲としてもそれまでのVaundyにはなかったインディロック感が新鮮であったため、初めて聴いた時はイントロから「誰?」と耳を傾けた記憶があります。

たまたまかもしれませんが、Vaundy楽曲の中でも、音楽的トライをしていたり力が入っている曲に関して、こういうハイクラス女優を起用している傾向はあるのかな…と思ったりしますがそれは蛇足としても、
「トドメの一撃」のMVは曲と映像の精緻なハマり具合、MVを超えたスケールの撮影・演出・カラコレ、全てに息をのむ感覚で、もう、日本のMVはVaundyチームにかかってるんじゃないか、と思うくらいでした。少なくともこんな予算の掛け方とクリエイティブのアップデートの掛け算を定期的に行えるのは、Vaundyか藤井風かのどちらかではないか、と個人的には思います。(予算をかければいいものができるとは限らないので、いかに「この曲にはこれしかない」というようなアイデアを映像に結実させられるか、これは近年のMV制作のテーマかと思っているので。)

最後に。
「トドメの一撃」は、私のようなややVaundy敬遠派(主に頑固な年寄り?)にも何かしらの影響を及ぼすのではないかと思っていて。
というのも、この曲がサブスク上でかかった時の違和感は相当に大きいと思います。
「誰これ??」と思わせる演出を、ここまで売れてもなお、自身の楽曲で更新していくVaundy、やはりすごいアーティストです。


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